もてぎチャンピオンカップレース第4戦
9月4日 ツインリンクもてぎ
ツインリンクもてぎのもてぎチャンピオンカップレースのもてぎVITAレース(全4戦)の最終戦が、9月4日(土)にツインリンクもてぎで開催された。
もてぎシリーズは、いむらせいじ選手(#21 オートルックVITA01)が前回の第3戦で優勝しタイトルを確定したこともあり、この最終戦は欠場。ランキング2番手につけている相馬充寿選手(#5 ブライルマーズ・アイテック01)のポイントは26ポイントしかないため、現在暫定8位までの各ドライバーにまだチャンスがあるという状況でランキング争いでは2位争いが熾烈となっている。
このもてぎ最終戦となる今回は11台がエントリー。
エントリーリストに名前のあった辻かずんど選手は家庭の事情で時間的にもてぎに到着できないということで欠席となり、代わりに車検の手伝いに来ていた小松寛子選手が急きょ代役として74号車(#74 MARSRACING VITA)で参戦となった。
第3戦に引き続いて、この日の天候もにわか雨。
前日の練習走行も雨が降ったり止んだりの一日だったが二日続けてのウェット路面での展開となった。
まず、午前9時45分からの15分間で行われた予選では、路面状況も悪いままで、ウェット宣言が出されての走行となった。
それでもセッション開始直後はまだコンディションは良いほうで、セッションが進むにつれて、若干の降雨があって、各選手ともに計測1周目が勝負所だったと語る。
その結果、イシカワヨシオ選手(#8 東京IRC・vivo・ニルズVITA/2分27秒415)
がVITA初のポールポジションを獲得。
「1周目しかチャンスはないなということでイノウエ選手に付いていこうという感じでした。
1周目で2、3番手かなと思っていたら、トップでしたね。40年ぶりのポールポジションです。
ただ一番前は好きじゃないので、残れるようなら表彰台に上がりたいと思っています」と謙虚に応えてくれた。
予選2番手となった佐藤考洋選手(#1 TIPO FUCHS ETA/2分27秒640)
「計測1周目しかなかったですね。
それでもダウンヒルストレートは濡れ始めてたし、もう1周アタックできるかと思ったけれど失敗したのであきらめて帰ってきました。フロントロウからのスタートですが、こんな予選だったのでレースはどうなるかわからないですね、荒れるんじゃないですか?」と語った。
予選3番手の西濱康行選手(#17 ETAアルコバレーノ/2分27秒830)
「雨が降り始めたタイミングでのセッションだったので早いタイミングでアタックしかなかったです。
まぁまぁうまく行ったのではないかとは思いますが、実は最終コーナーで失敗してて、それがなかったらと悔やまれます。予選セッションの後半は本戦を見据えての確認に終始しました」という。
9/4(土) 午後12時45分 決勝スタート
迎えた決勝は、この土曜日最初の決勝レースとなった。午後12時45分、10周のレースは、序盤から波乱の展開となった。
スタート直後の2コーナーで、マーズレーシングの2台が同士討ちとなってしまったのだ。スピンを喫した小松寛子選手(#74 MARSRACING VITA)を、スタートで出遅れた神蔵俊平選手(ブライルバッテリー・マーズ01)がよけきれずに突っ込む形で衝突。2台はともにフロントカウルが飛んでしまうほどの衝撃を受け、そのままリタイア。ただ幸いなことに2名のドライバーは無事。
ここでセーフティカーが導入され、ここから3周にわたってセーフティカー(SC)ランとなったわけだが、この導入のタイミングで、各車がSC導入の認識できていなかったようで、数台が前車をパスしてしまい、これの検証に時間がかかったことでレースは異なる展開となってしまった。
ウェット路面でのレースは徐々にドライになっていくという、前回の第3戦と同様の展開であった。
スタートから飛び出した、ポールポジションのイシカワヨシオ選手(#8 東京IRC・vivo・ニルズVITA)だったが、2番グリッドの佐藤考洋選手(#1 TIPO FUCHS ETA)はすぐ後ろについて様子をうかがっており、3コーナーで順位が入れ替わって1号車がトップへ浮上。
一方同チームの3番グリッドスタートであった西濱康行選手(#17 ETAアルコバレーノ)は、4番グリッドスタートのイノウエケイイチ選手(#2 ワコーズEDニルズVITA)の先行を許す形となった。
SC導入からの隊列は、トップから佐藤、イシカワ、松永、相馬、イノウエというオーダーとなっており、
レースが再開されると、
相馬選手が4コーナーまでに松永選手、さらにはイシカワ選手をパスして2番手に浮上。
この2位争いのバトルの間に佐藤選手はファステストラップを続出して後続を引き離しにかかる。
4周終わりで2秒弱、5周終わりで3.3秒と後続とのマージンを築いていく。
イノウエ選手も周回ごとにポジションを上げ5周目には3番手にまで順位を上げていく。
徐々に路面は乾いていくという展開で、佐藤選手は毎周ベストラップを更新していき、最大で4.8秒のマージンを築き、佐藤考洋選手(#1 TIPO FUCHS ETA)がもてぎVITA初優勝を決めた。
ポールスタートのイシカワ選手は4番手争いの集団の中で松永選手にもパスされ、9周目には単独スピンして順位を8番手にまで落として万事休す。リスタート後は大きなクラッシュもなくレースは終了した。
仮表彰台には、相馬選手、イノウエ選手がそれぞれ暫定で上がったが、レース後、このSC中の追い越しに関しては、相馬充寿選手(#5 ブライルマーズ・アイテック01)、松永大祐選手(#23 TKRI 松永建設 VITA)の2選手に30秒のペナルティが課され、
正式には、優勝は佐藤考洋選手、
2位にイノウエケイイチ選手(#2ワコーズEDニルズVITA)、
そして3位におぎねえ選手(ORCワコ-ズAFC・VITA)という結果となった。
優勝:佐藤考洋選手(#1 TIPO FUCHS ETA)
「ひさしぶりに眺めのいいグリッドに着いて、スタートから良かったですね。
蹴りだしはそんなに良かったわけじゃないけど、2速から伸びて、逆にイシカワ選手は加速が悪そうで、3コーナーで前に出れて、そこからはプッシュしたんだけどセーフティカー入っちゃって…。
でもリスタートもそこそこうまく行って、イシカワ選手は相馬選手とやり合ってたのもあって、路面が濡れてる間に飛ばして、最後は攻めないでうまくゴールまで運ぼうって感じで後ろを見ながら慎重にレースを進めました。
ようやく勝てました。よかったです」
2位:イノウエケイイチ選手(#2 ワコーズEDニルズVITA)
「3番手で走行していたら、黄旗でSCが出てたけど2台がパスして行ってしまって…。順位調整が入るかと思ったら、その隊列のままセーフティカーラン、リスタートになってしまって。
リスタート後は、トップが前に逃げていってしまってて、もうレースにはならなかったですね」
3位:おぎねえ選手(#7 ORCワコ-ズAFC・VITA)
「私もSCのボードの判断をミスして、一瞬ですが前に出て、すぐに元のポジションに戻りましたが、大きなことは言えないです。今週ずっと雨だったんで、雨のセットはいい方向に行っていたので、1台でも2台でも順位を上げられれば結果良しってつもりで走っていました。結果よりも中身がすごく良かったので、雨の走行の自信にもつながり、勉強になったレースでした」
4位:西濱康行選手(#17 ETAアルコバレーノ)
「イノウエ選手が速いので、スタートから来るのはしょうがないっていうことでイノウエ選手の後ろで順位をキープしてました。黄旗が出て、すぐに理解ができなくて、しばらくイノウエ選手に横並びで走っていて、SCボードがでてようやく理解できたんですが、そこで2台にパスされちゃってって展開でした。今シーズン初参加の年でしたけれど、自分の成長を感じられましたし、いろんなことが学べて、モータースポーツの奥深さが理解でき、ルーキーイヤーとしてはこれでよかったのかな、と思っています」
5位:河本 満選手(#32 オートルックVITA01)
「SC出て気持ちも途切れちゃうし、前ふさがれちゃうとね、なかなか前に出られなくて、自分の経験不足で全然ダメですね。ペースもブレーキングポイントも違う相手をどう攻略するか、それと、雨の日に抜く難しさ、その経験不足が課題ですかね。これから、しっかり経験を積んでいくのみです」
6位:相馬充寿選手(ブライルマーズ・アイテック01)
「SCが出るタイミングで黄旗が出てたのですが、私、23号車の後ろにピッタリついていて、旗を見逃してました。
スイマセン。V字コーナーの立ち上がりあたりで混乱してて、気が付いた人が急ブレーキを踏んで、私は気が付かないでそのまま抜いちゃったんですね。その後ドライビングスルーペナルティとか出るのかなと思ってたら出なかったんで、ぬか喜びしてました。この件については真摯に受け止め、皆さんに申し訳ないとしか言いようがありません。」
【ドライバーピックアップ】
河本 満選手(#32 オートルックVITA01)
「小さいころカートをやっていたのでこの世界は好きですし、もともとウエストさんとは知り合いで『マシン買ってやってみよう』ってことになったのが去年の12月でして…。まだ8-9か月でやり始めたばかりなんです。最初はウエストさんで、鈴鹿で一戦走ってみて、で、私関東在住なんで、オートルックさんを紹介してもらって面倒見てもらっている感じです。
オートルックの佐藤師匠と、いむらせいじ選手、新井 薫選手っていう偉大なるチームメイトとも一緒に練習してもらってます。師匠の言うことを聞いて、いろんなことを教わってやってます。
今回は、欠席の先輩たちから『気負わずに頑張ってきなさい』ってメールもいただいていますので、厳しい師匠の指導の下、やっていきます。これでもてぎでのレースは終わりですが、12月の鈴鹿戦に参戦して、この一年の修業がどうだったかを確認してみたいと思ってます」