FCR-VITA 第三戦
2020年11月23日(月・祝)富士
FCR-VITA第3戦およびKYOJO CUP第3戦が開催となった。
全4戦で行われるFCR-VITAは、今回シーズンも折り返しとなるが、
今回も13台がエントリーしているKYOJO CUPからFCR-VITAへのダブルエントリーが7名ということで、
FCR-VITAは全25台のエントリーを集めた。
今季の開幕戦は新型コロナウィルス感染拡大の影響で
開催が予定よりも2か月遅れの7月4日に、雨の中での開催となった。
FCR-VITA第2戦は、鈴鹿での開催となったため、
実質今季2度目の富士でのレースで、初のドライでのレースとなった。
午前8時25分からスタートした予選でトップタイムをマークしたのは、ポイントランキングで現在3番手につけている三浦愛選手の2分00秒122。
これにコンマ034遅れて並木俊貴選手が2番手に入りフロントロウを獲得。
3番手にはイノウエケイイチ選手。そして、辻本始温選手、さらに猪爪杏奈選手と続くが、
今季からKYOJO CUPに参戦を始めた3選手がこの予選で上位に食い込む結果となった。
現在シリーズ・ランキングトップの小西 岬選手は2分00秒575で6番手に入ったが、この小西選手までがコンマ5秒以内の僅差に収まり、接戦が予想される結果となった。
ポールポジションを獲得した三浦愛選手は「昨日の練習走行ではトップタイムが取れなくて、今日に向けてセット変更してきたんですが、今日は路面が良くなってて昨日とバランスが変わったのが、自分のクルマにとってはいい方向に向いてくれました。予選でポール獲れたのは正直びっくりなところですが、ただ100分の3秒差しかないんで、余裕はないですが…」とコメント。一方の予選2番手の並木俊貴選手は「決勝で前に出るだけ」と決勝レースに向けて気合いを入れなおす。
そして、午前10時50分、10周で行われる決勝レースがスタートした。
早朝から好天に恵まれた富士周辺だったが、ここにきて上空には暗い雲が掛かり、強い日差しの下での予選セッションとは大きく異なり薄暗い中でのレースとなった。
そのスタートでは、ラインを交錯させながら、ポールスタートの三浦選手がイン側にマシンを持っていき、
2番手スタートの並木選手、三浦選手の後ろにいたイノウエ選手の3台が横一線となって1コーナーに進入していく。
その3台の後ろには小西選手、猪爪選手が続いていく。
そのオープニングラップでは、三浦選手が順位を落とし、オープニングラップは並木選手、イノウエ選手、小西選手の男性陣が引っ張り、その後ろに、猪爪選手、そして三浦選手という並びでホームストレートに戻ってくる。
さらに3周目にはイノウエ選手が前に出て、猪爪選手も小西選手をパスして3位へポジションアップ。
猪爪選手はその後5周目の1コーナーで前に出て2番手に浮上。さらに6周目にはその並木選手をパスし、レースをリードしていく。
猪爪選手はレースをリードしていくものの、後続を引き離すまでは行かず.
逆に同じようにポジションアップしてきた三浦選手が7周目には2番手に浮上し、猪爪選手の後ろにぴたりと付ける。そして9周目のストレートエンドで三浦選手が前に出ると、逆に猪爪選手は一旦並木選手にも前にいかれ、
最終ラップでこれを抜き返したものの、すでにトップとの間隔は開いてしまっており、
その差を詰めることなくレースは終了。
結果、FCR-VITA第3戦は、三浦選手が真っ先にチェッカーを受け、
1.740秒遅れて猪爪選手。
その猪爪選手をレース後半で一旦はパスしたものの、再び抜き返された並木選手が3位に入る結果となった。
三浦選手は「スタートは得意としていたんで、決勝は逃げ切りたいなと思っていたんですけど、ちょっと失敗してしまって、あっという間に100R、13コーナーでも抜かれてしまって…。
その集団に付いていきながら、ペース的に余裕があるな、という状況だったので、落ち着いてレースを組み立てられたのかな?
慌てることなく、10周の中で最終的に前に出られたら、と、自分が得意としているセクター3で、
さらに最終コーナーの立ち上がりで加速が良くて、前の人たちのミスもあったのか、
ストレートでリスクなく抜くことができてレースをまとめることができました。
基本的にはそう大きな反省点はなく、いいレースができたのかなと思っています」とコメントしてくれた。
今季からFCR-VITAおよびKYOJO CUPに参戦を開始している猪爪選手だが、今回はこのVITAに集中するということで、同週末に開催のスーパー耐久シリーズへの参戦をキャンセルして、この一日に臨んでいた。
「練習から全体通してマークしている人たちとも大差なく走れていて、
いい位置では戦えそうだなという感触でした。
ただ、私がメインとしているのはKYOJOのほうなので、このFCR-VITAでは落ち着いて、
マシンを壊さないように、ということを考えて走行をしていました。
セクター3でスピードを乗せてきて、最終コーナーできっちり前車との間隔を詰めてスリップをもらうっていうパスの仕方で順位を上げていきましたが、前に出るのがちょっと早かったですね。
出られるタイミングで、つい前に出ちゃったという感じでした。
仕方ないので逃げ切るところまで逃げようと思ったんですが、残り数周ってところで三浦選手にスリップを使われて1コーナーで抜かれちゃいました。
その後、Aコーナーでも抜かれて一旦3位にまで落ちましたが、
ポジションを一つ戻すことは落ち着いてできました」と、
レース直後は涙を流していたが、その後は冷静に自身の走りを確認し、KYOJO CUPに向けて、作戦を練り直していた。
9番手から追い上げてきた翁長実希選手が4位でフィニッシュ。
「昨日は走行ができず、今日はぶっつけ本番という予選だったので、マシンの状態とかコースのコンディションを確認しながらのセッションとなってしまって、今一つ攻めきれず、という結果で、9番手」でした。
が、クルマの可能性を探って臨んだ決勝レースでは「スタートはうまく行ったと思うんですが、その後並ばれてしまってバトルになってしまいました。相手の様子を見ながら、100RとかAコーナーとかは速かったのでそこで抜いて、というレース展開となりました。ただ4番手に上がったときにはもう前の3台が離れてしまっていたので、ポジションキープという結果となりました」。
ポイントランキングトップの小西選手は
「1周目までは良かったんだけど、マシンの至らない部分を合わせ切れず、ちょっと焦りすぎちゃいました。
失敗だったのはついていけるところでミスをしてしまったこと。
それで前の3人から離れてしまったこと、ですね」と5位という結果に冷静にコメント。
6位に入ったイノウエ選手は「7月以来のクルマ、コースだったんで楽しみながら、のレースでした。
スタートしてトップにも出て最初のペースは良かったんですが、後半タイヤがタレてきてしまって、
10周のマネージメントができてなかったですね。
最後は周りとの差がしっかり出てしまう結果となってしまいました」
今回のFCR-VITAではKYOJOドライバーのエントリーが7名。
それぞれのドライバーがメキメキと実力を身につけてきたと感じる。
特に決勝レースの戦いがとても美しい。
これからのモータースポーツに女性の存在は不可欠であると、
改めて感じた今回のVITAレースである。
富士FCR-VITA、KYOJOCUPレースの最終戦は21年1月31日
その時にチャンピオンが決定する。
富士のVITAレースがますます熱くなって行く。
VITA倶楽部