v.GranzとVITAによる2時間耐久レースシリーズ「MEC 120」
3シーズン目の2025年も全4戦で競われることとなった。
従来は鈴鹿サーキットからシリーズが始まっていたが、今年は改められてモビリティリゾートもてぎを開幕の地に。
この後、鈴鹿、岡山国際サーキットを経て、12月の富士スピードウェイで長いシーズンを終える予定となっている。
今年はドライバーのカテゴライズにPro、Amaだけでなく、Silverが加えられ、さらにv.GranzにもAma-Amaクラスが追加されて、4クラスでの戦いとなった。
経験豊富なジェントルマン同士のコンビであればあるほど、心から歓迎すべきクラス新設であろう。
きっと『総合でもあわよくば……』とも。
どうあれ、言えることは見どころがまた増す。これだけは間違いないだろう。
世界に一つだけ。レーシングカーの素材を使った
『MECトロフィ』
コンストラクターならでは。
今年は『M』をテーマに。
3月8日、白熱のバトルは、いざスタート!
v.Granz予選
勝てば、次のレースに課せられていたウェイトハンディ制度だが、今年はv.Granz、VITAともに採用されないこととなった。
また、v.GranzはMEC 120に限り、CSD(コクピット安全デバイス)装着車両のみ出場が許されることに。
これでエントリーは減ってしまうかと思いきや、現実はと言うとAma-Amaクラスには11台、
Pro-Amaクラスにも10台がエントリー。
このあたりは、各エントラントの安全意識の高さを強く感じさせてもくれた。
土曜日に行われた専有走行は、3月としても極めて寒くはあったが、ドライコンディションはしっかり保たれていた。
トップタイムを記していたのは、#23 J-LOC M&M v.Granzの元嶋佑弥選手。2分0秒488は、さすがGT300チャンピオンの貫禄といったところだろう。
2番手は#88金星工業楽しんじゃうv.Granzを駆る、弟の元嶋成弥選手。2分0秒960で続き、
3番手は#61 K.Kヨネタニ アキランドv.Granzの阪口良平選手で、2分1秒077を記していた。2年前に菅波冬悟選手が記録した、レコードタイム2分0秒107の更新も、決して夢ではないと思われていた。
しかし、専有走行の後、天気予報どおり雪が舞うようになり、いったん止みはしたものの、夕方になって再び降り出してしまう。
そのまま未明まで降り続いた雪は、早朝の好天もあって周辺道路やコース上には積もらなかったが、コースサイドを真っ白に染めていた。
そのため、予選開始は1時間近くディレイされて、9時45分からのスタートとなった。
それでもコース上は完全なドライではなく、一部にウェットパッチや川を残している状態。
手堅くウェットタイヤでコースインするチームもあったが、この判断は誤りだった。
もし、計測時間が長かったら、途中でドライタイヤに交換という手もあっただろうが、今回はわずか15分。
タイヤに熱が入る前に、チェッカーが振られていたはずだ。
この顛末の結論から言うと、ウェットタイヤ装着組で最上位は、2分5秒602の阪口選手で12番手。
ポールシッターのアウトラップにも及ばなかったのだから、もう意地で走り続けたのは想像に余りある。
陽は差しているが、依然として温度は低く、ウォームアップは普段以上に入念に行われた。
2分1秒台に入ったのは計測4周目で、元嶋成弥選手が2分1秒698を出した直後に、元嶋佑弥選手が2分1秒521を出して上回る。
ところが、それから間もなく2分0秒657という驚速タイムをタイミングモニターに記してきたのが、#22モノコレSUN’S CREATE v.Granzをドライブする富田星羅選手だった!
鈴鹿のv.Granzで年をまたいで2連勝の新星が、初めてのもてぎでも速さを見せたとあって、パドック中が騒然となる。しかしながら、これは計測エラー。
実際のタイムは2分2秒343ながら、鈴鹿での活躍によって「あいつなら、あり得るかも」と思わせたのは、また事実である。
一方、元嶋成弥選手と元嶋佑弥選手は順番を入れ替え、その後もまだタイムアップを続ける。
成弥選手が2分0秒988から2分0秒838へ、そして佑弥選手が2分1秒078から2分0秒857といった具合に。
その結果、ポールポジションは成弥選手がDAISUKE選手、小松響選手とともに操る#88金星工業楽しんじゃうv.Granzが獲得し、
2番手には佑弥選手がFUZZY選手とLAM Geoffry選手とともに操る#23 J-LOC M&M v.Granzが。
この2台はPro-Amaクラスのトップ、そして2番手でもある。
総合3番手はAma-Amaクラスのトップとして、大崎達也選手と白崎稜選手、そして村瀬光太選手の#29 E-NEEDSエブリ赤坂v.Granzが獲得。
アタックを担当した白崎選手は、計測4周目までは2分3秒台を出すのがやっとだったが、ラスト2周で大躍進、2分2秒959を記した後に2分1秒203にまでタイムを伸ばしてきた。
総合4番手は#19 AKILAND RACINGの石川京選手で、2分1秒579をマーク。
総合5番手は#57ファイブコアジャパン★RACINGの川合孝汰選手で、2分2秒081を出してきた。
そして総合6番手が富田選手で、Ama-Amaクラスの2番手。
同クラスの3番手には、公団ちゃんカラーでお馴染みの#779栄建設TBRを、VITAからv.Granzにスイッチしたばかりの道産子ドライバー、大島良平選手がつけることになった。総合では8番手に。
⭐️ポールポジション
&v.Granz Pro-Amaクラス予選トップ:
#88金星工業楽しんじゃおv.Granz
元嶋成弥選手
「路面はまだ濡れていました。最後のあたり、水が出てきて、雪解け水が。
それでまた路面が悪くなっちゃったのがあったんですね。しかも、最後の方で僕、ガス欠症状が出ちゃって帰ってきちゃったんです。兄弟対決は86で一回あったんですけど、これが二回目ですね。
決勝も楽しくなりそうです!」
2番手
✨v.Granz Pro-Amaクラス
予選2番手:#23 J-LOC M&M v.Granz
元嶋佑弥選手
「いいお兄ちゃんになっちゃった、めっちゃスリップあげちゃった。でも、いいやと思って。
最後の周、セクターベストで来ていたのに、僕もガス欠症状出ちゃって。セクター1、2、4がベストで、3だけガス欠症状が出ちゃって、落としちゃったんですけど、最後の周がいちばん良かったですね。
でも、耐久なので、そんなに熱くなっても仕方ないですし」
3番手
⭐️v.Granz Ama-Amaクラストップ:
#29 E-NEEDSエブリ赤坂v.Granz
白崎稜選手
「ところどころ、まだ雨のパッチがあって、川状に残っているところもあったので、そこをどう使うか……でしたね。コンディションは最後の方、よくなっていて、0秒台に入れられれば、というところでしたね。
決勝はスタートを大崎さんに担当してもらい、前に3台しかいないのでスタートで抜いてもらって、あとはスティントを3人でちゃんと走って、表彰台をまずは狙います」
4番手
✨v.Granz Pro-Amaクラス予選3番手:
#19 AKILAND RACING
石川京侍選手
「もう出て行ったら、スリックだなという感じで、ウォームアップには時間をかけました。
僕、金曜日にv.Granzを初めて走らせて(苦笑)。相方のオーナーさんはレースもv.Granzも、もてぎも初めてなので新参者なんですけど、予選ももうちょっとフロント温めていったら、もっと上位に行けたのかなって感じはするんですけど、まぁ初めてにしては上出来かな、というところです」
5番手
ファイブコアジャパン★RACING
6番手
✨V.Granz Ama-Amaクラス2番手:
#22モノコレSUN’S CREATE v.Granz
富田星羅選手「もてぎのレースは初めてで、先週初めて練習しました。
もてぎは自分が得意な鈴鹿みたいに、気合いで行ってタイムを出すというコースではないので、最初は苦戦したんですけど、自分で力を緩めて、軽く走ったら出ました、という感じだったんですけどね。実際には……。
まぁ、しょうがないですね。クラスで2番手でした。
スタートはプロの人はできないので、たぶん前の方にいる大崎さんだけが速いんじゃないかと。着いていくか、抜けたら抜くって感じですかね?
最初できるだけ自分が前に、前にって行って、阪さんにバトンタッチする感じですね。目標は表彰台です」
7番手:
アイフォア神戸v.Granz
8番手
✨V.Granz Ama-Amaクラス予選3番手:
#779栄建設TBR
大島良平選手「v.Granzでは初レースになります。今週の月曜日に初めて鈴鹿で乗って、で、今日なんで、あんまり経っていないです。
初めてにしては、まぁまぁの位置にいられているから、あと今、ドライバーチェンジの練習とか、細かいことをいっぱいやったので、なんですかね?
欲張っても早いタイムは出せないと思うので、マイナス部分を限りなく減らして、無駄のないように淡々と走りたいと思います。なんとか表彰台狙います!」
9番手:Dr.Dry Racing Team
10番手:G-TECH
11番手:SHINTO 制動屋 TMR萬雲塾
12番:K.Kヨネタニ アキランドv.Granz
13番:KAPUKA#55MOTO # vGranz
14番:ダイワN通商アキランドV.Granz
15番:ルーニーアキランドv.Granz
16番:岡部自動車アイフォア神戸v.Granz
17番手:RT HERO’S WAYTAN ABBEY RACING
18番:ABBEY RACING
19番:NKGニルズFUNDINNO
20番:RT HERO’S ビル管財
VITA-01予選
v.Granzの予選が終わってから、わずか10分のインターバルを挟んだだけだが、路面状況は若干ながら回復。
ただコース前半のライン上はほぼ乾いていたが、後半の一部には雪解け水で川も残っていた。このクラスは溝つきタイヤだから、チョイスに頭を抱える必要はない。
当然、計測1周目までは全車かなり慎重に走る中、さっそく計測2周目から2分11秒768を記してきたのが、#714 Final lap Racingの藤原大暉選手だ。
まさに絶好調の藤原選手は、その後も2分11秒776、2分11秒761と着実に詰めていき、誰をも寄せつけず。
Ama-Amaクラスながら、金本きれい選手とVITAクラスのグリッド先頭に並ぶことになった。
2番手もAma-Amaクラスから。#18(株)オオハシ☆ASLAN☆VITA-01の太田達也選手は、なかなか2分12秒を切ることができずにいたが、ラストアタックをしっかり決めて2分11秒877をマーク。
藤原選手にコンマ1秒と遅れず続くこととなった。
3番手はPro-Amaクラスのトップにも。#11リーガルトップwithプラチナガレージの末廣武士選手が計測3周目に2分12秒640を記し、その後のタイムアップは果たせなかったが、ポジションを守り切る格好となった。
4番手は#81東京IRCニルズvivo VITAの菊地靖選手が獲得。
2分12秒772をラストアタックでマークして、Ama-Amaクラスの3番手となった。
そして自ら久々のVITAドライブとなった、#80プライルバッテリーマーズ01のMASANOBU KATO(加藤正将)選手が2分13秒059で5番手につけ、
またPro-Amaクラスの2番手に。
同クラス3番手は#55 HI’z Racing Project 01の廣田築選手が獲得した。
VITAクラス
VITA-01ポールポジション&
⭐️ Ama-Amaクラストップ:
#714 Final lap Racing
藤原大暉選手「路面はところどころ川が流れているというか、雪解けの水がコース上に流れているところが点々とあって、それを考慮しながら走っていました。
後半になって路面作ってアタックかけたら、内圧が上がりきっていて。
もう死に物ぐるいでアタックしていたんですけど、昨日ユーズドで調子が良くて、11秒4ぐらい出ていたので、『新品履いて、さぁ10秒いこう!』って思っていたんですが、そんなには甘くなかったですね、この路面だと。
でも、ポールが獲れて、決勝はもう淡々と、本当に車を労わりながら行ければいいな、と思います」
金本きれい選手「プレッシャーはすごいですけど、頑張ります。
VITAも年数重ねてきて安定するようになってきて、昨日走っていて、そんなにペースも悪くありませんでした。
足を引っ張らないよう頑張ります。
ミスなく走らないと、タイム良くても勝てないので、チームでミスのないように、ロスがないように頑張っていきたいと思います」
2番手
✨VITA-01 Ama-Amaクラス2番手:
#18(株)オオハシ☆ASLAN☆VITA-01
太田達也選手「ちょっとまとめられなくて。セクターをつなげられれば、もっとタイムを出せたと思います。
路面はV字とヘアピンの進入に川があるぐらいでしたが、そこがちょっと難しかったですね。
決勝はふたりでガンガン行く、作戦はないっす! ガンガン行きます(笑)」
3番手
✨VITA-01 Pro-Amaクラストップ:
#11リーガルトップwithガレージプラチナ
末廣武士選手「路面は雪解け水が縁石に伝わって、コースを横断していくみたいな感じで、セクター1、2はなくって、セクター3のV字、ヘアピンにちょっと川がありましたね、ちょうどアプローチしていくところに(笑)。
うち自体、もてぎでVITA走ったことがなかったんで、このレースウィークでみんな来て走らせて、という感じなんですよ。なので、位置的には悪くないとは思います。
セットも岡山とか富士を走っているまんまで持ってきて、『これ、全然違うな』とか言っていたりしたので、まぁ。
スタート担当のジェントルマンと若手が、頑張ってつないでくれると思うので、最後の僕も頑張ります」
4番手
✨VITA-01 Ama-Amaクラス3番手:
#81東京IRCニルズvivo VITA
菊地靖選手「まぁまぁAmaというか、おじさんクラスだから(笑)。俺、もう53っすよ、今年で。
イシカワさんは68、新井さんは俺と同じ53で!
路面はほぼドライで、ところどころパッチがあって、ちょうどヘアピンの入口が濡れていて、何回か滑って。ぞれ以外は全然。
ただ、タイヤの温め方が分からないというか、なかなか温まらなくて、温度も低いから。本当はね、もうちょっと温められたら、待ってから『パン!』と行きたかったんだけど、俺も素人みたいに走り続けたから(笑)。
最後の周にベストという、ありがちなやつ。
決勝はスタートが俺。Amaだから(笑)。スタートでなんとか前に行って、真ん中イシカワさん、ちょこっと走ってもらって、最後に新井さん。なんとか勝ちたい!」
5番手
✨VITA-01 Pro-Amaクラス2番手:
#80プライルバッテリーマーズ01
MASANOBU KATO選手
「路面はセクター2までほぼドライ。3、4でちょっと川が残っている状態で。走り的には別に問題あるとかはないですけど、昨日のタイムよりはだいぶ遅くなっちゃったので、原因を探っています。
VITAの総合トップを狙いすぎて、セッティングを昨日やりすぎたな、というのはあります。
でも、ピットインのシミュレーションも予選中にできたので、決勝は楽しみにしていてください!」
6番手:RSかなやエンドレスVITA
7番手:RAST★NJK★CF亜衣
8番手
✨VITA-01 Pro-Amaクラス3番手:
#55 HI’z Racing Project 01
廣田築選手
「車のフィーリングは予選で見ることができたので、決勝に向けてポジティブな走行になりました。
淡々と走って、気づいたら上の順位に、ってレースができたらと思っています。
一緒に走るのはカートやっている仲間なんですけど、四輪はふたりともデビューレースになります」
9番手:ETA NOBEL FRANCE 01
10番手:スリーワイドレーシング・レプリスポーツ
11番手:Sharaku-Life