【MEC120 OKAYAMA】
[VITAクラス]
本来は12月1日に行われるはずだった、「MEC 120」の岡山国際サーキット大会ながら、SUPER GTなど他のレースの日程変更があり、調整された結果、2週間後の12月15日に開催されることとなった。
仕事の都合などで日程が合わず、やむなくエントリーを取り消したエントラントもいたようだが、それでもv.Granz、VITA-01合わせ、41台のエントリーを集めた。
しかし、12月ももう半ば、いわば年の瀬ということもあって、やはり寒い!
天気予報では雪マークさえついていたが、土曜日の早朝だけ降って、あとは降らなかったのは不幸中の幸い。
心配されたのはタイヤのウォームアップだ。
予選ならば、じっくり温めていくことで、冷えた路面とより食いつくようになり、さらに乾いて冷たい空気が気持ちよくエンジンを回してくれるだろう。
だが、決勝はスタート直後の1コーナーに不安が残っていた。しかし、この問題はフォーメイションラップが2周に増やされたことで対処できるはず。
何より、これが多くのドライバーにとって、2024年最後のレースになる。
ぜひ気持ち良くシーズンを締めくくって欲しいものだ。
〈VITA-01予選〉
VITA-01のPro-Amaクラスのランキングトップは、
38ポイントの#66 SEVEN×SEVEN with KF MOTORSPORTで、
8ポイント差で追いかけるのが#117 Team M岡部自動車D.D.Rながら不出場。
ランキング3位の#28TKRI VITAにも可能性は残されているが、16ポイント差だから優勝してもランキングトップは5位に入ればいいから、逃げ切られてしまう格好だ。
一方、Ama-Amaクラスのランキングトップは#161 KOO’ON with ABBEY Rsだが、獲得しているのは23ポイントとあって、可能性として出場する全チームがチャンピオンとなり得ることになる。
とはいえ、すでにポイントを獲得している、#779栄建設TBR VITAや#27ビーンズスポーツ☆SPM☆VITA、
#8東京IRCニルズvivo VITA、そして#77 SEVEN×SEVEN with KF MOTORSPORTを加えた5チームのうち、トップとは10ポイント差しかないため、先着したチームがチャンピオンになる可能性が高い。
VITA-01の予選は、v.Granzの予選終了から5分後に、ただしv.Granzの予選では赤旗中断があったため、予定の5分遅れでスタートした。これだけのインターバルであるから、依然として路面温度は低く、10度を切ったままだ。
計測2周目、早くも1分45秒363を記してトップに立ったのは、今回は#999 m・dent with萬雲塾VITAをドライブする徳升広平選手だ。だが、次の周には#66 SEVEN×SEVEN with KF MOTORSPORTの奥住慈英選手が1分44秒670でトップを奪うも、さらに次の周には徳升選手が1分44秒203で再逆転して、ここまではプロが意地を見せていた。
ところが、残り5分というタイミングでVITA-01でも赤旗が。幸い、やはり5分の中断で計測は再開される。
するとトップに立ったのは、#77 SEVEN×SEVEN with KF MOTORSPORTの井本大雅選手。1分44秒132を記して、1分44秒193の徳升選手を僅差ながらも抑える。ラストアタックで徳升選手はタイムを落としたのに対し、井本選手はただひとり1分44秒を切る、1分43秒905を叩き出し、ポールポジション、そしてAma-Amaクラスのトップを獲得した。
なお、井本選手のパートナー、酒井涼選手は今回が四輪初レースで、今年の全日本カート選手権OKクラスのチャンピオン。まだ16歳の超新星がどんな走りを見せるか注目される。
2番手は#999 m・dent with萬雲塾VITAが獲得し、Pro-Amaクラスのトップに。
これに続いたのは#4ダイワN通商JOKERのHIROBON選手で、ラストアタックで1分44秒232を記していたが、走路外走行があり、そのタイムは採択されず。それでも、その前の周に記録していた1分44秒482でAma-Amaクラスの3番手、総合でも6番手につけたあたりは、やはり粘り強い。
代わって総合3番手、Ama-Amaクラスの2番手につけたのは、#51ホージャストレーシングVITAの落合蓮音選手。今年はスーパーFJをメインで戦い、VITA-01は3戦目。MEC 120には坂上真海選手とともに初めて挑むドライバーだ。
そして総合4番手でPro-Amaクラス2番手は、#78恵比寿アキランドVITA制動屋の末廣武士選手。
ラストアタックで1分44秒277を絞り出してきた。
チャンピオンに王手をかけているPro-Amaクラス3番手の#77 SEVEN×SEVEN with KF MOTORSPORTの奥住選手は、1分44秒300で総合5番手。15kgのウェイトハンデが効いているようだ。なお、今回パートナーが変更されており、永井歩夢選手が起用されている。
VITA-01 Ama-Amaクラストップ:
#77 SEVEN×SEVEN with KF MOTORSPORT
井本大雅選手「ちょっと昨日、一昨日に比べて路面温度が低くて、タイヤが温まるか、ちと不安だったんですが、ゆっくり最初に温めて、自分のペースで走れば、タイムは取れているかと思っていて、走り切れて、なんとか1番タイム出すことができました」
VITA-01 Pro-Amaクラストップ:
#999 e・dent with萬雲塾VITA
徳升広平選手「やられました。赤旗出なかったら? どうなんでしょう、何とも言えんですけど、1回ちょっと飛び出しているので、最後に(苦笑)。タイムが上げられなくて、自分としてはミスなんで、そういうミスを決勝でないよう頑張ります」
VITA-01Ama-Amaクラス2番手:
#51ホージャストレーシングVITA
落合蓮音選手「アタックラップに前で引っかかったりとか、レコードラインでゆっくり走っている車があったりして、結果的に2番というのは結果としては満足ですが、納得のいくラップではなかったので、ちょっと嬉しいところもありつつ、まだ悔しいなというところもあります。
パートナーの坂上選手とはカートの頃から知り合いで、今年、坂上選手はKYOJOで、僕はスーパーFJとかVITAに数戦出たんですけど、ふたりともレース勘はたぶん、ちゃんと出てきていると思うので、そこでどう動くかという感じですね」
VITA-01 Pro-Amaクラス2番手:
#78 恵比寿アキランドVITA制動屋
末廣武士選手「予選は赤旗が入り~ので、みんな、たぶんタイヤが温まってきて、ここからってタイミングで赤旗出ていたので。
ただ、後ろの方でタイミングいい人はその時にちょうどタイム出たみたいですけど、大抵みんな後半にタイム出たと思うんですけどね。その時にクリアがうまく取れているかどうか、ってところですね。
僕のところは、前が譲り合ったりして詰まっちゃったんで、場所取りとしてはちょっと失敗したかなって感じではあるんですけど。
まぁ、勝負権ある位置には、最後の1周ギリギリで入れたので、まずはジェントルマンに無事に帰ってきてもらって、そこでドライバーチェンジして、僕と若い有岡でバトンつないでいけば、表彰台は狙えると思います」
VITA-01 Pro-Amaクラス3番手:
#66 SEVEN×SEVEN with KF MOTORSPORT
奥住慈英選手「ウェイトハンデの15kgが重たくて、本当にギリギリ厳しいけど、なんとかポールが獲れるかなって思っていたんですけど、内圧もちょっと高過ぎたし、いろいろ何も噛み合わずのタイムだったので、もうちょっと……。
まぁ、みんな一緒だから、何とも言えないんですけど、もうちょっとうまくできたのかなと思うんですが、あんまりうまく行かなかったです。リズムとかアタックのタイミングとか、まぁでも、クラス3番手なので、あとはチェッカー受ければチャンピオンなので、はい。また何もなく終われるように頑張ります」
VITA-01 Ama-Amaクラス3番手:
#4ダイワN通商JOKER
HIROBON選手「ベストタイム抹消されました(苦笑)。
最後、赤旗出て焦っとったんで、行き過ぎて。赤旗出なかったら、また違っていたでしょうね。タイム出せていなかったから、再開後に焦って、行き過ぎて。
練習はいい感じで来ていたんですけどね。決勝はそこそこペースあるんで、行けると思います」
VITA-01クラス決勝
VITA-01クラスの上位陣でスタート担当をAドライバーでなく、Bドライバーに変更したのは5番手の#4ダイワN通商JOKER。
HIROBON選手が来るからには、2周のフォーメイションラップの後に切られたスタートから見せてくれるのは、もはや必至と言えた。
実際、オープニングラップのうちにHIROBON選手は3番手に浮上。しかし、前に立ちはだかったのは#77 SEVEN×SEVEN with KF MOTORSPORTの井本選手だけでなく、さらに言えばトップに立っていたのは、4番手発進の#51ホージャストレーシングVITAの落合選手だった。
HIROBON選手は3周目に2番手に浮上し、その直後に最初のSCが。やや逃げかけていた落合選手にとっては、それまでの力走が水の泡となる。
しかも、リスタート後にHIROBON選手は、さっそく1コーナーで落合選手に迫っていく。12周目にはヘアピンでも。なんとか凌いだ落合選手ながら、15周目の2コーナーでは、ついに堪えきれずにトップを明け渡す。
一方、この頃、3番手に躍り出ていたのが、#30 YouTuber「ゴキブリ博士」VITAの太田達也選手。予選は13番手で、Ama-Amaクラスでは7番手ながら、オープニングラップのうちに8番手まで上がり、さらに次の周には7番手に。SCで差が詰まったこともあり、抜群のリスタートを切って、そのポジションまでたどり着いていたのだ。
しばらくはHIROBON選手に対し、抵抗を見せていた落合選手だったが、やがて間隔も広がることに。
スタートから50分経過した24周目にHIROBON選手から藺牟田政治選手に代わると、それから2周後に落合選手も坂上選手に交代する。
これで待望のトップに躍り出た太田選手は、折り返しまであと1分となった30周目に、大野宗選手にバトンタッチ。
すると、それから2周後に2回目のSCが。
これを活かさぬ手はないと、SC中に人知れず(失礼!)ピットイン。
義務づけられた2回目のピットストップを完了させて、再び太田選手がコースインと相なった。
当然、この間に大きく順位を落とした#30YouTuber「ゴキブリ博士」VITAながら、次第に順位を上げていくのは、ロスを最小限とできたことで、もはや明らかだった。
実際、全車2回目のピットを終えると、トップに立っていたのは太田選手。ただし、給油は1回だけで、徹底した燃費走行を強いられていたから、スピードは欠いていた。
そこに迫ってきたのが井本選手だ。ゴールまであと8分、55周目にトップに立ったかと思われたものの、その直後にトラブルを抱えて順位を落とす。まさか、そんな土壇場で……。
これで太田選手がトップに返り咲いて優勝を飾り、#30 YouTuber「ゴキブリ博士」VITAがAma-Amaクラスのチャンピオンも獲得。大野選手はタイトルも初めてならば、優勝も初めて。忘れられない1日になったはずだ。
一方、その後方では、HIROBON選手と落合選手のリターンマッチが繰り広げられていた。先行していたHIROBON選手に、落合選手が追いついたのはゴールまで10周を切った52周目。そこからは接触も伴う、一瞬即発のバトルが……。58周目に落合選手は前に出たが、レース後にスタート手順違反で10秒加算、さらにピット作業中のエンジン作動違反で30秒加算の、WペナルティでAma-Amaクラス3位に降格。
Ama-Amaクラス2位を取り返した格好の#4ダイワN通商JOKERだったが、レース後のHIROBON選手に笑顔はなかった。
総合4位は#78恵比寿アキランドVITA制動屋で、Pro-Amaクラスの優勝に。
TAKEchan選手〜有岡綾平選手〜末廣選手の順でバトンをつなぎ、末廣選手はクラスが違うことから、Ama-Amaクラスの2番手争いはあえてスルーして先行させる。
その上で、58周目に同じクラスの#16 HERO’S & WAYTON VITAを抜いて逆転勝利に成功!
敗れたりとはいえ、フィリピン出身の17歳、DANZEL WAYTON選手は今回が日本での初レース。
母国のVITAレースではランキング2位の経験を持ち、すでにツーリングカーレースにも挑戦しているドライバーだ。
奥本隼士選手の献身的なサポート、そして冴えた走りも功を奏して、いきなり好結果を残していた。
そしてPro-Amaクラス3位は、#999 m・dent with萬雲塾VITAの松本匡史選手と徳升選手が獲得。
一方、チャンピオンを手にしたのは#66 SEVEN×SEVEN with KF MOTORSPORT。
ピットの作業違反に対するドライビングスルーペナルティが痛手となり、Pro-Amaクラスの5位には甘んじたものの、粘り強く走り続けたことが戴冠の決め手となった。
VITA-01 Ama-Amaクラス優勝:#30 YouTuber「ゴキブリ博士」VITA
大野宗選手「燃費走行、ずっとしてもらって、耐久レースだから、耐久レースの作戦を考えましょうって。本当にこれ、作戦どおりでした。ザ・耐久レース、ありがとうございました」
太田達也選手「1回給油で行こうと思って、SCが入ったことで最初のピットを1時間以上伸ばせたので、『行けるかも』と思ったら、またSC入ったので、これで残りも行けると思い、そのSC中に入ってもらって、ドライバー交代を済ませて、残り50分ぐらいをまた僕で。鬼の燃費走行で(苦笑)、なんとか保たせたという感じです。
大野さんはSCの間だけだったんで、物足りなかったかもしれませんが、最後まで走りきれて良かったです。
タンクの中身は0リッターでした!」
VITA-01 AMA-Amaクラス2位:
#4ダイワN通商JOKER
藺牟田政治選手「僕はHIROBONに、おんぶに抱っこなんで、いつものとおり。まぁまぁ、楽しませてもらいました」
HIROBON選手「オモロかったけど、ちょっとね。ちょっとアレやね。もうちょっとフェアに行ってほしい。何回当ててきたか。そら、いつかはミスするし、飛んでいく。ちょっと若過ぎる」
VITA-01 Pro-Amaクラス優勝:#78恵比寿アキランド VITA制動屋
TAKEchan選手「まぁ、ふたりが頑張ってくれたのが、いちばんの勝因ですね。めちゃくちゃ嬉しいですね、感無量です」
末廣武士選手「勝ったんだ? みたいな(笑)。
いい位置にはいるだろうなと思って、わかっていたんで、Ama-Amaで競い合っていたので、4番と51番が。
もう、あんまり関わらないようにして。とりあえず同じPro-AmaのHERO’Sさんの車だけは抜いておこうと思って、行ったらちょうど良かったみたいな感じで(笑)
途中からエンジンの調子が悪くなっちゃって、それでオーバーテイクするのが、ストレート伸びなくなっちゃって、厳しかったんですけど、車のセットはいい方向で決まっていたので、なんとかできて良かったです。
コツコツ走り切れて良かったです」
有岡綾平選手「僕は2番目で走りました、クビにならずに済みました。
僕ら、無線なしで行ったので、SC明けでみんな走っているところで、1周多く走っちゃったので、ちょっとロスがあったんですけど、それでも車を3人でつなげて優勝できて良かったです」
VITA-01 Pro-Amaクラス2位:#16 HERO’S & WAYTON VITA
DENZEL WAYTON選手「とてもいいフィーリングでした。日本での最初のレースで、この車には今週から乗りましたが、最初から乗りやすかったです。こうして表彰台に上がれて最高の気分です」
奥本隼士選手「めちゃめちゃレースしていて、僕自身も楽しかったし、ダンゼルは、もっとステップアップしたいっていうんで、日本でレースしたいって言ってきてくれて、急きょMEC出ることになって、岡山で本当に乗り出して数周の段階から、すごくいい走りしていたし、予選も任せましたが、本当に難しかったと思います。赤旗も出たし、この寒い時期って、レーシングカー乗るっていうのはフィリピンではないですから。経験をとにかく積ませてあげたかったので、ファーストスティントでもすごく追い上げてくれたし、僕も夢中でプッシュしたし。ダンゼルに代わってからもずっとトップグループと同じペースで走ってくれました。2位という結果はそら、僕ら優勝目指していたので、悔しい部分はあるんですけど、すごく良かったと思います」
VITA-01 Ama-Amaクラス3位:
#51ホージャストレーシングVITA
落合蓮音選手「初めての耐久を、相方の真海ちゃんと一緒に、速く走れたので。ちょっとペナルティとかいろいろあったんですが、それがなければ優勝争いにも絡めたと思うし、本当に楽しい週末でした」
坂上真海選手「ちょっとスタートから流れが悪いというか、ふたりとも初耐久だったのでドタバタで。マイク、無線が取れちゃってとか。流れとしては悪かったんですが、自分としては臨機応変にできたと思うので、悔いがないかっていうと、それとは違うんですけど、ちゃんとバトンをつなげて、表彰台に乗ってくれる範囲内でつなげたので、最低限の仕事はできたと思っています」
VITA01 Pro-Amaクラス3位:#999 e・dent with萬雲塾VITA
松本匡史選手「徳升くんのおかげです。いい仕事してくれました。表彰台には久しぶりに上がれて楽しかったです」
徳升広平選手「スピードはあったと思いますね。車自体も、チームもいい車作ってくれて感謝ですね。ファステストは獲れたかな?」
VITA-01 Pro-Amaクラスチャンピオン:#66 SEVEN×SEVEN with KF MOTORSPORT
奥住慈英「藤浪さんに拾ってもらって、今年走れていたので、恩返しができたと思っています。
チャンピオンしか狙っていなかったので、オールOK!
別に何もなく、チャンピオン決まって良かったです。また何かにつながればいいな、と思っています」