もてぎv.Granzシリーズ
2025/8/30
2025もてぎv.Granzシリーズ
チャンピオンの座には78ポイントで#19山下亮生選手(AKILAND RACING)がついた。
「今シーズン、最初はこんなよい結果が出ると思っていなかったので。ちょっと遠征、ぐらいの気持ちで乗り込んだのですが。
(スピリントの)開幕が2位だったことで、シリーズしっかり出てみようと思ったところ、第2戦からセッティングがバチっと決まってよくなって、速いクルマでレースさせてもらえました。
全戦表彰台に乗ることができて、こういった結果に繋がったのではないかと思います。
なのでよいクルマを作ってくれたチームにほんと感謝しかないです。
4輪のレースにデビューしてからは優勝もあまりなくて、チャンピオンというのは初めての経験なので、この上なく嬉しい気持ちでいっぱいです」
優勝 金澤力也選手
(#57ファイブコアジャパンv.Gra)
圧倒的な速さで🏆ポールto WIN!
8月30-31日に開催の「もてぎチャンピオンカップレース第4戦」にてもてぎv.Granzシリーズスプリントレースの第4戦が行われた。
3月のMEC120分耐久をスタートに、スプリントレースがここまでに3戦行われ、今回がシリーズ最終戦となる。
ここまでのシリーズランキング上位3名は
トップ#19山下亮生選手(AKILAND RACING)の58点、
2位#57金澤力也選手(ファイブコアジャパンv.Gra)45点、
3位#21いむらせいじ選手(オートルック V.GRANZ)28点となっており、
チャンピオン争いは#19山下選手と#57金澤選手に絞られている。
8月も終わりというのに一向に猛暑が収まらない栃木県のモビリティリゾートもてぎに9台のv.Granzが集まった。
■予選
15分間の予選は午前11時55分コースオープン。この時間ですでに気温34.5度という厳しいコンディションだ。
#92國廣隆一選手(R estate Racing with Rn-S)を先頭にコースインするが、昨年のチャンピオンで今年初参戦の#99イノウエケイイチ選手(ワコーズ三和EDニルズ)が計測ラップに入らずピットイン。
イノウエ選手によると前日から発生していた不具合が解決していないとのことで、リヤカウルを開けて応急処置にとりかかる。
計測1周目のトップは#31OOKA選手(G-TECH)の2分5秒723。
#31OOKA選手といえばMEC初年度チャンピオン、
昨年も3位と耐久で強さを見せるがスプリントにも磨きをかけつつある。
2番手に2分6秒778で#98西濱康行選手(Arcobaleno V.Granz)がつける。
#98西濱選手は昨年10月のもてぎv.Granz第2戦で2位に入って以来の参戦だ。
残り時間10分を切ってまず#57金澤選手が2分5秒662でトップに立つ。#31OOKA選手2番手にドロップし、
残り時間8分には#21いむら選手が2分6秒007で3番手に浮上。
#98西濱選手も自己ベストを2分6秒140まで短縮するが4番手にドロップ。
残り時間7分、#57金澤選手はトップタイムを2分4秒579まで短縮して予選は後半戦。
2番手#31OOKA選手、3番手#21いむら選手、4番手#98西濱選手と続き、
5番手にはシミュレータでおなじみ「ZENKAI RACING」代表の#71ハヤシヒロキ選手(ZENKAIRACING Winmax vGranz)が2分6秒309で上がってくる、
6番手#92國廣隆一選手(R estate Racing with Rn-S)、
7番手#3牧野淳選手(JAMC麻布ワコーズEDニルズ)、8番手にはシリーズランキング首位の#19山下選手。
残り時間5分、ここまでスローペースだった#19山下選手がギアを上げて2分5秒280をマークし、一気に2番手に上がる。
さらに残り4分、#21いむら選手が2分5秒796で4番手から3番手へアップ。
残り3分30秒、#57金澤選手はトップタイムを2分4秒310まで短縮。
2番手#19山本選手も自己ベストを2分4秒546まで削り取るがトップからは0.236秒の差がある。そして残り2分15秒、3番手には応急処置を施した#99イノウエ選手が2分5秒559で進出してくる。
チェカードフラッグが振られて15分間の予選が終了。
トップ#57金澤選手、
2番手#19山下選手は変わらず、
最後の最後に#31OOKA選手が2分5秒479と自己ベストを更新して3番手に上がる、
4番手#99イノウエ選手、
5番手#21いむら選手、
6番手#98西濱選手、
7番手#71ハヤシヒロキ選手(ZENKAIRACING Winmax vGranz)
8番手#92國廣隆一選手(R estate Racing with Rn-S)
9番手#3牧野淳選手(JAMC麻布ワコーズEDニルズ)という結果となった。
#57金澤選手は初のポールポジション獲得だ。
ポールポジション 金澤力也選手
(#57ファイブコアジャパンv.Gra)
「今回はクルマもバランスよく仕上がっています。
決勝はたぶん路面温度がかなり高くてタイヤにはきついと思うのですが、うまくタイヤマネジメントしながら、ペースを落とさず、守り切れればなと思います。
チャンピオン争いは僕が勝ったとしても山下君が4位以上入れば取られてしまうので、そこはどうなるか分かりませんが、まずは今回のレースでベストを尽くせればなと思います」
2番手 山下亮生選手(#19AKILAND RACING)
「ポールを取りたかったので、正直悔しい気持ちが多いです。でもレースは何があるかわからないので、最後までプッシュして、格好よく決められたらいいなと思います。
自信はないのですが、優勝してチャンピン決められたら格好いいなと思うので、できるように頑張ります。
(最近2連勝で)クルマにもかなり慣れてきて、走らせ方もだいぶわかってきましたので、勢いのまま行きたかったのですが、中々金澤君も速かったので、よいバトルしながらチェッカー受けられればいいなと思っています」
3番手 OOKA選手(#31G-TECH)
「1秒1は僅差ですね。スリップストリームをつかわせて貰おうと思っていたのですが、1番に(コースに)出て行ってしまったものですから、待っていてもなかなか後ろが来なくて。
もう開き直って自分一人で走っていました。私スロースターターなものですから、ほんとは一番タイヤがよい時に(アタックを)やりたいのですが、段々後から調子がよくなるので(苦笑)。
でも3位になれたので、よかったです。
決勝はスタートが課題ですので、スタートうまく行って、そのままポジションキープしてなんとか表彰台に行けたら、というふうに思っています」
4番手 イノウエケイイチ選手
(#99ワコーズ三和EDニルズ)
「ピットインしたのは 昨日ミッションが壊れて、それを確認したらやっぱりシフトが入らなかったので、そのエラーを消したりしていました。
解決はしなかったのですがとりあえず応急処置で出ました。
決勝までに解消します。とにかく暑いので、いむらさんが少しでも上にいけるように補助しますよ(笑)」
5番手 いむらせいじ選手(#21オートルック V.GRANZ)
「暑くなって路面温度も高くなって、きついのはわかっていたので、2分5秒台前半にいければと思って走っていたのですが、5秒6止まりでした。
でも昨日の最終のセッションと同じような感じだったので、その時6秒切れなかったことを考えれば、タイヤがよかった分ちょっと上がったのかな。
1位2位の人はもう届かないと最初から思っていたので、2番手グループでなるべく粘れるように頑張りたいと思います」
6番手 西濱康行選手(#98Arcobaleno V.Granz)
「最後バランス崩して回ってしまいました。流して走っていたのですが、気が抜けてたみたいで(苦笑)。
ニュータイヤでこの路面温度で走るのが初めてだったので、とりあえずタイヤと路面の感じを見ながら徐々にタイムを上げて行って、ここまで来られたという感じです。
上手な人たちと大きくは水を開けられなかったので、今のタイムとポジションは満足しています。
v.Granzでもてぎに参戦させていただくのは2回目で、毎回1年ぶりなので、慣れたかと言われるとなんとも言えないですが(笑)、与えられた時間でできる限り習熟したいなと思って取り組んでいます」
■決勝
ポールポジション 金澤力也選手
(#57ファイブコアジャパンv.Gra)
山下亮生選手(#19AKILAND RACING)
3番手 OOKA選手(#31G-TECH)
イノウエケイイチ選手(#99ワコーズ三和EDニルズ)
いむらせいじ選手(#21オートルック V.GRANZ)
西濱康行選手(#98Arcobaleno V.Granz)
#71ハヤシヒロキ選手
(ZENKAIRACING Winmax vGranz)
#92國廣隆一選手
(R estate Racing with Rn-S)
#3牧野淳選手(JAMC麻布ワコーズEDニルズ)
決勝は午後2時20分にコースイン開始。気温は36度を超え、路面温度も60度超という猛暑を超えて炎暑といえそうな厳しいコンディションだ。
予選の際にトラブルを抱えていた#99イノウエ選手も修復なったとのことで9台のv.Granzがグリッドに整列しレースがスタート。
ポールシッターの#57金澤選手、2番手#19山下選手とフロントロウの2台がスムーズに発進して第1コーナーへ飛び込んだのに対して、3番グリッドの#31OOKA選手が課題と言っていたスタートで失速して大きく順位を落とし、#21いむら選手が3位へアップ。
そして6番手スタートの#99イノウエ選手がインサイドから5番手スタートの#98西濱選手を差して4位にポジションを上げる。
#31OOKA選手は最後尾で第2コーナーをターンするが第3コーナーへ向けての加速で前を行く#3牧野選手をオーバーテイク、8位へ上がる。
トップ#57金澤選手は#19山下選手にオープニングラップだけで1.374秒の差をつける。
#21いむら選手と#99イノウエ選手は3位を争ってテール・ツー・ノーズ状態で戻ってくるとコントロールライン上ではサイド・バイ・サイド、#21いむら選手が僅かに先行している。
5位#71ハヤシ選手と6位#98西濱選手も接近戦で、さらにヘアピンで前を行く#92國廣選手を仕留めた#31OOKA選手が#98西濱選手と0.519秒差の7位まで浮上している。
#21いむら選手対#99イノウエ選手の3位争いは続く2周目の第1コーナーで#99イノウエ選手がアウトから仕掛けて失敗するも、続く第5コーナーで今度はイン側からブレーキング勝負に持ち込みオーバーテイクに成功する。
VITAの時代から何度も繰り返された両者のクリーンなバトルはv.Granzになっても変わらない。
バトルの間に後続が接近。
5位グループの#71ハヤシ選手、#98西濱選手、#31OOKA選手が迫っている。
その中で動きを見せたのが勢いのある#31OOKA選手で、S字の出口で#98西濱選手を抜いて6位に進出すると、90度コーナーでアウトから#71ハヤシ選手に並びかけてターンイン、セカンドアンダーブリッジで前に出てこれで5位。
3周目、6位を争う#71ハヤシ選手と#98西濱選手が第3コーナーへの進入でサイド・バイ・サイドになると僅かに接触したか、イン側#98西濱選手がスピン。ただちにレースに復帰するが最下位まで順位を落としてしまう。
勢いにのって順位を挽回する#31OOKA選手が#21いむら選手に接近。4周目に入るとテール・ツー・ノーズ状態で追走。
第1コーナーでアウトから狙うがここはラインがワイドになり#21いむら選手が守る。
しかし#31OOKA選手はプレッシャーをかけ続け、ダウンヒルストレートで右サイドに出るとインから90度コーナーへのブレーキングでオーバーテイクに成功、4位に上がる。
トップ#57金澤選手は#19山下選手に対して4周目で2.230秒差と着実にリードを拡げている。
元々予選3番手と速かった#31OOKA選手の挽回はさらに続き、5周目には3位#99イノウエ選手をロックオン。
ペースは明らかに#31OOKA選手が速く、4周目に1秒近くあった差が5周目に入ってみるみる縮まり、テール・ツー・ノーズ状態でダウンヒルストレートを通過、メインストレートでは0.083秒差と並走状態で6周目に突入。
#31OOKA選手が勝負を仕掛けたのは第3コーナー。
ブレーキングで僅かに先行するとそのまま大外刈りで#99イノウエ選手を仕留めて3位に返り咲く。
しかし黙って引き下がる#99イノウエ選手ではなく、第5コーナーから130R~S字と#31OOKA選手を攻め立てる。
このバトルの間にいったんは引き離された#21いむら選手も追いついて三つ巴の展開に。こうなると#99イノウエ選手は前を追いつつ後方も抑えなければならない展開。
6周目にトップ#57金澤選手は2分4秒826とこの日のファステストラップを叩き出して、2位#19山下選手との差を2.935秒まで拡げて独走状態。
3位#31OOKA選手、4位#99イノウエ選手、5位#21いむら選手、6位#71ハヤシ選手と続き、7位#92國廣選手に続いて3周目のスピンで最下位まで落ちた#98西濱選手が#3牧野選手を抜いて8位に上がってきた。
後半戦に入って上位のポジションが落ち着き始めている中で3位争いは接近戦が続き、#31OOKA選手を先頭に#99イノウエ選手、#21いむら選手までが6周目0.677秒差、7周目1.177秒差、8周目1.624秒差とワンミスが命取りの展開だ。
そのミスが出たのが9周目の#31OOKA選手。9周目の90度コーナー手前で失速。#99イノウエ選手に逆転を許してしまう。
#31OOKA選手は再度挽回すべく#99イノウエ選手を追うが、ビクトリーコーナーではラインがワイドになり縁石ぎりぎりで持ちこたえる間に離されてコントロールラインを通過。
一方トップ#57金澤選手は#19山下選手に5.947秒の大差をつけてファイナルラップへと入り、最後まで2分4秒台のペースを崩さずフィニッシュラインを通過。
今シーズン2勝目を飾った。
2位は#19山下選手、優勝でチャンピオンを飾る希望はかなわなかったが、しっかりゴールまでマシンを運んでチャンピオンを獲得した。
#19山下選手によるとレースキャリアを通じてひとつのシリーズでチャンピオンを獲得するのは初めてのことだそうだ。
3位フィニッシュは9周目の逆転で表彰台を獲得した#99イノウエ選手、
4位#31OOKA選手はスタートミスからオーバーテイクショーを演じてみせてくれたが惜しい結果に。
以下5位#21いむら選手、6位#71ハヤシ選手というトップ6になった。
優勝 金澤力也選手
(#57ファイブコアジャパンv.Gra)
「予選の後にも言った通り、決勝の間うまくタイヤマネジメントして、タイヤをタレさせないような運転ができて、後半までペースが維持できたので、自分なりにはよいレースができたと思います。
開幕戦はクルマ調子よくて勝てて、今回もよかったのですが、その間の2レースがちょっとよくなくて。それがなかったらチャンピオン狙えたので、ちょっと悔しいなとは思いますね。
チャンピオン取れなかったので、来年も出るかもしれません(笑)」
2位 #19山下亮生選手(AKILAND RACING)
「金澤選手が速くて、すごい頑張ったのでけれど、追いつけなかったので。無理してもよくないなとは思ったので、少しだけ(笑)安全パイを引きながらも必死に追いかけました。
でも追いつけなかったので、素直に『おめでとう』とお祝いの言葉を贈りたいと思います」
3位 イノウエケイイチ選手(#99ワコーズ三和EDニルズ)
「なんとか抑えきってしまいました(笑)。
OOKA選手が前に出て、そのまま行くのかなと思ったら離れなくて。最後ミスしたので(再逆転した)、という感じでしたね。まぁまぁ付いていけたので」
4位 OOKA選手(#31G-TECH)
「スタートは失敗してしまいました。それで最下位近くまで落ちて、そこからはもう死ぬ気で走ろうと頑張っていたら、かなりよいところでは挽回できて4位まで行けたのはよかったと思います。レースとしてはすごく楽しかったですね」
もてぎのv.Granzは面白いので来年も出たいと思いました。
5位 いむらせいじ選手(#21オートルック V.GRANZ)
「これは今の実力でございます、ちょっと射程距離じゃなかったので。スタート決まって3位には上がれたのですが、路面温度も高くて、ちょっとミスでペースが落ちてしまうので。イノウエ選手も頑張っていたので、序盤はちょっとやり合っていたのですが、そうしたら後ろからどんどん来ちゃうので、もう譲っていかせて最後の方で(勝負)と思っていたら、集中力切れて(苦笑)
暑いし『5位でいいや、後ろいないし』となってしまって。ちょっとでもスキがあったら行ってやろうと思っていたのですが、差が縮まるわけでもなく10周終わった、という感じです」
6位ハヤシヒロキ選手
(#71ZENKAIRACING Winmax vGranz)
「この前(7月)もその前(5月)の大会も出ていたのですが、8月やはり気温も路面温度も高くて。もうめっちゃしんどかったですが今回は1位2位の金澤君とか山下君が若手枠というか、速い二人でばーっと行ってましたが、
3番以降のところは4台5台が同じようなタイムレンジだったので、そこでうまいことワチャワチャやりながら楽しくレースできて。
一発狙ってやろうかと思っていましたが、みんな速い方ばかりで、そんな易々とは上に行けなかったですね。
でも皆さんと一緒に絡んでレースがやれて、レースの場でいろいろとコミュニケーション取れるのが、やっぱり楽しいです。
こういうレースを他のところでもいっぱいやって欲しいし、継続して運営していただきたいなと思います」