2022年、鈴鹿サーキットの最初のレースとして、「鈴鹿クラブマンレースRound 1」が2月27日に開催された。
6シーズン目に突入したCS2における最大の話題は、新世代マシン「v.Granz」が投入されたことだ。
パッと見の印象は、前作「WEST 16C」と大差はないが、その中身には大きな違いがあるという。
その概要について、ウエストレーシングカーズ神谷弦社長に話を聞いてみた。
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「まず第一に、16Cはエンジンが4A-Gで、中古のものをオーバーホールして使っていましたが、
単純に個体数不足であったり、古いエンジンのため信頼性、耐久性で劣ることもありで、
このタイミングでより信頼性の高いものにしようと考えました」
「そんな折に2ℓのトヨタM20A-FKSエンジンが手に入ることに。
回転数自体はそれほど高くなくて、レブリミットは7000回転ぐらい。けれども低回転からトルクがあります。
コーナーの立ち上がりはかなりのトルク感を感じ、楽に乗れると思います」
「フレームはGTカーに近づけた仕様にしていますので、剛性も上がり『フォーミュラみたいなクルマになった』、『フォーミュラルノーとも遜色ないよ』と言っていただいています。
「パドルシフトはメーカーと共同で開発にこだわりを持って取り組んでおり、かなりいいフィーリングに仕上がっています。」
「前後の空力バランスを半年以上、ずっと毎週のようにテストランしました。
エンジンカウルは、形状を変えてシャークフィン、垂直尾翼をつけてプロトタイプ的なシルエットにしました。
フロントカウルはカナードをつけてダウンフォースを強化しています」
「設計では安全をしっかりと意識する中、開発テストにも十分な時間をかけ、このマシンを仕上げました。
チームスタッフ、ご協力いただいた多くの方々のおかげだと感謝しております」
続いてドライバーの声も聞いてみよう。
まずはディフェンディングチャンピオンのいむらせいじ選手(オートルック16V)から。
「まず排気量が上がって、それでレブは1000回転下がって7000回転に変わったんだけど、中間域のトルクが分厚いんで、すごく扱いやすい。
マイルドな感じですね。トルクはあるし、最高速も若干速い感じ。
リヤヘビーなんだけど、それも車高とかアライメントとか、セッティングでいいところを見つけられたので、もう旧型よりも速く走れるんじゃないかな」
「今までのもパドルシフトでしたけど、たまに弾かれたりしていましたが、
新しいのはレスポンスが全然いいので、ダウンもアップも格段に入りやすくなっています。
そういう意味では機械的に上級になっている、グレードアップしている印象です。全体的に好印象です」
そして、もうひとり話を聞いたのは、
現在スーパー耐久でドライバー兼監督を務める野上敏彦選手(NOPRO v.Granz 2022)。
90年代にRSを戦って以来、約30年ぶりのスプリントレース参戦となる。
「CS2をやろうと思ったのは、もう走れる時間も限られているんで(笑)。
その中で新しい挑戦をしたくなったんですね。
今はまだパドルシフトに慣れないんで、かえって苦戦しています。
Hパターンの方がからだに染みついているんで。
楽なんですけど、まだ馴染めていないところがあります。まぁ、慣れの問題なんでしょうけどね」
「乗り味はかつてのRSと、基本的には変わらない気がします。
剛性感は明らかに高いし、走っていてそんなに……。
ああ、強いて挙げれば風景がちょっと違う。
タイヤが大きいので、フロントフェンダーの盛り上がりで見え方がちょっと違うかなって。
でも、それぐらいで違和感はないです、あんまり」
「昔のRS仲間で未だにレースやっているのが何人かいるので、
『もう一回トライしたら、面白いんじゃない?』って勧めたいですね。
RSの方が速かったんですけど、これはこれで別の険しい壁があって、それをうまくまさぐって登るイメージですね。登り甲斐のある世界だなと思います」
両ドライバーとも好印象を伝えてくれた。関心を持っている方には、ぜひ参考にしてほしい。
記事 :秦 直之さん
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皆さま、ありがとうございました。
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