🏁[MEC120岡山]予選レポート
VITA-01、そしてv.Granzによる120分間耐久レース、
「MEC 120」こと120 Minutes Endurance Challengeが、今年から新たに全4戦のシリーズとなり、第3戦が岡山国際サーキットで開催された。
今回のエントリーは44台。鈴鹿サーキットでの開幕戦は47台、富士スピードウェイの第2戦は52台のエントリーを集めたことからすると、少なく感じるかもしれないが、
同じレースウィークにモビリティリゾートもてぎでもてぎVITAが行われ、
また1週間前にはオートポリスで最終戦が行われている。
出たくても出られないチームもあるわけだから、いやいや、これは立派な台数である。v.Granzのエントリーも15台に及んでいた。
耐久は『計画の戦い』
富士からエントラントMTも始まった。
レースディレクターから、厳しい視点で『レース』を学ぶ。
ドライバーズMT.
MEC120耐久レースにエントリーすると
プロの目線でさまざまな学びを経験できる。
モータースポーツの戦いは、常に真剣。
だから面白い。
《v.Granzクラス予選》
ここまで2戦、負けなしの快進撃を続け、v.Granzクラスでダントツのランキングトップを行くのが#31 G-TECHだ。
AドライバーのOOKA選手は毎回パートナーを改め、第1戦は佐藤公哉選手、そして第2戦は三宅敦詞選手を起用してきたが、今回は澤圭太選手を起用。
ル・マン24時間を筆頭とするWEC、そしてGTアジアなど世界を主戦場としてきたドライバーで、インストラクターとしても高い定評を持つが、レースデビューの地が、ここ岡山。正確には当時のTIサーキット英田だが、F4関西シリーズで1999年にチャンピオンを奪って以来のローカルレース出場となるという
「何も変わっていませんね、変わったのは名前だけ。サーキットの人も変わらない(笑)。
実際にはGTアジアを含め、何度か出ているんですけど、ローカルレースのこういう感じのピットは、本当にタイムスリップした感じで、懐かしいなと。あと、雨上がりの路面の乾かない度合いが、寒いから余計なんでしょうけど、あまりにも乾かなすぎ。そこもコースは変わっていないなぁ、って印象ですね」と澤選手。
走り慣れているドライバーなら周知の事実だろうが、今回は遠征ドライバーも多いことから、そういった指摘もしてくれた。
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また、前回の富士でポールポジションを#獲得している、#71 ZENKAI RACING ABBEYも林寛樹選手のパートナーを改めてきた。
ひとりはスーパーFJ岡山シリーズの2016年チャンピオンで、現在は無限でスーパーフォーミュラのエンジニアを務める兒島弘訓選手、
そしてもうひとりが冨林勇佑選手だ。
言うまでもなく、リアルとヴァーチャルの二刀流として、日本人ドライバーで最初に名を挙げ、現在はSUPER GTやスーパー耐久、GR86/BRZ Cupに参戦。今年もスーパー耐久のST-4クラスでタイトルを奪ったばかりである。ただし、これまでのレース歴はすべてツーリングカーで飾られており、v.Granzのような純レーシングカーは初めてのはず。
「実はフォーミュラリージョナルをテストで走らせたことはありますが、レースするのは確かに初めてです。
ラップタイムは去年までやっていた(スーパー耐久の)ST-3クラスと同じぐらいですし、意外とステアリングに対しての動きはダイレクト感ありました。車の軽さはあるので、ハコっぽいフォーミュラかなって。ホイールベースも長いし。VITAもお勧めですけど、これも初心者の方にも安全ですし、パドルシフトだし。
僕、乗って違和感は何にもなかったですね」と太鼓判を押してくれた。
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さて、本題に移ろう。これまでv.Granzの岡山でのレコードタイムは、
#38 HOJUST RACINGの樋口紀行選手が今年の4月に記した1分37秒908だった。しかし、土曜日に行われた練習走行では、これが1分38秒台のフラットにまでトップが肉薄。
ただ土曜日は雨どころか雪、時には霰にまで見舞われてコンディションは良かったとは言い難く、まだまだ予選でタイムが伸びることも期待された。また、前回までは全車一斉の走行だったが、今回はv.GranzとVITA-01を分けて、それぞれ計測20分となったことも、更新を予想した理由でもあった。
実際、日曜日の岡山国際サーキットは、秋晴れの好天に恵まれ。空気もほどよく冷えてタイムアタックには絶好の条件に。
先頭を切ってコースインした#86 Dr. Dry v.Granzの下野璃央選手が、計測3周目に1分36秒746を記録して、あっさりレコードを更新。
その後、#7 nonno pizza with abbeyの岸本尚将選手が1分36秒139、1分35秒750と好タイムの連発でトップを奪うも、
下野選手は1分35秒426にまでタイムを縮めて再度トップに浮上。直後に岸本選手も1分35秒674を記すも、あと一歩及ばず。下野選手は終盤にも1分35秒台を連発したものの、タイムアップには至らず。チェッカーを待たずしてピットに戻ってくる。
一方、それまで記録していた1分36秒002から、チェッカーが振られた周に1分35秒842まで縮めて、3番手につけたのが#81 CLEANLIFE ITAL ABBEYの元嶋成弥選手。
4番手が1分36秒005を記した、前出の冨林選手だ。
5番手は#41 Racing Team HERO’Sの青合正博選手と植田正幸選手が獲得し、
6番手は#9 Gluck & KTSの関正俊選手と河村直樹選手で、ここまでがトップから1秒の間に収まっていた。なお、注目の#31 G-TECKは澤選手がアタックするも、「v.Granzで予選走るのは初めてだったんですが、こんなにいいコンディションでニュータイヤだと、ここまでグリップするというのが読みきれなくて」と1分37秒242を記すに留まり、10番手だった。
ポールポジション/ v.Granzクラス予選トップ
:#86 Dr. Dry v.Granz
下野璃央選手「練習から調子良かったので何事もなく、車も決まっていましたし、自分もミスなくアタックできたので、狙いどおりポールが獲れたので良かったです。決勝はミスなく走れば結果につながると思うので、集中して頑張ります」
大阪八郎選手「いや、もう璃央ちゃんにお任せなんですけど、とりあえず僕のスティントでは、できるだけ順位を落とさないように。最終スティントも璃央ちゃんに走ってもらうんですけど、その時には順位が回復できるぐらいのところまでは走りたいと思っています」
v.Granzクラス予選2番手:#7 nonno pizza with abbey
カルミネ・コッツォリーノ選手「岸本くん、頑張りました。僕のせいで勝てないから、プレッシャーなんですよ、気持ちがつらい(苦笑)。でも耐久だから、何が起こるか分からないし、長いレースだから。そういう意味では楽しいレースになると思います。鈴鹿はスピードが出るからけっこう怖いですけど、岡山の方が走りやすい感じがします」
岸本尚将選手「下野選手にコンマ2秒ぐらいやられましたね。車はバッチリ決まっていたんですが、タイヤの内圧がちょっと。昨日とは全然コンディションが違いましたから、全然フロントが来なくて、ちょっと悔しい感じの予選でした。決勝は後半重視のセットなので、行けると思います」
V.Granzクラス予選3番手
#81 CLEANLIFE ITAL ABBEY
長谷川睦選手「決勝は一生懸命やります。このv.Granzが初めてで、60の手習いでレースを始めました。楽しんで、事故のないように頑張ります」
AKITA選手「他のチームはプロのような人が乗る時間長いと思うんですけど、でもチャンスはあると思うので、なんとか表彰台目指して、諦めずに頑張りたいです」
元嶋成弥選手「予選で初めてニュータイヤ履いたんですけど、最後の最後でやっと慣れてきて。僕なりには決まったので、レースは追い着いていけると思っています。頑張ります、いい仕事してきます!」
《VITAクラス予選》
VITAのAma-Amaクラスでは、
#1 DAISHIN★Progrexx★萬雲塾が絶好調。
ここまで2連勝で、しかも大八木龍一郎選手にとって岡山はホームコース。絶対に負けられない一戦だ。
一方、Pro-Amaクラスは優勝を分け合っている、#22 CPホールディングNILZZと#337D.D.R VITA-01が揃って欠場。
目下ランキング3位につける#16 Giddy Up & HERO’S VITAや、
同5位の#2 MOLECULE TMR VITAにとっては、絶好のチャンスとなった。しかも、両チームとも、やはり岡山をホームコースとする。
ちなみに土曜日の練習走行トップは、1分43秒941でレコードにも迫る勢いだった、#1 DAISHIN★Progrexx★萬雲塾の徳升広平選手だ。
予選は#2 MOLECULE TMR VITAの阪口良平選手、徳升選手の順でコースイン。
このふたりがさっそく後続を振り切って周回を重ねていく。
計測2周目には阪口選手が1分43秒603を記録してトップに浮上。
その時点で徳升選手は2番手ながら1分43秒844だったのを、それから3周後には1分43秒727にまで縮めてくる。
一方、阪口選手はその後のタイムアップは果たせなかったものの、誰もこのふたりのタイムを上回ることができず、チームメイト同士でVITA-01クラスのフロントローを独占した。
中盤まで3番手につけていたのは、1分44秒264を記録していた#78恵比寿アキランドVita制動屋の末廣武士選手だったが、
終了間際に1分43秒879を絞り出し、上回ってきたのが#66 BASIS RACING☆リョーヘイズの有岡綾平だ。Ama-Amaクラスで2番手に。末廣選手はPro-Amaクラスの2番手だ。
1分44秒264で総合5番手となり、Pro-Amaクラスの3番手が#75カーブティッククラブTrace渡海の伊東黎明選手。今年はSUPER GTのGT300クラスとGR86/BRZ Cupのプロフェッショナルシリーズを戦う、新進気鋭のドライバーだ。
ここからはPro-Amaクラスのドライバーが続き、
#16 Giddy Up & HERO’S VITAの奥本隼士選手がクラス4番手。
これに続いたのが#91ジェットの建売☆LBJ/TMRの大塚隆一郎選手。
パートナーの首藤哲也選手は、前週にオートポリスでチャンピオンを決めたばかりのドライバーだ。
そして総合8番手でAma-Amaクラスの3番手が、#0モレキューレTMR萬雲塾VITAの大井偉史選手で、ここまでがトップから1秒以内につけていた。
VITAクラス予選トップ/Pro-Amaクラストップ
#2 MOLECULE TMR VITA
萬雲恒明選手「今回はゴール目指して、ポジションそのままでゴールできるようにやっていきたいと思います。ポールの3ポイントもついたので、(ランキング)前のチームとのポイント差も縮まりました。最終戦のもてぎに向けて、ここでちゃんとポイント獲って、チャンピオンにつなげたいと思います」
阪口良平選手「思ったよりも温まりが良くて、最初から行けたんですが、2周目に2コーナーで飛び出しそうになって。でも、その週がベストということで、スリップなく、2コーナーのそれもあってベストが出たので、やっぱり車が決まっているんだなって。今回に向けて僕もわがまま言って、セットを変えてもらっていたので、行ったからには結果出さないといけないな、と思っていました。VITAの中では1番で、これ以上のことはないので、僕は真ん中乗りですけど、ドキドキ相方にしてもらおうと思います(笑)」
VITAクラス予選2番手/Ama-Amaクラストップ
:#1 DAISHIN★Progrexx★萬雲塾
大八木龍一郎選手「決勝はまぁまぁ、ふたりで全力尽くしてやり切るだけですね、それだけです。全勝目指して、最後の最後まで頑張ろうと思います。ただ今週、仕事でタイに行っていたので、全然走れていないんですよ……」
徳升広平選手「良平さんに負けました。完璧にやられましたけど、僕の中では2か所ミスをしていて、自分の中ではまとめることができなかったので、非常に悔しい気持ちでいっぱいです。でも、車はいい感じですし、ロングは昨日やらせてもらって、最後の方でもほぼベストタイムぐらいが出ていたので、決勝レースではいい勝負になるんじゃないかと思っています」
VITAクラス予選3番手/Ama-Amaクラス2番手:
#66 BASIS RACING☆リョーヘイズ
有岡綾平選手「最初に出て行った時、前の5、6台が競い合いながらアタックしていて、抜くのに時間かかって、正直タイヤのグリップのいい時に走りきれなくて、最後の最後にやっと出たという感じでした。
前の2台に着いていけるかは怪しいんですけど、なんとか着いていってバトルできるような展開にしたいと思っています。
ここのS耐で勝って、86でも勝って、先週のS耐も3位で、ずっと表彰台に上がっているので、今回も上がりたいと思っています」
VITAクラス予選4番手/Pro-Amaクラス2番手
:#78恵比寿アキランドVita制動屋
末廣武士選手「もうちょっと行きたかったですね。事前のテストではいい方向に行っていたので、手応えはあったんですが、ニュータイヤ入れるとブロックが高くて、ぬるぬるとした感じで。
内圧が思っていたのと、ちょっと反対方向だったようです。
もともと弱アンダーでいい車だったのが、オーバーステアにガラッと変わっちゃって、外したなぁと(笑)。
決勝のロングはうまく走れるようにセットはできているので、コツコツと完走できるように頑張ります」
VITAクラス予選5番手/Pro-Amaクラス予選3番手
:#75カーブティッククラブTrace渡海
伊東黎明選手「う〜ん、納得いかないですよ(苦笑)。
昨日までフィーリング良くて、明日ニュー履いたら楽しみだな、って感じだったんですが、今日行ったら、まずいちばん美味しいところでアタック失敗しちゃって。
でも、清水(康友)さんも非常に速いので、いちばんバランス取れているのは僕たちだと思うので、あわよくば優勝を、楽しんで勝てたらと思っています」
VITAクラス予選6番手/Pro-Amaクラス予選3番手
:#0モレキューレTMR萬雲塾VITA
大井偉史選手「まぁ、とりあえずやることはやったかな。
また、いつもどおり半年ぶりなので、3秒台の人たちには追いつかないのが現実ですけど、その中で練習を早めにやらせてもらって、やった成果は出ているかなと思います。
決勝はもう、淡々といきます。そんなに気負わず、耐久なので無理せずに行きます」
↓決勝レポートに続く