Russel選手がフルサポートで
鈴鹿VITAレースにフルシーズン参戦
『バーチャルとリアル』
eスポーツで培ったドライビングスキルは、間違いなくリアルレースにプラスとなる。
今回、生まれて初めて鈴鹿のコースを走り、わずか2回の練習で予選・決勝に挑んだラッセル選手の安定した走りを見て、強くそう感じた。
サーキットのスポーツ走行枠が限られている昨今、
目的を持ってSIM(シミュレーター)での練習に取り組むことは、ドライバーの大きな成長につながる。
そしてその場合、より精度の高いSIMが求められてくることは言うまでもない。
| 2026年の「バーチャルVITA CUP ファイナル戦」では、 『VITAシミュレーター』を6台用意して、 全車同マシンでチャンピオンを競う、 ファイナルレースを開催予定である (会場は富士スピードウェイを予定) |
本気でリアルレースに挑戦したいと考えている方は、
6月から始まる『バーチャルVITA CUP』にぜひご参加ください。
| 「鈴鹿VITA 全戦エントリー権」という、大きな賞典をご用意してお待ちしております。 |
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2月27日から3月1日にかけ、Suzuka Champion Cup Raceが開幕し、VITAクラスにフィリピン出身のラッセル選手(Russel Reyes)が参戦した。
ラッセル選手は、昨年6月から行われた「バーチャルVITAカップ」で総合優勝を果たし、鈴鹿VITAシリーズへの年間参戦フルサポートの賞典を獲得して、今回の開幕戦に臨んだ。
ラッセル選手はeスポーツにおけるレースキャリアが豊富であり、アジア大会などでも輝かしい実績を残してきた。
さらに母国フィリピンでは、バーチャルの世界で培ったデータ解析の能力を活かし、リアルレースのデータエンジニアとして他のドライバーをサポートしている。
自らもステアリングを握りながら、データエンジニアやドライビングコーチとしての顔も併せ持つ、非常に多彩な才能を秘めたドライバーである。
彼を全面的にバックアップしてくださるメインスポンサーからも、心強いエールが送られている。
この一年、彼がどこまで限界に挑み、飛躍してくれるのか、楽しみでならない。
[金曜日、生まれて初めての鈴鹿走行]
レースウィークの金曜日(27日)が人生初の「鈴鹿走行」という、ラッセル選手にとっては非常にハードルが高い幕開けとなった。
しかし、走り始めの時点からしっかりとマシンとコースの特性を掴み、自分なりにアジャストして着実にタイムを縮めていく適応力の高さは、さすがである。
専有走行後の彼のコメントは、非常に印象的だった。
限られた練習時間しかないことは事前に分かっていたため、彼はあらかじめシミュレーターで200周以上も走り込んでから、この実際の走行に挑んでいたという。
実際に走ってみたシミュレーターとリアルの違いについて、
「リアルのほうがコース幅が広く見える」と語る一方で、
「車の動きは『バーチャルVITA CUP』の車両とよく似ている」
とコメントした。
専有走行のタイムを見ると、トップ車両とは4〜5秒ほどの差があり、彼自身の車とサーキットに対する適応がまだまだ必要な状態であることは明らかだった。
それでもトップとの差を少しでも縮めようとする前向きな姿勢は、さらなるタイムアップを予感させるものだった。
また、走り出してからクラッシュや接触を一切することなく、いきなりの鈴鹿サーキットで淡々とラップを重ねられたという事実は、シミュレーターとリアルの差がいかに少ないかということを、強く実感させる初走行となった。
[予選]
土曜日の公式予選は、彼にとって初めてとなるVITAのNEWタイヤ「ダンロップ製ディレッツァ V01」を装着してのタイムアタックとなった。
あらかじめV01のピークグリップの出方やタイヤの温まり方などをレクチャーしたところ、彼もシミュレーターでの経験と照らし合わせながら納得している様子だった。
そして迎えた初めての予選セッション。
通常のスポーツ走行とは異なり、様々な状況判断が求められる。
特にスリップストリームをうまく使うことや、総勢30台以上のライバルが同時に鈴鹿サーキットを走行する中でいかにクリアラップを取るかが重要となるが、彼にとってはこれらすべてが初めての経験である。
予選結果は、トップから4.4秒落ちの2分28秒707、順位は27番手となった。
タイムだけを見るとかなり厳しい結果に思えるかもしれない。
しかし、これまで述べてきたような十分な練習ができなかった状況や、少ない公式セッションの中で対応するしかなかったこと、そして初のニュータイヤ投入といったすべての要素を考慮すれば、本当によく健闘した予選結果だと感じている。
彼自身、セッションを重ねるごとに着実なステップアップを実感しており、ライバルとの差には悔しさを滲ませていた。
我々チームとしても、現時点での彼のパフォーマンスをしっかりと受け止め、翌日の決勝、そして次戦に向けた準備を進めていく必要があると改めて感じた。
そして何より、日本でのリアルレース経験が全くなかった彼が、初めての日本で、しかも鈴鹿サーキットという夢のような舞台でVITAを走らせているのだ。
心からドライビングを楽しみ、純粋にレースをすること、そして予選で新品タイヤを履き、限界までマシンをプッシュすることの喜びを全身で表現している姿が、非常に印象的だった。
ライバルとのタイム差を目の当たりにしても、彼に落胆する様子は一切なかった。
むしろ「今の自分に何が足りないのか」「どこを改善すべきか」と前向きにレクチャーを求め、自らデータロガーの解析を依頼したり、オンボード映像を熱心に確認したりしていた。
「絶対に自分のものにしてみせる」「もっと速くなりたい」――フィリピンから海を渡ってきたラッセル選手の、そんな並々ならぬ覚悟と情熱がひしひしと伝わってくる姿勢だった。
鈴鹿サーキットでは、VITA CLUB専属のプロドライバーからの熱い講習を受けることができる。
ドライバーとしての走りの基本を、真剣に学ぶ。
最近ではQRコードからのダウンロードも可能になっている。
[決勝レースでは見事完走!]
日曜日の決勝レースもまた、ラッセル選手にとって未体験の学びの連続だった。
例えば、ホームストレートが緩やかな下り坂となっている鈴鹿サーキットでは、
スタート時にブレーキを踏みながらアクセルを煽る必要がある。
これはシミュレーターでは求められない。
その他にも、ダミーグリッドへの移動からスタートシグナルが点灯するまでの進行、
フォーメーションラップ、さらには赤旗やセーフティカー運用への対応など、
レースウィークを通じた一連の流れすべてが彼にとっては新たな学びであった。
次々と押し寄せる「理解すべきこと」「考えるべきこと」に直面し、
まさにシミュレーターでは味わえないリアルな現場の連続だったに違いない。
そして迎えた決勝レース。
『シミュレータレースからリアルレースへ』
スタートしたラッセル選手にとって、初めての鈴鹿国際レーシングコースデビューである。
スタート直後の1周目からレース序盤にかけては、ラッセル選手の前方でかなり荒れた展開となったようで、130Rでの多重スピンやその他のコーナーでも接触やストップする車両が多い中、
全ての混乱を切り抜けたラッセル選手は、着実にポジションを上げて行く。
レース中盤から終盤にかけて出動したセーフティーカーの混乱もそつなくこなし、
荒れたレース展開の中でも他車と接触することなく、冷静にクリーンなバトルを展開していたデビュー戦での安定した走りは、立派な評価点がついた。
SCランの手順も問題なくこなし、最終的には8ポジションアップの19番手でフィニッシュ。
[次戦に向けて前向きに準備を進める]
まだまだトップ車両とのタイム差や、自身のスピードには納得していない様子だったが、彼の視線はすでに次戦へと向けられている。
6月13日〜14日に開催される第2戦に向けて、
「次はもっと良い走りでタイムを縮める」と固く決意しているようだった。
次戦は日本の梅雨の時期にあたるため、ウェットレースの可能性も含め、ラッセル選手にとってはまた新たな試練が待ち受けているかもしれない。
次戦に向け、彼もチームもさらなる進化を遂げ、より良い成績を残せるよう万全の準備を進めていく。











































