【v.Granz予選】
専有走行が行われた金曜日の午前は、強い雨に見舞われたものの、2回目が行われた午後にはやんで、練習はウェット、ドライの両方での走行が可能となっていた。きっと土曜日の天候がどうであろうと、しっかり対応できるはずだ。
だが、土曜日朝一番の予選は、引き続きウェットコンディションでの走行となった。今回もv.Granzクラスと、VITA-01クラスは分けられて走るものの、インターバルを設けず、30分の計測のうち、前半の15分がv.Granzクラスの、後半の15分がVITA-01クラスの枠となる。
こと富士では、タイミングを見計らうのではなく、早々にアタックを開始するのがセオリーとなっていた。今回も例外にはならず、ほぼ全車が計測開始と同時にコースイン。最初にトップタイム、2分2秒932を記したのは#31 G-TECHの佐藤公哉選手だ。
しかし、次の周に2分3秒123から2分1秒872まで短縮し、トップを奪い取ったのは#61 K.Kヨネタニアキランドの阪口良平選手だ。
良平選手は1周だけクールダウンを挟み、その後は2分1秒644、2分1秒472、2分1秒298とタイムを刻み続ける。どうやら路面状態が良くなっていったのは明らかだ。そのまま15分間フルに走り続け、2分1秒298、そして最後の周には2分1秒092と、あと一歩のところで2分フラットに乗せるまでに!
同様に有力どころは、最後にきっちりタイムを出してきた。2分1秒467を記して2番手に躍り出たのは#29 E-NEEDSエブリ赤坂v.Granzの白崎稜選手。FIA-F4に参戦中のドライバーだ。
そして3番手は2分1秒488を出してきた、#10ルーニーCSアキランドv.Granzの晴南選手。木曜日がv.Granz初乗りで、しかも予選で初めてウェットコンディションを走ったことを思えば、『さすが!』の一言。伯父の良平選手との差は、あってないようなものだ!
4番手は#71 ZENKAI RACING v.Granzで初参戦のイゴール・オオムラ・フラガ選手で、2分1秒696をマーク。
そして5番手が開幕戦を制した#Dr.Dry☆v.Granzの荒川麟選手で、2分1秒765を記して、ここまでが2分1秒台に乗せてきた。
6番手は#38 PISTA ACM v.Granzの佐々木孝太選手、7番手は序盤のタイムから大きく伸ばせず、#31 G-TECHの佐藤選手、そして8番手が#72ダイワNアキランド v.Granzの国本選手と錚々たる顔ぶれが続く。
前回のポール、#87 Dr.Dry☆v.Granzの下野璃央選手が9番手で、そして前回の優勝でハンデキャップの15kgを積んだこともあり、#777 SEVEN x SEVEN with KFMの渡会太一選手は10番手に。今回はパートナーとして急きょ武井真司選手と笹原選手が起用されている。
ポールポジション&v.Granzクラス
予選トップ:#61 K.Kヨネタニアキランド
阪口良平選手「川はないですね、だからと言ってドライアップしているような場所もなくて。
皆さん、内圧どのぐらいだとか、いろいろ作戦あったと思うんですけど、基本的に最後のラップがベストで、どんどん上がっていくという。
最初、3秒から1秒に行ってタイヤはタレていくのかと思ったけど、まだ余力あるなと思って走り続けようと。しかも最終ラップはクリアだったので、それが一番でしたね。
正直な話、僕がスタート行くわけではないし、でも、いい意味でドキドキしてもらいたい。
90年代からずっとやられている米谷さん、僕と同じ歳のジェントルマンドライバーの畑さんに緊張感持って走ってもらって、僕は最後に行きます」
米谷浩選手「良平がさすが、ポール取ってくれて嬉しいけど、スタートドライバーとしては非常に不安(笑)。
雨で、特に1コーナーがどうなるか分からないので、雨量増えたらセーフティカー(SC)スタートもあるって言っていたけどね。いろんな人にアドバイスもらいながら、できるだけ順位守れるように頑張ります。
v.Granzクラス
予選2番手:#29 E-NEEDSエブリ赤坂 v.Granz
白崎稜選手「薄い雨の幕があるぐらいで、もうマシンのバランスは整っていたので、『やるだけやる!』って感じでした。
最後の方はコンディションが良くなっていて、ただブレーキをロックさせたりしていたので……。僕は木曜日しか走っていないんですよ。間にブレーキパッドも変わっているので、ちょっと合わせ込むのに時間かけてしまいました。
決勝は勝木(崇文)選手と村瀬(光夫)選手が安全に走っていけば、このままトップは行けるんじゃないかと思っているので、天気次第ですね。天候に恵まれることを期待しています」
v.Granzクラス
予選3番手:#10ルーニーCSアキランド v.Granz
阪口晴南選手「木曜日に初めて走らせてもらって、数周ドライで走って、今の予選です。最後のラップに出しましたが、最初からそこそこのタイムを出せる雰囲気はあって、本当に少しずつ路面が良くなっていく感じでした。
でも、ずっとアタックすることがトラフィックなり、自分のミスなりで、できなかったので、それは少し反省点ですが、最後の周に関しては、そこまで何かしたわけではないので、許容の範囲内でアタックできたと思います。
ウェットでの走行がなかった中で、自分の感覚の調整は間に合ったんですけど、車両の方はもっとやりようがあったと思うので、そこはちょっと……。
良平さんと戦うというのがあったので、負けたのは悔しいけど、チームとしてはみんな上位で終えられたので、そこは良かったです。決勝はまた一工夫してくれるというので、いいペースで走れることを期待しています」
【V.Granzクラス決勝】
前回もインターバルは4時間余りだったが、今回はわずか2時間余り! 慌ただしいこと、この上ない状態で決勝レースのスタート進行が開始された。
なお、上位陣でスタート担当をAドライバーから改めているのは、4番手の#71 ZENKAI RACING v.Granzの兒島弘訓選手、そして6番手の#38 PISTA ACMグランツの坂田元憲選手だ。
期待した雨はやむことなく、SCスタートでの開始となった。先導は約10分、3周にわたって行われた後、グリーンシグナルが灯された。いきなり1コーナーに向けて先陣争いが繰り広げられ、4台が横並びで飛び込んでいく!
しかし、#29 E-NEEDSエブリ赤坂 v.Granzの白崎選手がブレーキロックでまっすぐ、さらに#71 ZENKAI RACING v.Granzの兒島選手も曲がりきれずにオーバーラン。
幸い、ふたりともすぐに復帰した。
結果、1コーナーでは#61 K.Kヨネタニアキランドの米谷浩選手がトップで立ち上がるも、100Rで#10ルーニーCSアキランド v.Granzの齋藤真紀雄選手がトップに浮上。
そして、その齋藤選手にヘアピンで迫ってきたのが、兒島選手だった。GRスープラコーナーでは、早くもトップに浮上する。
トップに立ってからの兒島選手の勢いは止まらない。そのまま逃げ続ける中、いったん6番手まで退いていた白崎選手が2番手に浮上。
一時は10秒以上に達していた兒島選手の貯金を、徐々に吐き出させるようにもなっていた。
ところが、スタートから41分を経過した18周目に、SCが導入されてしまう。これで兒島選手の真後ろに白崎選手が!
MECではSC導入中のピットインは可能だが、給油は禁じられている。19周目に#71 ZENKAI RACING v.Granzは林寛樹選手に交代するも、この後は燃費走行を余儀なくされる。また、SC通過とピットロードを出ようとしたタイミングが重なり、タイムロスを抱える不運もあった。
SCが離れた後に、v.Granz勢は一斉にピットインするも、白崎選手はコース上に留まったまま。ほぼ1時間経過した24周目に、ようやくドライバー交代を行なっていた。
その後、トップに立ったのは、#777 SEVEN x SEVEN with KFMの渡会選手だった。スタート担当の武井選手との交代を8周目に行い、アンダーカットにも成功。そのまま逃げ続けて、36周目からのラスト30分を笹原選手に託す。
その後のトップを走ったのは、#38 PISTA ACM v.Granzの佐々木選手だったが、まだ2回目のピットストップを済ませてはいない。もちろん逃げ続けていたが、果たして十分であったか? 残り10分を切ったところで佐原弘恭選手に代わるも、7番手に後退してしまう……。
これでトップに躍り出たのが#10ルーニーCSアキランドv.Granzだった。齋藤選手から山本龍司選手への交代を9周目に行い、27周目に代わった晴南選手がいったん大きく順位を落とすも、当然のごとくじわりじわりと追い上げていたのだ。
そして、その時点で2番手につけていたのが笹原選手。GT500ドライバー同士のゴール間際のバトルに注目されたが、そこは7秒ほどのリードがあった晴南選手。笹原選手も意地の走りで詰めこそしたが、最後は4秒2及ばず。
#10ルーニーCSアキランド v.Granzの斎藤選手と晴南選手、そして山本選手がMEC 120で初めての総合優勝を飾った。
3位は#61 K.Kヨネタニアキランドの米谷選手と良平選手、畑選手が獲得し、
4位も#72ダイワNアキランドv.Granzの大山正芳選手と国本選手、橋本守生選手で、アキランド勢が上位を独占した。
一方、その中で2位に食い込んだ#777 SEVEN x SEVEN with KFMが、ランキングのトップに浮上。
#87 Dr.Dry☆v.Granzの阪直純選手と下野選手、そして土屋祐輔選手が5位でチェッカーを受けたものの、黄旗2本提示区間での追い越しに対し、30秒加算のペナルティが課せられて6位に順位を下げていた。
その結果、ひとつ順位を繰り上げたのが#31 G-TECHのOOKA選手と佐藤選手で、ランキングをトップから2位に下げこそしたが、差も5ポイントに留め、まだまだ2連覇の希望を、最終戦・岡山までつなぐこととなった。
v.Granzクラス優勝:#10ルーニーCSアキランド v.Granz
齋藤真紀雄選手「結構スタート決まりまして、1周目トップに立ったのかな? 100Rで抜けたんですけど、若い子が来ていたので、それでちょっと2台ぐらい行かせたんですけど。自分の役割としては、ジェントルマンの中では良かったんじゃないかなと。ミスもなかったので。デビューウィンなんですよ、v.Granzの。このカテゴリーは初めてだったので、晴南選手が頑張ってくれたし、山本選手も真ん中をだいぶ引っ張ってくれたので、勝てて良かったです!」
阪口晴南選手「3番目、僕は最後に走りました。みんなで1台の車をシェアするレースは、面白かったです。ご存知のとおり、アキランドは僕の父のチームですし、チームメイトには良平さんとか家族もいるし、一緒に戦っているチームメイトは、昔からお世話になっているスポンサーの方なので、一緒にレース出たいとずっと思っていたんですが、なかなか機会がなくて、こういう機会もらえて楽しかったです」
v.Granzクラス2位:#777 SEVEN x SEVEN with KRF
武井真司選手「車に乗れてなさ過ぎて、というか車に乗る機会も、この週末あんまりなくて。自分的には運転する環境作りに時間かかり過ぎて、いざ本番みたいな感じになっちゃったんで。
ただ、自分のせいかわからないですけど、1コーナーでシフトダウンできなくなったことがあって、それでオーバーランしてから、ちょっと消極的なドライブしかできなくなってしまったんですが、もともと僕はウォームアップ程度のラップって、最初から決まっていたので、まぁ、車を壊さず戻ってこられたら、渡会くんがやってくれるだろうと思っていました。まだ、何も分かっていないんだよね、実は(苦笑)」
渡会太一選手「予選から考えたら、少し厳しいかなと思っていましたが、決勝を間で行って、だいぶロング走ったんですけどペースも良く、ポジションも上げられたので良かったと思っています。僕ら、ハンデもあったので、15kgの。そういう意味でも満足のいくレース、2位だったと思っています」
V.Granzクラス3位:#10ルーニーアキランドv.Granz
米谷浩選手「やっと表彰台、という感じですね。1戦目も2戦目もチャンスあったんやけど、トラブルとかクラッシュとかで、やっと! 本当にやっという感じで、良平くんが頑張ってくれていたのはあるけど、自分の仕事もできたかなと。
耐久レースなので、スタートから無理してくる人は遅い。まぁ、早い人には行かせて、自分のペースで持っていったのが良かった。次は表彰台の真ん中を狙います」
阪口良平選手「今回、僕は最後で、米谷さん〜畑さん〜僕という順番で。皆さん、こういう不安定なコンディションの中、ちゃんとバトンを渡してくれたので、なんとか表彰台に行けて良かった。まぁ、身内バトルにはなったんですけど(苦笑)、向こうは燃料とかいろいろあって、最後に前に出られて、何も接触もなくて、車もトラブルなかったので。僕も車のフィーリングは楽しめましたよ。去年、MECはVITAで出て、VITAの気持ちも分かりますし。しっかりパドルシフトが、乗っていて気持ちいいですよね? レーシーな感じがするので。ふたつ分かれて、いいパッケージングでレースされているなぁ、っていうのが両方乗ってみて初めて分かりました」
■v.Granz
4位:#72 大山 正芳 / 国本 雄資 / 橋本 守生
ダイワNアキランドv.Granz
最高のウェットタイヤを用意いただけた横浜タイヤさんに感謝です!
優勝するかと思ってましたが、気づいたら4位でした。レースは楽しかったです!
5位:#31 OOKA / 佐藤 公哉 G-TECH
長く乗れたので非常にレースとしては楽しめました。
短い時間でのドライブで接触もあってちょっと流れも運も良くなかったところもありますが、着実にポイントは取れたので次戦はチャンピオンに向けて頑張りたいと思います。