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FCR-VITA最終戦Rd.4
2022/12/15 レポート

富士チャンピオンレース第7戦 FCR-VITA第4戦

12月10日 富士スピードウェイ

FCR-VITAのエントリー台数が43台に達し、また記録を更新した。同日に鈴鹿クラブマンレースが行われているにもかかわらず。さらに言えば、先週のもてぎからの連戦となったドライバーも、少なからず存在するのだから驚きだ。

富士スピードウェイの長いストレートで繰り広げられる、スリップストリーム合戦にどうやら皆一様に魅入られてしまったようだ。

この背景には、富士チャンピオンレースに参加しやすい、本格的なレーシングカーのレースが減っていることも、影響しているのかもしれない。正しくは、レースは継続されているが、今や旧車が大半となって入手困難になっているのだ。いずれにせよ、完全に人気は定着したと言っていいだろう。

最終戦にチャンピオン候補として臨むのは3人。徳升広平選手(フジタ薬局アポロ電工

12ポイント差で追いかけるのは塚田海斗選手で、20ポイント差で首の皮一枚ながらチャンスを残しているのが翁長実希選手(KeePer VITA)だ。
塚田選手が優勝しても、徳升選手は5位に入れば、2連覇達成となるため、かなり有利であるものの、そういった決定を望んではいまい。最後まで激戦となりそうだ。


公式予選

FCR-VITAの予選開始は、なんと8時。気温も路面温度もかなり低いだろうと、タイヤの発熱を考慮されたのだろう、計測時間は前回より5分長い25分とされた。
実際には覚悟していたほどではなかったものの、気温は10度に満たず。誰ひとり計測1周目からアタックすることなく、しっかりウォームアップを行っていた。一方で澄んだ冷たい空気がエンジンを回し、前回、小西岬選手(Raise UP ACRE-01)が記録したばかりのレコードタイム、1分58秒621の更新が期待された。

最初に2分を切ってきたのは、やはり徳升選手。計測2周目には1分59秒384をチームメイトの翁長選手とスリップストリームを使い合って記すと、

次の周にはその翁長選手が1分59秒015でトップに浮上。
ふたりともいったん間合いをとりつつ、クールダウンを挟む間に、塚田選手が1分59秒163で2番手に浮上。
が、その直後に徳升選手が1分59秒039で2番手を取り返す。
そして4番手には猪爪杏奈選手(LHG Racing YLT VITA)が、1分59秒319をマークして浮上。

さらにタイヤに熱が完璧に入った徳升選手が、計測6周目に1分58秒627へとタイム更新を果たしてトップに躍り出る! 当然、レコードブレイクを狙って、なおも周回を重ねた徳升選手だったが、すでにタイヤはピークを過ぎており、1分59秒台は連発するも、壁は越えられず。ポールポジションは獲得した徳升選手だったが、嬉しさは半分のようだった。

一方、レコードホルダーの小西選手は、前半はタイムが伸び悩み、ようやく1分59秒台に入れる状況が続いていたが、上位がタイムアップを果たせぬ終盤に、ようやく1分59秒334をマーク。


その結果、徳升選手、翁長選手、塚田選手、そして猪爪選手に続く5番手に。

6番手は中盤に1分59秒505を記していた並木俊貴選手(ビーフラット横浜gr VITA)で、


7番手の斎藤愛未選手(D.D.R.VITA-01)が1分59秒533を記録し、ここまでがトップの1秒以内。


8番手に1分59秒719で大野俊哉選手(ビーンズスポーツSPM☆VITA)、
9番手に1分59秒726で上野大哲選手(タイヤカスレーシングVITA)、

そして10番手に1分59秒739DE新井薫選手(オートルックVITA-01)で続いていた。

ポールポジション: 徳升広平選手(フジタ薬局アポロ電工高山短大VITA)

「チームメイト(翁長選手)にスリップストリームを、バッチリ使わせてもらいました! 
アタックは3周目ぐらいから。最初タイヤ食わなくて、寒過ぎて。やっと3周目ぐらいからグリップし始めて、ベストは5周目ぐらいじゃないですか? 
自分としても6周目までにタイムを出さないと、タイヤはタレる一方かなと思っていたので、無事その間にタイムが出せて、一安心です。レコードにはあと一歩届かなかった、しょうがない。その分、チャンピオンを決めます!」

予選2番手: 翁長実希選手(KeePer VITA)

「徳升選手にスリップを使わせてもらって、だいぶ私が後ろを走っていたので、取りやすかったはずが、私のペースが最初はすごく良かったんですけど、後半ちょっとバランスが崩れちゃったので、少しフラフラになっちゃって、徳升さんは逆で後半良くなってきたのかな? 
そういった意味で、お互いのいいところが違っていたので、それが逆にいい感じでスリップ使い合っていけたといけたとは思うんですが……。トップとの差がどういうところか分析して、決勝では最初にチェッカー受けられるように頑張ります」

予選3番手:塚田海斗選手(BRM VITA)

「比較的いつもより、位置取りは良かったですね。今シーズンを通して、パーフェクトではないですけど、いちばんいいアタックができたかな、と思います。
タイトルを争う3人が並んで、決勝はゴチャゴチャになると思うので気をつけて。見ている方は楽しい、走っている側として全然面白くないレースになりそうですが、頑張ります」

予選4番手:猪爪杏奈選手(LHG Racing YLT VITA)

「いい位置でスリップが使えたのと、ペースも悪くなかったので、最終戦になって、やっといいポジションで戦えそうです。上位の人と同じようなペースで走って、チャンスを狙いたいな、と思っています」

予選5番手:小西岬選手(RaiseUP ACRE-01)

「いつもうまくはいかないですよ、してやられましたけど。レコードはなんとか保ったみたいなので、そこはニヤニヤと(笑)。まぁ、なんでしょう、もう開き直れるポジションなので、前見て行こうと思っています。
『いい加減、勝て』ってみんなに言われています。一生懸命頑張りますので、お願いします」

予選6番手:並木俊貴選手(ビーフラット横浜gr VITA)

「台数が多くて混んでいたので、タイミング次第なんですけど、もうちょっと欲を出して、うまくスリップ使って前に行きたかったな、という感じでしたね。
結局、うまくいっても、引っかかったりするのが何周かあったので、そこをもうちょっと改善すれば。運ですね、そこは。決勝でうまく巻き返していこうと思っています」


決勝レース

決勝レースは今回も青空に恵まれ、今年のFCR-VITAは全戦ドライコンディションでの戦いとなった。これもエントラントの、日頃の行いの良さの賜物? だが、10周での戦いは、波乱の幕開けとなってしまった。

徳升選手と翁長選手、フロントローのふたりは無難なスタートを切ったのに対し、絶妙のダッシュで3番手に躍り出たのが猪爪選手。その順で1コーナーに飛び込んでいったのだが……。イン側にわずかに空いたスペースに、小西選手がねじ込んでいったものの、その直後にブレーキがロック。コントロール不能になって猪爪選手に当たり、ともにスピンしたところに避け切れず塚田選手も接触してしまったのだ。

これにより、徳升選手と翁長選手が後続を一気に引き離すも、セーフティカー(SC)が入ってリードは一瞬で消滅。そして3番手には大野選手、4番手には新井選手が急浮上、イン側のラインを選んで混乱を避けられたのが理由だった。

SCランは4周目まで続くも、リスタートを完璧に決めた徳升選手は、次の周にはリードをコンマ8秒とし、その後もなお逃げていく。SCラン明け直後の1コーナーでは上野選手が、新井選手をかわして4番手に浮上。

一方、翁長選手は背後に大野選手、上野選手が食らいついて、徳升選手追撃に専念できず。そればかりか6周目の1コーナーでは、いったん大野選手の先行も許していた。続くコカコーラコーナーで抜き返すも、その間に徳升選手との差は1秒5にまで広がっていた。

ようやく翁長選手が後続を振り切ったのは8周目。ストレスからの解放で、9周目にファステストラップとなる2分0秒216を記録し、わずかに差を詰めて徳升選手への抵抗とした。

 

大野選手と上野選手、新井選手によるバトルは最後まで続くも、順位変動はなく大野選手が3位となって初の表彰台へ。

上位陣の多くがフォーミュラ出身のドライバーで占められる中、N1ロードスターから移行の大野選手の快挙は、富士チャンピオンレースを戦っているドライバーの希望ともなったはずだ。

さらに、その後方でもバトルを続けていた下野璃央選手(KeePer VITA)が、最終ラップに並木選手を抜いて6位でゴール。予選こそ12番手だった下野選手ながら、1コーナーの混乱を避けられたことで、大きく順位を上げていた。

そんな後続の激動を尻目に、最後は揃って単独走行とし、チームメイト同士で2戦連続のワンツーフィニッシュを決めた徳升選手と翁長選手は、ランキングでも1位、2位に。

徳升選手は2連覇を達成し、FCR-VITAからの卒業を明言した。

また、1周目の混乱で順位を落とした3人は、小西選手がピットに戻ってリタイア。猪爪選手と塚田選手はレース続行なるも、レース後のペナルティによって、さらに順位を落としていた。

 

 

 

 

 

優勝:徳升広平選手(フジタ薬局アポロ電工高山短大VITA)

「シリーズチャンピオン獲れました、良かったです。最初のスタートも良かったし、SC明けのスタートも良かったし。でも、ファステストラップ盗られてしまったので、完璧ではなかったですね。
何よりトップのまま最後まで走り切れる車を作ってくれた、チームに感謝です! 
耐久には来年もまた出ますが、FCR-VITAは2連覇できたので、スプリントはもういいかなと。
去年もそんなこと言っていて、また出たんですけどね(笑)。
来年はFIA-F4とフォーミュラビートを頑張ります。また、よろしくお願いします!」

2位:翁長実希選手(KeePer VITA)

「後ろの車がストレート、すごく速いので、ある程度インフィールドで離しても、1コーナーで入ってきそうな間合いだったので、なかなか前を追っていくというモードに入れなくて……。
後半ちょっと差を広げられたので、あとはできるだけ追いつこうと思って、はい。ファステストは獲れたので、良かったです」

3位:大野俊哉選手(ビーンズスポーツSPM☆VITA)

「来ました、やっと来ました! 最初の混乱をなんとかクリアして、『あれ、3位みたい』な感じでラッキーでした。その後は大哲選手とバトルして、けっこう厳しかったですね。
あと、翁長選手に着いていけて、一瞬だけど前に出られたのは自信になりました。
でもSCって初めてなんですよ、スプリントでは。岡山の耐久ではあったんですけど、ちょっと大丈夫かな、みたいな感じで心配でしたけど、なんとか無事に行けて良かったです」

4位:上野大哲選手(タイヤカスレーシング VITA)

「バトル、面白かったです。でも、なんか今イチ。今年は常に上位にいられたんですけど、思ったとおりの順位は残せませんでした。とりあえず来年も耐久は出る予定なので、それではトップの方で走れるように、いろいろ足回りとか考えてやっていきたいと思っています」

5位:新井薫選手(オートルックVITA-01)

「スタートした後、本当はアウトに行きたかったんですけど、イン側のスタートだったのでそのまま行って、場所がなかったので、そのまま前の車に着いて、イン側行ったのが多少良かったみたいです。
表彰台に立てれば良かったんですが、まだスピードが足りないので、なかなか。もっと頑張ります」

6位:下野璃央選手(KeePer VITA)

「最初の混乱は当たりそうだったんですけど、ぎりぎり避けられて。
もう気づいたら、ひとりスピンし始めて、2、3台ワ〜ってなっているなと思って、スピンしている車のイン側を通ろうとした時に動き出したので、当たるかと思ったんですけど、切り抜けられました。
加速が鈍ったんですが、まわりもそうだったの順位を上げられました。
完全燃焼ってほどではないですけど、悪くはなかったですね」

今回3年ぶりに海外からのエントリーもあり、FCR-VITAにはLOO Long Yin選手が、
そしてKYOJO CUPにはYEUNG Denis選手が参戦。ふたりを走らせたD.D.R.の瀧井厚志代表に話をうかがいました。

「ふたりとも香港の方で、デニスさんは違うチームで3年前にも出ていたそうです。話をいただいてから大変だったのは、誰も通訳してくれないので翻訳ソフトを使ってやり取りして。大変でしたけど、細かく連絡を取り合ったことで信頼してくれて、先月の中旬から下旬にかけて、レースに出るのが本決まりになりました。
デニスさんはフィットの中国版、1.5ℓの。あれで中国のレースに、年に何回か出ていると聞いています」

「ルーさんはデニスさんのボーイフレンドで、レースには2回しか出たことなくて、ほぼぶっつけに近い感じなんです。でも、来日してすぐD.D.R.のお店にも来て、3〜4時間練習していたんですが、その甲斐もあって最初は3秒ぐらいだったのが、予選で1秒まで来ましたからね」

結果はLOO選手が予選31番手からスタートし、決勝では順位を落としてしまいましたが、33位で無事完走。KYOJOではDenis選手が予選18番手から15位でゴールしています。

コロナも完全に収束したわけではありませんが、こうやってまた国際交流がはかれるようになったのは何よりです。世界中の人たちがVITAでレースをまた楽しめるようになるといいですね!

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2022年、FCR-VITAの人気はどんどん広がり、40台を超えることが当たり前になってきた。
来年はMEC耐久レースで[v.Granz]も初レースを迎える。
レーシングカーを乗りこなし、ドライビングスキルをUPする。
モータースポーツが皆様の人生をさらに楽しくするスポーツになることを目指し、
23年のFCR-VITAを育てて行きたいと思います。

一年間ありがとうございました。

VITA CLUB Co.Ltd