- OKAYAMAチャレンジカップレース第7戦 チャレンジカップ 2H耐久レース
10月8日 岡山国際サーキット
岡山国際サーキットを舞台とする、OKAYAMAチャレンジカップレース第7戦において、
「チャレンジカップ2H耐久レース」が10月8日に開催された。
このレースの主役となるのは、もちろんVITA-01! エントリー47台のうち、実に29台を占めるまでとなって、
最大勢力となっていたからだ。エントリー可能だった、CS2の参戦がなかったのは残念ではあったが。
本来、2H耐久は5月にも行われるはずだったが、新型コロナ感染対策のため、中止になっており、これが今年最初で最後のレースとなる。全国的にレースが減ってしまったからなのか、今回は関東からの遠征も多く、そのほとんどがVITA-01での耐久初挑戦。新たな刺激を求めにきたようだ。
金曜日、土曜日にもスポーツ走行は行われたが、予選は日曜日の早朝、
決勝レースは全スケジュールの最後という、実質1デイイベントとして「チャレンジカップ2H耐久レース」
は開催された。
1台のマシンに1名から3名のドライバーが乗車することができ、全ドライバーに予選出走が義務づけられ、
また決勝レースも最低20分間乗車しなければポイント対象外。
ピットレーン入口から出口までの通過時間が3分以上となる、2回のピットストップが義務づけられている。
さて今回いちばんの話題は、青合正博選手が小山美姫選手と組んでエントリーしていることだ。
小山選手は「以前、鈴鹿クラブマンの耐久に86でお誘いいただいていて、それから縁があって。
今回一緒に出ませんか、って声をかけてもらいました。初めてVITAで岡山を走らせて、
レースは富士だけだったので、新鮮で楽しいです。オーナーは勝つ気満々で
『俺はみんなより1秒遅く走るから、小山はみんなより1秒速く走れ!』って。
楽しむためにも、優勝狙って頑張りたいです」と語っていた。
「鈴鹿の耐久で初めて小山選手と組んで、その時、彼女のレースに対するストイックな姿勢に
なんか感じるものがあって。将来性を感じて、また組みたいなとずっと思っていたんです。
ただ、彼女がステップアップしていったので、もう組むチャンスはないかと思っていたんですが、
今年はコロナでずっと日本にい他ので、僕も今年からVITAのレースを始めたこともあって、
アドバイザーとセッティング担当をお願いしようかと思っていたところに、
耐久レースがあるので思い切ってオファーしてみました」と青合選手。
さらに「彼女の動かし方はトップクラスなので、なかなか自分が真似することは難しいんですけど、
やっぱり丁寧にトラクションをかけて立ち上がっていくことだったり、
僕は特にブレーキで止めすぎてしまう傾向があるんですが、
パワーのないクルマなので、落とさず殺さずというアドバイスを受けました」とも青合選手は語ってくれた。
またGTドライバーの姿も。
GTでは監督を務めるイノウエケイイチ選手と組んで初参戦は、タナカユウキ選手。
普段はGT-Rをドライブし、過去にはF4関西シリーズでチャンピオン経験を持つドライバーだ。
「ブレーキングポイントがGTと同じぐらいの位置で、スピードは遅いんですけど、
コントロールするのが難しくて、そういうレースのシミュレーターでは感じられない、
クルマのバランスとか、タイヤや路面の状況を把握するのにいいので、トレーニングして出ています。
VITAはすごく面白いクルマで、ちゃんとブレーキで止めて、向きを変えてしっかりアクセル踏まないと、
全然タイムが出ないんです。
だから集中しないとタイム出ないし、何よりVITAのトップクラスの方は極められているので、
そういう方々と競争するので、あえて練習に来ました」とタナカ選手。
さらに異色の存在も。
かつて岡山をホームコースとし、ヴィッツレースやインテグラレースを戦った後、
プライベーターとしてたいのレースに出場するうち、
今ではGAZOO Racingタイランドのワークスドライバーにまで上り詰めた河村直樹選手。
先日行われた、ニュルブルクリンク24時間ではSP3クラスで優勝したばかりだ。
「メンテナンスガレージ通じて、オーナーさんと知り合って、1回乗せていただいた時に、
そこそこいいタイムが出たので、今回耐久ということで、相方として声をかけてもらいました。
僕、F4にも乗ったことがあって、それよりVITAの方が市販車に近い。
けど、やっぱりフォーミュラらしさはあって乗りやすくて、ものすごく楽しめるクルマですよね。
僕は主にFFに乗ってきたんですが、そういう方でも乗り方を調整して、簡単に言うとブレーキで、
あんまりタックインみたいなのを残して入るようなことをしなければ、十分対応できると思います」
と河村選手は語ってくれた。
土曜日は終日ウェットコンディションだったため、行われたレースは波乱の連続だったが、
日曜日は爽やかな天候に恵まれ、すべてドライコンディションでの走行が可能となっていた。
さて注目の予選では、最初にトップに立ったのは「オグラクラッチ☆VITA-01」を駆る、山田遼選手。
しかし、次の周には「TEAM HERO’S渚VITA01」の小山選手がトップに浮上し、
そのまま1分46秒299にまで短縮を果たし続けていた。
これに続いたのは、「m・dent with萬雲塾」の松本武士選手だったが、
山田選手が自身ラストのアタックで2番手につけることとなった。
その後はパートナーとそれぞれ交代、「TEAM HERO’S渚VITA01」の青合選手は1分47秒994を、
「オグラクラッチ☆VITA-01」の辻本始温選手は1分48秒406を、
そして「m・dent with萬雲塾」の松本匡史選手は1分48秒974をマークして予選は終了。
4番手には単独走行となる「WEST VITA-01」の西村一真選手、
5番手は「恵比寿楽しく走ろう.Com☆アキランド」の竹内耕二選手と妹尾智充選手、
そして6番手に「カーブティック☆ウイニング☆Trace」の清水康友選手がつけることとなった。
VITAクラス予選トップ 小山美姫選手
「これだけ台数多いレースって、あんまりないのでベストタイムは出ましたが、
自分の目標タイムが出ていないので、あんまり納得のいく予選ではなかったです。
でも、それはみんな同じ条件で、引っかかりながらもいい間隔を保てて、
みんなよりはいい条件でアタックできたのかなって。これが本番なので、その中でまとめられたのは良かったです」
VITAクラス予選2番手 山田遼選手
「実質アタック行けたの、1周だけで。みんな、ごちゃごちゃしているし、当たっているクルマもいたし!
だから1回引いていった周がベストだったので、何もなければ45秒台入ったでしょう。
でも、タラレバ言ってもしょうがない。それよりパートナーが調子良くて、昨日より1秒半上がっているし、
今回は経験積ませることが重要なので、そっちの方が良かったです」
VITAクラス予選3番手 松本武士選手
「今回、ミニチャレンジとWエントリーしていて、その直後だったから出遅れちゃって、
ちょうど渋滞の中に入っちゃったから、3番手ならOKです。なんせ耐久ですし、
相方の松本先生に確認してもらったら、クルマは調子いいっていうことなので、
決勝で追い上げられるでしょうから!」
出走台数47台となった2h耐久レース。
ブリーフィングは2回に分け、それぞれ福山英朗プロから安全に関する時間をいただく事が出来た。
スポーツマンシップに基づくお話は、原点を振り返る時間にもなり
エントラントからは「いろいろ気付く事が出来た。とても良いお話を聞く事ができた」
とコメントもいただきました。
お互いが思いやりを持つ中でのモータースポーツ、素晴らしいですね。
「VITA倶楽部」
決勝
爽やかな秋晴れの中、29台のVITA-01とN1−86など
計47台のマシンが賑やかにグリッドを埋め尽くした。
2020.10.18 天候:晴れ ドライ
スタート時間:15:03:31
爽快な秋空の下で行われた決勝レースでは、好スタートを決めた「WEST VITA-01」の西村選手がトップでレースを開始。
これに「TEAM HERO’S渚VITA01」の小山選手、「オグラクラッチ☆VITA-01」の山田選手が続いていく。
だが、小山選手は2周目にはトップに浮上。そのまま総合トップのN1-86にも迫っていく。
予選タイムは1秒以上速く、しかも相手はGTにも参加するプロであるにも関わらず、背後でプレッシャーをかけ続け、24周目のヘアピンでは総合のトップにも躍り出た。
一方、3周目には山田選手が西村選手をかわして2番手に浮上。
また「m・dent with萬雲塾」の松本匡史が5周目にスピンを喫し、大幅にポジションダウン。
そして7周目には「カーブティック☆ウイニング☆Trace」の清水選手が4番手に浮上する。
30分間を経過したあたりから最初のピットストップが行われ、上位陣では西村選手と清水選手が23周目、
山田選手が25周目に、そして小山選手が26周目にピットに戻ってくる。的確な作業で、それぞれポジションをキープ。山田選手は辻本選手と交代する。
小山選手は2スティント連続での走行、
31周目にN1-86がピットに入ると、小山選手は再び総合トップに。
西村選手が32周目に2番手に上がり、
そして辻本選手の後ろにつけていたのは「DAISHIN☆Progrexx☆萬雲塾」の大八木竜一郎選手。単独での参戦ということもあって、早めにピットに入って良きポジションで、ハイペースでの周回を重ねていたことが功を奏す。37周目には2番手に上がり、2回目のピットも早い39周目に敢行。
その間も小山選手は逃げ続け、
約20秒のリードを築き上げた49周目に
TEAM HERO’S渚VITA01」を青合選手に託す。
その周、なんと2周前に2回目のピットを終えたばかりの「WEST VITA-01」もピットに
戻ってきたではないか! 西村選手がブレーキに違和感を覚えたのが原因だった。
やがて全車すべてピットストップを終えると、トップに立っていたのはもちろん青合選手で、
2番手は大八木選手。だが、リードは26秒ほどに広がっていた。
3番手は「くじら☆CF亜衣☆制動屋VITA」の山谷直樹選手。セカンドスティントを務めた近藤善嗣選手の好走で、ここまで順位を上げていた。
そして、その後方では激しい4番手争いが。ピットでの停止時間が6秒足らず、ペナルティストップを強いられていた「オグラクラッチ☆VITA-01」の山田選手、
16周目に松本武士選手に代わって2スティント連続走行の「m・dent with萬雲塾」が追い上げてきていたのだ。
松本武士選手は59周目に4番手に上がり、
山田選手も次の周には5番手に浮上。
それをさらに上回るドラマを繰り広げていたのが、青合選手と大八木選手だった。
ふたりの間隔はみるみるうちに縮まっていき、ファイナルラップには3秒を切るまでに。
最後の仕掛けどころである、最終コーナーで青合選手のインを突こうとした大八木選手だったが、これは維持のガードに阻まれてしまう。
最後、横に並びかけた大八木選手ではあったが、0.142秒及ばず!
辛くも逃げ切って「TEAM HERO’S渚VITA01」の青合選手と小山選手が、総合優勝を飾ることとなった。
6位は「恵比寿楽しく走ろう.Com☆アキランド」の竹内選手と妹尾選手が、
7位は「カーブティック☆ウイニング☆Trace」の清水選手が獲得。
旧型エンジン搭載のトロフィークラスは、「フジタ薬局アポロ電工リッヂMT/MP」の中村知弘選手と徳升広平選手、翁長実希選手が優勝。
なお、注目ドライバーとして参戦の「ワコーズEDニルズVITA」のイノウエ選手とタナカ選手は10位でゴール、
そして関正俊選手とともに「グラック&KTS」をドライブした河村選手は27位に。関選手が「もう反省だらけです。最初のうちにスピンしちゃったので」と恐縮する一方で、「今度オートポリスでも耐久やるというので、また出たいですね。楽しめましたから」と満足そうな表情を見せていた。
VITAクラス&総合優勝
青合正博選手
「小山選手が着実にタイムを縮めてくれているのを見て、僕が頑張らなあかんなと思っていたんですが、頑張ろうという思いと裏腹にどんどん精神がやられてきて。僕のスティントの時には、もう瀕死の状態だったんです。でも小山選手が僕のオファー受けてくれた以上、最低でも優勝っていうのがありましたから、なんとか優勝できてホッとしている、というのが正直な気持ちです。今度は自分の力で勝てるよう、頑張ります!」
小山美姫選手
「最初の予定では、私が最後に乗ってプッシュしようということになっていたんですが、スタートで行くことになったので。もちろんファステストラップも出したかったのですが、ふたりが総合してタイムを出してこないと優勝できないので、縁石には乗せず、タイヤも使わないようにずっとマネージメントして走っていました。最後はすごい接近戦で、ハラハラしたんですけど、久々にエンジョイできたレースだったと思います」
「ちょっと最後及ばずで、悔しい結果になったんですけど、ずっと全開プッシュで走って、体力もしんどいなぁって思って。『行けるかな、行けるかな、行けへんかった〜!』みたいな。もう1周あれば、ってところでしたね。今回から新車で、順調に馴染んできたかな、って感じで、セットもまだ出ていなかったこともあって、まぁ結果を残せてよかったと思います」
VITAクラス3位 山谷直樹選手
「僕の最初のスティントで、車両的な何かなのか分からないんですが、ミスをしてしまって、それですごく遅れてしまったんですけど、ピットの素早い対応と近藤さんがすごく速かったので、それでなんとかもう1回、最後のスティントを行こうと諦めずに走りました」
近藤善嗣選手
「久々のVITAで楽しかったです。前のクルマはもう手放していて、違うクルマに乗っていましたから、新しい気づきもありましたし、いい勉強になりました。またVITAに乗りたいな、って思いましたね。今はFIA-F4で練習中なので、今回の経験を活かしたいです」
VITAクラス4位 松本武士選手
「相方のスピンがなければ、勝てていたなぁ、って。でも、松本先生が帰ってきて、僕が最初に乗った時、ガムテープの量が多かったようで、水温がすごく上がっちゃって、ずっと警告灯ついたままだったので、序盤は僕もプッシュできなくて。2回目のピットで剥がしたら、マイラップ1秒ぐらい速くなったので、3位ぐらいに行けたのかもしれないんですが、スピンで埋まらんで良かった! ジェントルマンさんに楽しく走ってもらうのが一番なので」
レポート:秦直之さん
2020年岡山チャレンジカップ2h耐久レースは大盛況に終わりました。
チームが一体となって取り組むその姿は、人生の一コマを見ているようで
やはり感動の2時間でした。
今回はGTドライバーの方も参戦してくださいました。
「VITAはとても勉強になって楽しい」とお言葉をいただき
幅広い層に広がっていくVITA-01の魅力を感じています。
タイヤ交換も必要なく、「ローコストで耐久を楽しむ」
これからの新しいモータースポーツのあり方を追求して行きたいと思います。
来年度2021年は、さらに耐久レースを増やして行く予定です。
モータースポーツの真髄を楽しみましょう。
岡山2h耐久レースでは多くのご参加ありがとうございました。
VITA倶楽部