つくばVITAシリーズ
2025/9/14レポート
9月14日筑波サーキット
9月14日に開催の
「SCCN SEPTEMBER RACE MEETING in TSUKUBA」
において筑波VITAシリーズ第4戦が2か月ぶりに行われた。
9月中旬に入り猛暑も一段落した印象だが今日は気温30度近くまで上昇し、湿度も80%と蒸し暑い気候だ。
筑波サーキットは8月に路面の補修が行われ、第1ヘアピンの入り口からダンロップコーナーを経て80Rまでの舗装が新しくなった。
選手に変化について印象を聞くと思ったほどグリップが向上していないとのことだが、
今日は雨あがりでもあり予選~決勝とコンディションの変化が大きいだろうと予想している。
エントリーは13台、前半の3レース全てを制した#77兒島弘訓選手(ZR WINMAX VITA)がシリーズをリードしており他の選手の巻き返しが望まれる。そんな中で筑波のVITAレース初見参という選手が二人。前日の練習走行の合間に話を聞いた。
#44山口心愛(ここあ)選手
(FIRSTGARAGE大和設備工業VITA)
は昨年FSW KYOJO VITAクラスに参戦。
今年はもてぎ菅生VITAシリーズのスプリントレース出場し4レース全てでポイントを獲得している。
モータースポーツに関わりたい一心で入学した、新潟国際自動車大学校(GIA)モータースポーツ科をこの春卒業し社会人となった。
「筑波は楽しいですね。筑波であまり走っていなくて、レースウィークに入ってから久しぶりに走りました。
筑波走るときはいつも雨なので、やっとドライでちょっと乗れたかな、という感じで今日また雨で(笑)。
明日は晴れてほしいです。3月でGIAを卒業して今は卒業生として活動しています。
VITAは去年からレースに出ていますが、慣れはコースによりますね。もてぎとはまだ全然、いつもわからないですね。
筑波やSUGOとかだったらだいぶわかってくるようになりました。
今回のレースは何か楽しいです。雨でも楽しく走れているので、明日がんばります」
#111佐藤元春選手(KOSHIDO×ビーンズVITA)
の素顔は北海道の恒志堂という会社の代表で、十勝のVITAレースのチャンピオン経験者、
今年はFCR-VITAに参戦し上位入賞、さらにスーパー耐久ST-5Rクラスにも自身の「恒志堂レーシング」が出場しておりオートポリスでの第5戦ではクラス優勝を飾っているつわものだ。
「筑波は4、5年前に走って以来で、路面も改修されていますし、コーナーによってグリップが違うので、そこをまずクルマと自分が慣れるのを意識して練習していました。
短いコースですが難易度が高いと言いますか、難しいコースなうえに、こちらのマイスターの方々がいるので、そう簡単に勝てないとはわかっていますし、しっかり練習しています。
恒志堂のレース活動としては今年はちょうど10周年ですね。VITAに関してはこれまでもいろんなサーキットで走ってきたなかで、筑波がなかったので参戦を決めました。
あとレースでの引き出しを増やすために、トレーニングにもなるので、せっかくVITAに普段乗っているので、これからもいろんなサーキットのレースに出ていきたいと思っています」
■予選
15分間の予選は午前10時50分コースオープン。
筑波シリーズ規則によって前戦優勝の#77兒島選手を先頭に13台のVITA-01がコースイン。
すでに気温29.5度、路面温度37.4度で、路面はほぼドライコンディションだ。
ウオームアップを終えて計測1周目、早くも#77兒島選手が1分4秒208をマークしてトップ。
2番手に1分4秒518で#87山本龍選手(おさきにどうぞ⭐︎VITA)がつけるが直後に#27大沢良明選手(ビーンズ⭐︎SPM⭐︎VITA)が1分4秒400のタイムで#87山本選手を上回る。
残り時間12分。#77兒島選手はトップタイムを1分3秒573まで短縮。
2番手には1分3秒904で#17西濱康行選手(ETA 白波ワークス VITA)が上がってくる。
#87山本選手も1分4秒066までタイムを詰めて3番手。#27大沢選手4番手にドロップ。後方で順位を上げてきたのが#7おぎねぇ選手(ORC白岩設備ワコーズVITA)、1分4秒902で6番手へ進出。
残り時間10分、タイムアタックに入った#111佐藤元春選手が1分4秒022で13番手から3番手へと一気にポジションアップ。初めての筑波でのレースとは言えVITAのキャリアは8年、十勝シリースチャンピオン経験者の称号は伊達ではない。
後方では#66土屋伊津季選手(ディープレーシングVITA)が8番手、#44山口選手9番手へそれぞれ順位を上げている。
トップ#77兒島選手はさらにタイムを削り取り1分3秒183。2番手#17西濱選手1分3秒814、3番手#111佐藤元春選手1分3秒950とトップ3は揃って1分3秒台。
4番手#87山本選手、5番手#27大沢選手、6番手には#1佐藤孝洋選手(Tipo ETA VITA-01)がつけている。
順位争いが熾烈なのは中団以降のグループでも同じで、1分4秒888で7番手の#7おぎねぇ選手(ORC白岩設備ワコーズVITA)に対して残り時間8分に#66土屋選手(ディープレーシングVITA)が1分4秒734まで自己ベストを縮めて0.168秒差で逆転する。
さらに#10中島正之選手(ビーンズスポーツ3年目VITA)も1分4秒891で9番手のポジションを#2並木海和選手(ViVa ETA VITA)から奪い取る。
このあたりで各車タイヤのピークを終えたかタイムを短縮する選手が少なくなる。
そんな中で2番手2番手#17西濱選手は1分3秒650まで自己ベストを削り取るがトップ#77兒島選手とは0.467秒の差。#27大沢選手も1分4秒109と詰めるも5番手変わらず。
さらに13番手の#31内田美保乃選手(RaiseUP miiisuke VITA)も1分6秒135と自己ベストを短縮する。
15分の予選が終わりチェカードフラッグ。残り時間3分に早々とピットインした#77兒島選手が1分3秒183でポールポジションを獲得。
2番手#17西濱選手1分3秒650でフロントロウに並び、
セカンドロウ3番手に#111佐藤元春選手1分3秒950、
4番手#87山本選手1分4秒026。
5番手タイムは1分4秒109の#27大沢選手だが、ホワイトラインカットがあり7番グリッドに降格。替わって#1佐藤孝洋選手が1分4秒452で5番グリッド、
#66土屋選手が1分4秒734で6番グリッドを獲得した。
ポールポジション 兒島弘訓選手(#77 ZR WINMAX VITA)
「気温的には自分のコースレコード(第1戦の1分2秒909)を狙えるかなと思っていたのですが、(直前の)スーパーFJの予選辺りから晴れてきてしまって、路面温度が上がって、厳しいかなと思いつつ1分2秒台を狙っていたのですがかなわずでした。
1回ピットに入って(ショックアブソーバーの)減衰変えたり、いくつかセットを変えてみたのですが、そもそも路面のコンディションが雨上がりということもあってパフォーマンスを出せきれずでした。コンディションの割には悪くない予選だったと思いますが、目標タイムには届かず、という感じでした。
決勝に向けてのクルマの方向性とかはセット変えた時の感触の違いとか、どちらの方がよかったかというのはタイヤがタレた時の雰囲気もわかったので、それはよかったかなと思います」
2番手 西濱康行選手(#17 ETA 白波ワークス VITA)
「前回よりは少し(兒島選手との)差が詰まったかな、という気もしますが、やっぱりまだ差は大きいなと思います。今日までけっこう準備してきたのですが、それでも兒島君は遠かったです。まだまだ精進します。路面改修されて、全開率が高くなった気がするし、タイムも上がっていると思います」
3番手 佐藤元春選手(#111 KOSHIDO×ビーンズVITA)
「前半でタイム出ましたね。今回のレースウィークは天候が不安定で、ドライでしっかり練習ができなかったのですが。想像よりタイヤの熱の入りが早かったので、自分の想定より早い段階でタイムが出ました。
ただ、まだ少し心残りがあるのですが3番手スタートということで、自分としては満足のいく予選アタックでした。
筑波の習熟に関してはままだこれからだと思います。
なので決勝もここのライバルたちに揉まれながら成長できたらなと思います」
4番手 山本龍選手(#87 お先にどうぞ⭐︎VITA)
「タイヤがいい時に、うまく走れなくて、その後はわりとすぐにタイヤがズルズルになってしまった感じでした。
前回からのエンジンの吹けについては エンジン本体以外のところを変えてみたけれどあまり変わらない感じで、ちょっと苦しいですね。2列目スタートなので表彰台目指して頑張ります」
5番手 佐藤考洋選手(#1 Tipo ETA VITA-01)
「もう精いっぱいでした。車両が旧型なので、若干マシンの差を感じつつも今できることのベストをやって。それでも上位に上がるにはちょっと無理があったので、順当な予選の順位なのかなと思います」
6番手 土屋伊津季選手(#66 ディープレーシングVITA)
「序盤、前のクルマに詰まってしまって、タイムを出すのに苦労しました。もうちょっと行けたかもしれないのですが、詰まってしまって。位置取りの部分をもっと工夫すればもう少しタイム出せたのかな、と思います。
タイヤの持ちはいつも通りという感じで、5、6周くらいで一番タイムが出て、そこから下がってくるという感じでした。
その意味ではタイヤの美味しいところは使えたと思います。
今回レース参加3回目で、まだポイント取れたことがないので、このまま行きたいですね」
7番手 大沢良明選手(#27 ビーンズ⭐︎SPM⭐︎VITA)
「路面改修による違いはあまり分からなかったですね。そもそもあまり走っていなかったので、
そこまで気がいかなかったですね。決勝に向けては、まぁ…(苦笑)、頑張って走り切るだけですね」
■決勝
つくばVITAシリーズ第4戦決勝は本日の最終レースとして午後3時45分にフォーメーションラップ開始。
日差しはやや傾いたものの依然として気温31.4度、路面温度37.5度という暑さだ。13台のVITA-01が15周または30分のレースに向けてグリッドに整列するとレーススタート。
フロントロウの#77兒島選手、#17西濱選手は好スタート。3番グリッド#111佐藤元春選手、4番グリッド#87山本龍選手もスムーズにスタートしてポジションを守り、第1コーナーでは#87山本龍選手がアウトから仕掛けるが、#111佐藤元春選手しっかりインを押さえて3位を守る。
加速がよかったのが7番手スタートの#27大沢選手で、5番手スタートの#1佐藤孝洋選手、6番手スタートの#66土屋選手をストレートエンドまでにごぼう抜き、5位に上がって第1コーナーへ飛び込む。
#66土屋選手はさらに9番手スタートの#10中島選手にもオーバーテイクを許し8位に後退。#10中島選手7位。
8番手スタートの#7おぎねぇ選手もスタートの蹴り出しが弱く第1コーナーまでに#10中島選手、#2並木海和選手(ViVa ETA VITA)に先行されて10位にダウン。
#2並木選手が9位。後方ではスタートに失敗した12番グリッド#71鈴木悠太選手(ELEV Racing Dream)を#31内田選手が仕留めて12位に浮上。
オープニングラップを終えてトップは#77兒島選手、2位#17西濱選手とは早くも2.064秒の差。そこから0.304秒差で3位#111佐藤元春選手、0.296秒差の4位#87山本選手、5位#27大沢選手は0.218秒差、さらに0.271秒差で6位#1佐藤孝洋選手。
兒島選手が頭抜けて速く、3周目も1分3秒791と最速タイムで2位#17西濱選手との差を2.267秒に拡げる。
前を追いたい#17西濱選手だが0.263秒差で3位#111佐藤元春選手がチャンスを伺っていて、防戦に回らざるを得ない。
4位#87山本選手はそこから1.022秒離され、勢いのある#27大沢選手とは0.110秒差とテール・ツー・ノーズ状態だ。
#77兒島選手はただひとり1分3秒台で周回し6周目には2位#17西濱選手との差を3.704秒まで拡大して独走状態になる。
3位以降も順位変動はないなかで8位#66土屋選手と9位#2並木選手は0.223秒差と緊張状態が続いている。
さらに10位#7おぎねぇ選手に今回筑波で初のVITAレース参戦の#44山口選手が接近、#44山口選手が6周目に0.163秒差と迫ると7周目は#7おぎねぇ選手が0.378秒差に突き放すとポイント獲得を争うバトルが続く。
8周目に入りレースは後半戦。#77兒島選手はまったくペースを緩めず、1分3秒662、さらに9周目1分3秒604とファステストラップを更新し続けて、10周目は1分3秒521と本日の最速タイムを叩き出して2位#17西濱選手と6.691秒差と段違いのスピードを見せる。
各車ポジションを守っている中で次第に接近してきたのが5位#27大沢選手と6位#1佐藤孝洋選手で、8周目に1.037秒あった間合いが10周目に0.217秒と一気に短縮。
4位#87山本選手にセクター1で仕掛けた#27大沢選手にミスがあった模様で#1佐藤孝洋選手に詰め寄られることになった。
二人のバトルは11周目0.123秒差とテール・ツー・ノーズ状態になると12周目の第1セクターで逆転。
#1佐藤孝洋選手5位、#27大沢選手6位と入れ替わる。
トップ#77兒島選手は13周目に入ってようやく手綱を僅かに緩めて1分4秒台、それでも2位#17西濱選手よりは0.5秒速いペースでリードは8.829秒。
ここで12位を争っていた31内田選手と#71鈴木悠太選手が接触。それぞれマシンにダメージを負いストップしてしまう。
そして14周目、4位を走る#87山本選手を#1佐藤孝洋選手がロックオン、最終コーナーからの加速で#1佐藤孝洋選手が#87山本選手をオーバーテイク。4位##1佐藤孝洋選手、5位#87山本選手の順でファイナルラップへ。
後方の混乱をよそに#77兒島選手はそのまま15周を走り切ってチェカードフラッグの下を通過。2位以下に10秒以上の大差をつけるぶっちぎりで優勝を飾った。
2位#17西濱選手、3位#111佐藤元春選手で表彰台を獲得。4位#1佐藤孝洋選手、5位$87山本選手、6位#27大沢選手というトップ6になった。
優勝 兒島弘訓選手(#77 ZR WINMAX VITA)
「レース自体も赤旗が出ずに終われたということで、赤旗を想定して序盤は飛ばさずにタイヤマネジメントして。中盤以降(1分)3秒6というターゲットタイムをずっと出せるように狙って走っていて。一回3秒4に入れて、そこからもう一声いけるかなというところだったのですがちょっとグリップダウンしてしまって、それ以降は3秒6を目指して走っていて、ペースコントロールという部分では、いいレースができたと思います。
スタートも悪くはなかったですが抜群というわけではなかったので、解析が必要かと思いますが、失敗ではないスタートだったので、次回もこういうスタートができるように、練習してきたいと思います」
2位 西濱康行選手(#17 ETA 白波ワークス VITA)
「スタートはうまく行ったのですが、その先でシフトミスをしてしまって、後ろの人たちに迷惑をかけてしまいました。その後は兒島さんには逃げられてしまったので(後ろの)佐藤さんを気にしながら、距離が開くかどうかを見ながらのレースをしていました。想定していたのとは違いますがが、2位はキープできたので、ヨシとします」
3位 佐藤元春選手
(#111 KOSHIDO×ビーンズVITA)
「スタートでちょっと並ばれたのですが、1コーナーで冷静に対処して3位をキープしたまま、最後まで順位を死守できたのはよかったです。
ただ前を行く兒島選手と西濱選手に対して中盤から後半自分のペースが遅くて、ついて行くのがやっとだったので、までまだトップ2に食らいつくには練習が必要かな、というレースでした。
来週が十勝(3時間)で、
再来週が岡山でMEC120分と3週連続でVITAでのレースなので、今日はちょうどいいトレーニングにもなりました」
4位 佐藤考洋選手(#1 Tipo ETA VITA-01)
「まずは順位を落とさないように、と。ラッキーなことに大沢さんがペナルティで下がったので、順位をキープして抜かれたくないなと思っていたのですがスタートを失敗して(苦笑)抜かれてしまって。
それからは前のクルマがやりあっていたので、チャンスがないかな、という思いで見ていて。
で、チャンスが来たので、それを活かせたかなと思います。レースは楽しめました」
5位 山本龍選手(#87 お先にどうぞ⭐︎VITA)
「終盤佐藤(考洋)選手に接近されて、振り切ろうと思っていましたがだめでした。あまりいいところの無かったレースでした」
6位 大沢良明選手(#27 ビーンズ⭐︎SPM⭐︎VITA)
「スタートはばっちり決まりました。前の龍さんは抜けそうだったのですが、ちょっと気を抜いたら(順位を)戻されて、続いて後ろからコーナーでインを差されて。放っておけば(相手が)まっすぐ行ってくれそうだったのにこちらも同調してしまって(笑)。順位をひとつ下げました。次は出られないのですが、最終戦また頑張ります」
第4戦を終えてVITA筑波シリーズのランキングは4連勝の#77兒島選手が80ポイントと大きくリード、2位には52ポイントの#17西濱選手が上がって47ポイントの#87山本選手が3位にダウン。残り2レースということでシリーズチャンピオン争いはこの3人に絞られた。