岡山チャレンジカップ2H耐久レース
岡山国際サーキットの名物レース、チャレンジカップ2H耐久レースが10月20日に開催された。
年に2回行われる2H耐久、今年最初のレースのエントリーが29台だったのに対し、
今回は30台とほとんど変わらなかったものの、
今年から参加可能となったCS2が皆無だったのは、鈴鹿クラブマンレースと同日開催だったため。
当然、VITA-01に関しても鈴鹿からの遠征はなかったが、それでも14台がエントリー。
ほぼ半数を占めることとなった。
前日までは不安定だった天気も、日曜日になると好転し、
絶えずドライコンディションでの走行が可能な状態に。
予選の計測25分間と長めだが、登録されたドライバーは必ず走行して、
基準タイムをクリアしなくてはならないから、3名登録のチームにとっては慌ただしくもある。
その予選で序盤のトップは
カーブティック☆KID☆ウイニング制動屋の清水康友で、
1分47秒064をマークしたところで、上岡広之に交代。
その上岡も1分47秒208を記録する。
しばらくの間トップを保っていたが、松本匡史と交代したmddent with アキランドの松本武士が、いきなり1分46秒台に叩き込むと、今度は1分45秒台を連発する。
最後は1分45秒754にまで短縮を果たし、総合のポールポジションこそS2000を駆るチームに明け渡したものの、VITAではダントツのトップに躍り出る。
一方、その直後にmddent with アキランドと、カーブティック☆KID☆ウイニング制動屋の間に割って入ったのが、萬雲恒明とともに恵比寿楽しく走ろう.comアルファ1号を走らせる、バイエルン松尾だった。
1分46秒573をマークして2番手につけ、悲願のタイトル獲得に向けて大きな前進を果たすこととなった。
「クルマはちょっと調子が悪いというか、足回りがあまりいい状態じゃないみたいで、以前の富士のレースでカマボコ板(走路外走行防止のハンプ)に乗っちゃっているんだそうです。
アライメントだけ整えてもらって、確認を兼ねて走ったという感じだったので、
普段より回転下げて走ったんですけど、メカニックさんが一生懸命調整してくれたみたいなので、
思ったよりもちゃんとタイムが出て安心しました」(松本武士)
決勝のスタートは原則としてAドライバーが担当。
レース開始から間もなく、いきなり展開が大きく動く。
予選総合3番手から、N1-86の平川亮が1コーナーまでにトップを奪い、
そして恵比寿楽しく走ろう.comアルファ1号の松尾も、2コーナーでVITA勢のトップに浮上。
GT500/SFドライバーの貫禄で、そのまま逃げ続けていた平川ながら、
5周目のヘアピンでマシントラブルが発生してクラッシュ!
リタイアを喫したことからバイエルンが総合のトップに立つこととなったからだ。
また、その直前にはカーブティック☆KID☆ウイニング制動屋の清水が、
mddent with アキランドの松本匡史をかわして2番手に浮上していたが、
松尾はそのまま逃げ続けていった。
そして、38分間経過した21周目に、恵比寿楽しく走ろう.comアルファ1号カはピットに入って、
萬雲と交代。
それより13分間早く、13周目に松本武士と交代していたのがmddent with アキランドだったが、
萬雲はその前にコース復帰を果たすこととなった。
その間、トップを走行していたカーブティック☆KID☆ウイニング制動屋の清水が、
ようやくピットに入ったのはスタートから50分間を経過した27周目。
コースに戻ると上岡は、萬雲と松本武士に再び囲まれる、2番手となっていた。
その時点での萬雲のマージンは15秒。
一方、松本武士はピットイン時の走路外走行のペナルティとして、ドライビングスルーを課せられており、さらに8秒もの遅れをとっていた。
しかし、3台のうちで明らかにペースが上回るのは、松本武士。
先行する2台が1分48秒台で周回するのに対し、ひとり1分47秒台で周回し、
39周目のヘアピンでは、ついに2番手に浮上する。
そして、勝負に出たmddent with アキランドは、次の周にピットに入ってくるも、
松本武士はコクピットを降りず!
残り40分間もすべてを託すこととしたのだ。
間もなく残り30分間を切ろうというタイミングで、恵比寿楽しく走ろう.comアルファ1号は43周目、松尾と交代。松本武士の前でコースに復帰する。
そして再びトップに立ったカーブティック☆KID☆ウイニング制動屋は、
残り25分間となった51周目に清水と交代するが3番手。
その時、松尾と松本武士の差は、すでに2秒を切るまでに。
勢いに乗る松本武士は53周目のリボルバーで、松尾に襲いかかって待望のトップに浮上する。
そこからは上位3台は単独走行に。
ゴール間際は松本武士もペースを抑える余裕を見せながら、最後は6秒差でフィニッシュ。
4位でゴールした大八木龍一郎/青木孝行組のDAISHIN☆Progrexx☆ナギサ、
そして5位でゴールし、旧型エンジン搭載車両を対象にした、トロフィークラス優勝の妹尾智充/竹内耕二組までが、63周の走破に成功した。
優勝:mddent with アキランド
松本匡史「なんとか無事に、自分の仕事ができたんでよかったです。
武士さんが全部やってくれたようなものなので、自分はミスしないようにと。ほぼノーミスだったんですが、ピット入る時に走路外走行をやってしまったので、その部分もカバーしてくれましたので、本当に感謝しています。ええ、楽しかったですよ!」
松本武士「足回りのトラブルは確かにあったんですが、メカニックさんができる限りの処置をしてくれたので、乗りやすいクルマでまったく問題なく走りきれたので良かったです。
今回の絶対命令が『勝つために、お前を雇ったんだぞ』ってことだったから、オーナーさんに表彰台に上がってもらってホッとしています」
2位:恵比寿楽しく走ろう.comアルファ1号
バイエルン松尾「チャンピオンが決まって、ホッとしました。最終戦も頑張りますけどね。
レース展開としては、最初に抜いて、後ろを離せたから、かなり楽になったはすなんだけどなぁ。
平川選手が飛び出してからは、総合でもトップを走れたのは気持ち良かった。
2位はまぁ、仕方ない。
チャンピオンっていうのは初めてだから、やっぱりホッとしたっていうのが気分としては一番だね」
萬雲恒明「まぁまぁ別格の速さだったので(松本武士は)、仕方ないですね。
マージンはあったんですが、1周1秒ぐらい速いんだもの(笑)。
でも、同じチームなのでワンツーフィニッシュも飾れたんで、良かったですよ」
3位:カーブティック☆KID☆ウイニング制動屋
清水康友「まぁ、やっぱりプロにはかなわないですね。
ただ、素人が一緒ぐらいのタイムを刻めたので、自分としては100点に近いレースだったんじゃないかと。楽しく走ることはできました」
さて、総合優勝を飾った松本武士に、VITA-01で耐久レースを戦う魅力やメリットを聞いてみた。是非とも参考にしてほしい。
「クルマがずっと同じ状態で走り続けられるというのが、いちばん大きいですね。
耐久性がすごくあるので、普通ハコ車だと長く走っているうちにタイヤがタレて、エンジンが調子悪くなったり、ミッションが入りにくくなるとか、後半にトラブルが出てくると思うんですよ。
あとブレーキの効きが悪くなったりとか。
なので、乗る順番で左右されちゃう。
先に乗った方が気持ちよく走れて、後に乗った方が我慢して走るみたいなところがあるんですけど、VITAにはそういうのが全然ないんです」
「タイヤもそんなに思うほどタレて来ないので、みんなが気持ち良く同じようなコンディションで走ることができる。
なおかつみんなで比較して走ることもできるので、
特に入門の方には耐久レースでしっかり走ってもらって、
腕を磨いてからスプリントにも挑んでもらうというのが、僕はいいんじゃないかと思います」
それを受けて、パートナーの松本匡史もこう語ってくれた。
「経験浅いんで、一緒に組ませてもらったんですが、豊富な時間を走れるのは楽しいです。
スプリントではどうしても競り合いを意識するんですが、
耐久で意識するのは完走すること。楽しいですよ。
長く走れるので。すごく勉強にもなります。
また、クルマの状況を正確に伝えてくれるので、
それに合わせて自分もどこまで攻めればいいのか分かるし、
細かい分析をしてもらえるのはありがたいです」
記事:秦 直之さん
今回 富士、鈴鹿とVITAレースが重なっていたため
ドライバーの方々にも協力していただいてレポートが仕上りました。。走行写真はないのですが、
記事を書いてくださった秦さんのレポートが、まるで実況中継を聞いているような、そんな雰囲気が感じられ、のめり込んでしまいました。
動画もいいけど、やはり文章のレースレポートは、ドライバーの表情や心境がとても伝わり、さすがだと思いました。
ドライバーだけではなくチームが一丸となって戦う事が
耐久レースの魅力で、モータースポーツの醍醐味であり、なんと言っても楽しい。
VITAと耐久レースの相性はなかなかいいようだ。と
耐久レースの魅力を伝えてくださった皆さま、
ありがとうございました。
VITA 倶楽部