富士チャンピオンレース第3戦
FCR-VITA
今回14台がエントリー、KYOJO-CUP第3戦とダブルエントリーは5台となるFCR-VITA第3戦が10月19日(土)に行われた。
全4戦で行われるFCR-VITAは、今回シーズンも折り返しとなる。
前日からの雨はこの日の朝になっても残っており、午前9時10分から20分間で行われた公式予選でも、水量は少ないものの路面状態はウエットのままでセッションがスタートした。
この予選では、今シーズンここまで2連勝で現在ランキングトップの武村和希選手が、まず3周目に2分21秒158のトップタイムをマーク、さらに5周目には2分20秒041と自身のタイムを更新する予選最速タイムを刻む。
セッション後半でベストラップを更新していった伊藤鷹志選手だが、この武村選手にわずかに及ばず、2分20秒822で2番手に収まることとなった。
セッション終盤で予選3番手通過となった小西 岬選手は4周目に出した
2分21秒926がベストタイムとなった。
ポールポジションを獲得した武村和希選手は、前日の練習走行では「感触が悪すぎ」と非常に厳しものだった様子。
「昨日は、タイヤはまったく喰わず、路面温度も低くて、それでもセットを詰めいきました。この予選では3周目くらいからようやくタイヤがグリップし出して、タイムを出すことができました。
(予選2番手の)伊藤選手と得意・不得意なところが違っているんですが、決勝で前に出られれば勝てると思います。
ですのでスタートをしっかり決めたいと思います」とコメント。
予選2位の伊藤鷹志選手も前日の走行からタイヤのグリップ不足に悩んでいて、この予選でもセットアップを少し外してしまったところもあって、トップから0.781秒遅れてのタイム。
「セッション終盤でグリップも戻ってきてタイムアップできたんですが、そのアタック中に霧が出て1コーナーのメーター看板が見えなくて勘で入っていくしかなくて、ここがクリアだったらもう少しタイムを稼げてトップも狙えるところまで行けたかもしれません」と、残念がる。
予選3位は、2016年シーズンのFCR-VITAでランキング2位を獲得し、今回4年ぶりの復帰参戦となった小西 岬選手。「(前日の練習走行は)セットも出なくてタイムも伸びず、どうなることかと心配でしたが、チームメイトの伊藤選手のフィードバックも取り入れてクルマを仕上げてもらいました。予選でも路面はけっこう滑りやすくて、タイヤがグリップするところとグリップしないところの見極めが難しかったですね。セッション中に接触があって、マフラーがつぶれちゃったんですが、これを直してもらって、決勝レースでは暴れます!」と元気なコメントを残してくれた。
4位には2分22秒052のタイムでイノウエ ケイイチ選手。
それに続くのはKYOJO-CUPとのダブルエントリー組のひとり、荻原友美選手(2分22秒830)。「アタックというアタックはできていない。なにもうまく走れなかった。自分が思っている“このくらい行ける”というところと“マシンがいける”ところの差が大きく、まとめることができなかった」とへこみ気味だが、見事3列目アウト側のグリッドを獲得した。
このセッション中に出てきた霧は、いつしか富士スピードウェイ全体を包みこみ、午前10時過ぎの他クラスの予選セッションは一時中断となったが、30分ほどで霧が晴れると今度は日差しがコースに降り注ぐこととなった。
この霧のディレイのため、FCR-VITAも予定よりも10分遅れた12時30分に各車がコースイン、10周の決勝レースがスタートした。すでにレコードラインは乾いている状態で、この週末初めてのドライ路面でのレースができるかと思ったものの、このFCR-VITAがグリッドに着いたこのタイミングがこの日の天候のピークだったようで、そこから再び天候は雨模様に変わっていく。
グリッド上には陽射しが残っていたものの、コースの一部で雨が降っているということで、このレースは、フォーメーションラップなしのセーフティカー・スタートとなった。
セーフティカーの先導で走行しているにもかかわらず、1周を終えてグリッドに着きかけたり、スタートに遅れるものも出たが、2周を先導走行したセーフティカーがピットに戻り、3周目からレースはグリーンとなった。
ここで武村選手と伊藤選手のトップ2台が一気に先行していく。
また、5番手にはKYOJO-CUPにダブルエントリーをしている、
荻原友美、翁長実希、村松日向子の3選手がやりあうという展開からスタート。
トップ2台はテール・トゥ・ノーズでやりあいながら徐々に後続を引き離していく。
3番手争いは小西選手をイノウエ選手がパスして3番手に浮上するも、5周目に入った時点でトップとの差が4秒に開き、すでに前方の2台を捕らえるには難しい状況になった。
その後も3番手争いは順位を入れ替えながらの展開となっていく。
さらにその後方の5番手争いもトップから遅れてはいくもののし烈なバトルとなり、
女性3名に、遠藤浩二選手も加わって、ポジションは幾度も入れ替わる。
トップ争いは、
6周目の1コーナーで武村選手のスリップからイン側にマシンを入れて、トップが入れ替わるが、
武村選手も負けずに追いすがり、
7周目の1コーナーで今度は逆にイン側に武村選手が入り、伊藤選手はトップを明け渡す。
その後さらに伊藤選手がトップを奪うも、8周目のGRコーナーでイン側に入った武村選手が膨らんで
2台は接触。
ここでいったん伊藤選手が前に出たものの、最終コーナーから立ち上がって2台は並んでコントロールラインを通過しファイナルラップに突入。
ここで武村選手が1周にわたってトップを守り切ってチェッカー。
これで武村選手は開幕3連勝でシリーズタイトルを獲得することになった。
武村選手は
「今回は強敵(伊藤選手)がやってきたので楽しめました。途中ではらんでしまって当たっちゃったんだけど、フェアなレースをしたくて、いったん後ろに下がって再度正々堂々とバトルしました。
タイトルは決まりましたが、最終戦も全戦全勝でシーズンを終えたいです」とコメント。
2位の伊藤選手も
「楽しかった。SCが入って周回数を数えていたんだけど、自分の頭の中のラップ数と実際のラップ数がなぜか違ってて、あと一周あると思ったらチェッカーでした」と最後の勝負を仕掛けるタイミングを間違えていたことを暴露。
3位には、最終ラップで小西選手を下したイノウエ選手が入った。イノウエ選手は「若手をやっつけようというつもりで参戦したけれど、前の2台のスリップに着くはずがスタートで出遅れ3番手争いをしている。
そして、終始展開された5位争いを制したのは翁長実希選手。
「セーフティカー・スタートに切り替わったことがわからなくて、スタートで出遅れてしまいました。それで前に追いつけず届かなかった。ただ、昨日からマシンのセットが合わなかったんですが、ドライセットが良いことが確認できたので、KYOJO-CUPに向けていい感触がつかめました」とコメントしてくれた。
記事:青山 義明さん
FCR-VITA、シリーズ化して今年で3年目になる。
S-FJを乗りこなした若手ドライバーが多く参戦するようになり、
レース展開の面白さもどんどんハイレベルになってきた。
中でも、そこに挑戦する女性ドライバーのスキルが高くなっており、
男性、女性問わずポーディアムを目指すことが出来るレースに成長してきた。
それと共にKYOJO CUPレースのレベルの高さを感じることが出来る。
富士スピードウェイでのレースは、インタープロトレースと同時開催なので、
更に魅力が増したイベントとなっている。
VITA-01を乗りこなし更なるタイムアップを図るには、
フォーミュラの基本をしっかりと学ぶ事が大切である。
この先フォーミュラ経験者の参加もどんどん期待したい。
11月16日FCR-VITAファイナル第4戦は、
富士、筑波、モテギ、AP、フィリピンと5レースが重なっているが
22台のエントリーを集めた。
次回も素晴らしいレース展開を運んでくれる事であろう。
ドライバーの皆さまには心より「ありがとう」とメッセージを。
VITA倶楽部
FCR-VITA第3戦のVITA-01たち