V.Granzクラス決勝
[フリー走行]
日曜日のお昼には20分間のフリー走行が設けられるも、ほぼ折り返しのタイミングに2コーナーでコースアウトした車両があり、赤旗が出されることに。延長はなく、残り3分で再開されたが、何やら波乱の決勝を予感させてもいた。
ちなみにトップは#10ルーニーアキランドv.Granzの藤原優汰選手で、2分15秒726をマーク。
予選こそ10番手だったが、ともに組む植田正幸選手、阪口晃平選手もコンスタントラップが期待できそうで、果たして決勝でどこまで順位を上げてくるか。
これに続いたのが、
#777 seven x seven with KF MOTORSPORTの渡会選手で2分16秒431。
そして3番手には2分16秒640で、
#7 Risingwest v.Granzの徳升選手がつけ、ここも激しい追い上げを予感させた。
余談ながら、直前まで天気予報はこの週末の降雨を伝えていたが、どうやら好転した模様。土曜日の夜こそ強い雨が降り、早朝まで路面は濡れていたが、たちまちのうちに乾いて「MEC 120」には少しも影響を及ぼさずに済んだ。
[🏁決勝スタート]
さて、決勝は定刻の15時25分にフォーメイションラップを開始。
1周のフォーメイションラップの後、グリーンシグナルの点灯とともに熱戦の火蓋が切られる。
1コーナーへのホールショットを決めたのが、ポールシッターで#777 seven x seven with KF MOTORSPORTを駆る渡会選手だ。
これに#666 seven x seven with KF MOTORSPORTのBANKCY選手が続くも、渡会選手には着いていけず。それどころかヘアピンでブレーキをロックさせてしまい、7番手に順位を落としてしまう。
これで#71 ZENKAI RACING v.Granzの兒島選手が2番手に上がるも、
5番グリッドから好スタートを決めていた、#12 KF MOTORSPORT v.Granzの塩津選手が130Rで前に。
この間にトップを行く渡会選手は、1周だけで5秒4ものリードを築き上げていた。
その後もしばらく2番手争いは激しく続き、2周目に#87 Dr Dry☆v.Granzの阪選手の先行を許していた兒島選手だったが、4周目には再逆転。
すると今度は#86 Dr Dry☆v.Granzの猪爪選手が阪選手に迫って、5周目には前に。チームメイト同士で仁義なき戦いを繰り広げていた。
7周目に入ると、トップを行く渡会選手のリードが、ついに10秒に到達。しかし、これが水の泡と化してしまう。
S字で止まった車両があり、セーフティカー(SC)が導入されたからだ。
スタートからわずか16分……。この先導は11分にも及んだが、リスタートが切られた直後に、またしてもSCが! 130Rで接触があってストップした車両があり、さらに巻き込まれてしまったVITA-01の一台がピットロード入口でフロントカウルを飛ばしていたからだ。
2回目のSCランも11分、3周に及び、すでにスタートから40分近く経過していたことから、リスタート後に最初のドライバー交代を行うチームも現れたが、
上位陣はまだ動かず。43分経過した15周目に、6番手に順位を戻していた#666 seven x seven with KF MOTORSPORTがピットに戻って藤波選手に交代したが、これはルーティンだったはず。
そして、17周目には4番手、5番手を走行していたDr Dry☆v.Granzが同時にピットイン。
50分経過した18周目に、トップの#777 seven x seven with KF MOTORSPORTがピットイン。リードを再び7秒ほどにしていたが、これは渡会選手にとって不本意だったはず。何事もなければ、もっと大量のリードを山口選手に託せたのだから!
次の周には#71 ZENKAI RACING v.Granzも木村選手にスイッチするが、その直後に3回目のSCが。
デグナーで止まった車両があったためだが、これで少なからず#71 ZENKAI RACING v.Granzはロスを減らせたはずだ。
一方、なおもドライバー交代を遅らせていた#12 KF MOTORSPORTの塩津選手が、この間トップに立つも、
驚くべくは#31 G-TECHのOOKA選手、
#7 Risingwest v.Granzの大野選手が2番手、3番手に上がっていたことだ。
一発の速さでは予選上位陣に引けを取ってはいても、燃費には優れ、かつコンスタントにタイムをまとめてきたということなのだろう。
3回目のSCランが終わった直後に、この3台は同時にピットイン。それぞれ三島選手、佐藤選手、そして徳升選手を投入する。
そして24周目には#71 ZENKAI RACING v.Granzが待望のトップに浮上するが、
2番手は
#666 seven x seven with KF MOTORSPORT。
木村選手と藤波選手によるトップドライバー同士のバトルに期待が込められるも、その直後に#666 seven x seven with KF MOTORSPORTにドライビングスルーの指示が! 最初のSCラン中に追い越しがあったためだ。
一方、24周目には#86 Dr Dry☆v.Granzがピットイン。当初の予定では荒川選手が乗っていたはずだが、これは早すぎる。その理由は後に明らかになる。そして26周目にファステストがピットに戻ってきたことで、#87 Dr Dry☆v.Granzの下野選手に続く、3番手に#777 seven x seven with KF MOTORSPORTの山口選手が浮上……したはずだった。
しかし、直後に衝撃的な映像が飛び込んでくる。
200Rでスポンジバリアが散乱、そこで止まっていたのは#777 seven x seven with KF MOTORSPORTだったのだ!
これにより4回目のSCランが実施され、トップは木村選手のままだが、2番手の下野選手は真後ろにピタリ。この先導は7周、実に25分にも及んだため、それぞれエース投入のメリットも奪われてしまったことにもなった。
一方、この間の28周目に大ギャンブルに討って出たのが、8番手を走っていた#31 G-TECHだ。佐藤選手からOOKA選手への交代を敢行。SCラン中のドライバー交代は認められているが、給油は禁止。残り時間は30分を切りつつあったが、どれだけ燃費に自信があったのか!
33周目にバトルは再開、残りは20分を切っていた。その周に#666 seven x seven with KF MOTORSPORTは、BANKCY選手への交代を行うと、
3番手に躍り出ていたのは v.Granz鈴鹿チャンピオンの関正俊選手とともに、#1グラック& KTSを走らせる河村直樹選手だったが、非情にもドライビングスルーの指示が。やはりSCラン中の追い越しが原因だった。
ゴールまで残り10分を切った36周目、まずは#71 ZENKAI RACING v.Granzが林選手に、
そして37周目には#87 Dr Dry☆v.Granzが阪選手に交代。
ドライビングスルーを行った直後の#1 グラック& KTSも関選手に。そして200秒のピットストップが終わると……。
なんとトップに立っていたのは#31 G-TECHのOOKA選手で、これを追いかける格好となったのが
#86 Dr Dry☆v.Granzの荒川選手だった。
そう、このチームは作戦を入れ替えて、大阪選手が第2スティントを担当していたのだ。そもそも2回目のドライバー交代で給油していないOOKA選手は無理が効かず、39周目のスプーンでトップを明け渡したのは、やむを得まい。それでも予選15番手からの大逆襲は果たしたことになる!
優勝は#86 Dr Dry☆v.Granzの大阪選手と猪爪選手、そして荒川選手が飾り、
2位はディフェンディングチャンピオンの意地を見せた、#31 G-TECHのOOKA選手と佐藤選手が獲得。
そして#87 Dr Dry☆v.Granzの阪選手と下野選手は、なんとか3位に踏み留まったものの、
杉本選手に代わった直後の#12 KF MOTORSPORT v.Granzは、追突を食らって順位を落とし、
#1グラック& KTSに続く8位に甘んじるという不運も……。
不運と言えば、#7 Risingwestv.Granzにも。ピットを離れた時のSCとの位置取りが悪く、周回遅れになってしまって挽回ならず。無念の13位に終わっていたからだ。
逆に#71 ZENKAI RACING v.Granzと、#666 seven x seven with KF MOTORSPORTを上回り、金星とも言える4位を得たのが
#41 Racing Team HERO’Sの中川徹選手と青合正博選手だった。
予選は14番手だったが、青合選手から中川選手への交代を2回目のSCラン直後、2回目の交代を4回目の直後に行ったのも功を奏したよう。
V.GranzにはAma-Amaクラスが設けられていないが、あったとしたらクラス優勝としていたことになる!
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v.Granzクラス優勝:
#86 Dr Dry☆v.Granz
大阪八郎選手「最後は荒川に任せました。真ん中で乗りましたよ、
僕は。戦略を変えて真ん中でショートで、荒川に代えて全部抜いてもらうという作戦だったんですが、ずっとSCで。
最後の最後にもうトントントンと、うちは早めに2回目済ませていたので、みんなSCに引っ張られて、1回しかしていないところが全部落ちてきました。戦略の勝利です! あとは猪爪がスタートから頑張って、順位落とさず帰ってきたので、それも大きかったですね」
猪爪杏奈選手「ニュー(タイヤ)のいい時は、速いドライバーに抜かれちゃったんですけど、安定した車を作ってもらえたので、ロングのペースは悪くなかったですね。いい車作ってもらって、戦略もはまって優勝できて本当に嬉しいです」
荒川麟選手「チームの作戦がバッチリはまったので、頑張ってくれたチームの皆さん、エンジニア、ドライバーのみんなに感謝です。それで1位になれました。優勝できて良かったです。この勢いを、まずは来週のスーパーフォーミュラ・ライツでも! しっかり結果出せるように頑張ります」
v.Granzクラス2位:
#31 G-TECH
OOKA選手「予選まではセッティングも決まらなくて、公哉線もなかなかタイム出せなかったんですけど、決勝はお互い頑張れて。当初、エンジンが熱持っちゃって危ないのかなと思っていたんですが、気づいたら上にいました。運だけで来ました!」
佐藤公哉選手「最善の結果です! 昨日の予選は僕が全然ダメだったんですが、ロングはまだもうちょっとマシな感じでした。課題は予選ですね、次に向けて。今日はラッキーで、本当にOOKAさんに長い間乗ってもらって、ほぼOOKAさんで走っていただいたようなものなので、感謝しています。SCが断続的に出続けたので、なかなか流動的でしたけど、うまくチームが対応してくれたので、良かったです」
V.Granzクラス3位:
#87 Dr Dry☆v.Granz
阪直純選手「久々に鈴鹿の表彰台からの光景を見させてもらいました! 下野選手の凄い走りを全然使えなかったので、ちょっと残念な感じなんですけど、レースはレースなので。次回、しっかり立て直してきます」
下野璃央選手「ちょっと悔しいですね。レースは何があるか分からないから仕方ないですけど、う〜ん。戦略なんですかね? しっかりやっていたつもりなんですけど、運には恵まれなかったかもしれません。次、リベンジします」
v.Granzクラス4位:#41 Racing TEAM HERO’S
青合正博選手
「正直、ここまで来られただけでもベストではないかと、今のところ。表彰台まであと一歩だったんですけど、これ以上となるとジェントルマンふたりでは、そんなに甘くない。やっぱりプロは、それだけの速さを出してきますし、特に今回、予選は僕が行かせてもらったんですけど、やられるとは思っていましたが、2秒3も空けられると悔しい通り越して、感動ですからね(苦笑)。だから、そういうところは思い知らされたというか、よく勉強させてもらえて良かったなと思う反面、やっぱりドライバーなんで、なんとかジェントルマンで表彰台獲りたいという気持ちはあるので、次戦以降も作戦なり考えて、やっていこうと思っています」
V.Granzクラス5位:#71 ZENKAI RACING v.Granz
兒島弘訓選手
「ちょっと悔しいですね、序盤は割と良かっただけに。ただ、僕のスティントで言えば、渡会くんとは全然レベルが違うというか、ドライバーも上手いですけど、車もまだまだやれることがあるなって感じだったので。走行回数も多くない中で、GTドライバー(塩津選手)に着いていけた、競り合うことができたのは、僕にとって大きな自信になりました。
あのバトルは非常に楽しくやらせてもらえて、チームオーナーの林さんには非常に感謝しています。
今年はウェイトハンデもあるので、そのへんも活かしてチャンピオン、狙っていこうと思っています」
V.Granzクラス6位:#666 seven x seven with KF MOTORSPORT
藤波清斗選手
「また出直します。今回で何が足りないか確認できたので、絶対に仕上げて。まだ3戦あるので、チャンピオン目指していきます。
でも、(777の)ドライバーに怪我なくて良かったです、あれだけ大きなクラッシュだったのに。VITAが寄ってきて、避けようとしたら外に行っちゃって、当たってしまったようです。次、頑張ります」