V.Granzクラス決勝
決勝はレースウィークのラストで、予定された時間より10分遅れの14時50分からスタート進行が、そして15時10分にフォーメイションラップが開始された。
天気予報では、ちょうどこのぐらいの時間からの降雨が伝えられ、実際にそれ以前にぱらりぱらりと小雨が降っていたが、まだ路面を濡らすまでには至らず。
ところが、フォーメイションラップの最中に、いよいよ雨が本格的に降ってきたからたまらない。
1コーナーへのホールショットは#61 K.Kヨネタニ アキランドv.Granzの米谷選手が決めるも、間もなく#86 Dr.Dry Racing Teamの下野選手がトップに浮上。早くもリードを広げていく。
そんな中、モスSエンドでアクシデントが発生。#31 G-TECHのOOKA選手がクラッシュしてストップ、
これに#779栄建設TBRの大島良平選手ら数台が巻き込まれてしまう。オープニングラップからセーフティカー(SC)が導入されることに……。
このタイミングでピットに入るチームも多く、トップの#86 Dr.Dry Racing Teamも下野選手から大阪選手にスイッチ。
悩ましいのはタイヤを換えるか否か。それぞれのピットでは雨雲メーターをひと睨み。ここはまだ交換しない方がいいと判断したようだ。しばらくすると雨は弱まっていたから、良かったのか……。
この間にトップに躍り出たのが#57ファイブコアジャパンv.Granzの金澤選手だ。
オープニングラップのうちに6番手から、一気に2番手に浮上していたのだ。
6周目にはSCがピットに戻るも、そのタイミングと#61 K.Kヨネタニ アキランドv.Granzのピットが重なってしまう。
先に入ったチームよりロスが多くなるのは必至かと思われたものの、直後にヘアピンで亀の子になった車両があったことで、またしてもSCが導入される。
そして、それより少し前、#2 SHINTO制動屋TMR萬雲塾のHIROBON選手が、金澤選手を抜いてトップに浮上!
ここで整理すると、HIROBON選手、金澤選手、#102アイフォア神戸v.Granzの冨田自然選手、
そして#280 KRC v.Granzの太田援増選手という順に。
ちなみに、この太田選手はスーパーフォーミュラ等で活躍する太田格之進選手の弟である。
いずれにせよ、すでに1回目のピットストップを済ませているチームもあるからにせよ、予選とは大幅に順位が入れ替わっていた。
SCの先導は3周で終わり、リスタートが切られると1コーナーで再びトップに立ったのは金澤選手。
そのままHIROBON選手を引き離していく。そんな中、1コーナーで1台がストップ。同時に、トップ金澤選手のペースも大幅に鈍る。いったんは落ち着いていた雨が、再び降り出してきたからだ。
そのこととも併せ、15周目から3回目のSC導入となった。
これに合わせて#2 SHINTO制動屋TMR萬雲塾がピットイン。ウェットタイヤに交換する。
だが、この積極策は裏目に出てしまう。2周のSC先導後に雨は弱まったからだ。その証拠にトップの金澤選手は1分40秒台に入れていた。
ところが、それより速いペースで周回を重ねていたのが、#6 BUZZ RACINGの名取選手だ。
早めに最初のピットストップを名取選手のまま済ませており、中団に埋もれていたが、1分39秒台を連発。
いったんは周回遅れとなっていた金澤選手をも抜き去り、同一周回としていたほどだ。このあたりは「さすが!」としか言いようがない。そしてクラス6番手に浮上!
スタートから1時間を経過して間もなく、#57ファイブコアジャパンv.Granzがピットイン。本来なら燃費の関係で、連続走行は45分ほどと言われるv.Granzながら、たび重なるSCランで余裕ができたのだろう。28周目に川村選手と交代。
その一方で、雨がまたもや降ってきて、しかも土砂降りだ! こういう時こそプロの力を。間もなく出たSCの間に川合選手を投じていた。
一方、この間にトップに立っていたのは名取選手。KEN選手への交代もあり、タイミングモニターのいちばん上に名を載せたのは1周だけだったが、それでもコースに戻った#6 BUZZ RACINGは3番手に踏み留まっていた。
そして代わってトップに躍り出たのが、#15岡部自動車アイフォア神戸v.Granzの銘苅選手だった。
3周目に長島選手からバトンを託され、じわりじわりと順位を上げていた格好だ。SCの先導は4周で終了。その直後に銘苅選手は前嶋選手に交代、
また2番手を走っていた#51 RT HERO’S JUNIIOR、
#2 BUZZ RACINGもピットに戻ってきた。結論から先に言うと、このタイミングで入るのが最も理想的だったよう。なぜならアトウッドで止まった車両があり、たった1周で5回目のSC導入となったからだ。
41周目にリスタートが切られるが、今度は1コーナーでストップした車両が。
チェッカーまで残り17分のタイミングで6回目のSC導入となり、トップに返り咲いていた#15岡部自動車アイフォア神戸v.Granz、#51 RT HERO’S JUNIOR、#6 BUZZ RACING、#61 K.Kヨネタニ アキランドv.Granz、#2 SHINTO制動屋TMR萬雲塾、そして#57ファイブコアジャパンv.Granzの順で、ゆっくりと周回が重ねられていく。
これでピットにSCが戻ってくれれば、最後の最後にレースは動いたことだろう。ことトップを争う2台の間にVITA勢は挟まっておらず、リスタート後の大逆転もあり得たはず。
しかし、無常にも刻一刻と時間は経過していき、ついにスタートから2時間が経過。SC先導のまま48周目にチェッカーが振られることとなった。
その結果、総合優勝とAma-Amaクラス優勝を飾ったのは、#15岡部自動車アイフォア神戸v.Granzの長島選手と前嶋選手、そして銘苅選手。MEC 120でのトップチェッカーは初めてだ。
総合2位でPro-Amaクラスの優勝は、#51 RT HERO’S v.GranzのDANZEL選手と奥本選手のはずだったのだが……。SCラン中にオーバーランがあり、30秒加算のペナルティが。それでも総合4位、クラス3位に留まれたのは、不幸中の幸いと言えるだろう。
繰り上がって総合2位、そしてPro-Amaクラス優勝の優勝も飾ったのは、#6 BUZZ RACINGのKEN選手と名取選手!
MEC 120初参戦で、この結果は名取選手、やはり魅せてくれたし、持っている選手としか言いようがない。
総合3位でPro-Amaクラス2位は#61 K.Kヨネタニ アキランドv.Granzの米谷選手と阪口選手、そして畑選手が獲得。
5周目から23周を畑選手が走り、最後に阪口選手の追い上げを望んだものの、SCの連続でそれもままならず。だが、今季初表彰台に、3人は安堵の表情を見せていた。
そして#51 RT HERO’S JUNIORに続く、総合5位でAma-Amaクラス2位は、#2 SHINTO制動屋TMR萬雲塾のGAMISAN選手とHIROBON選手が獲得。
総合6位でPro-Amaクラス4位は、#57ファイブコアジャパンv.Granzの金澤選手と川合選手、川村選手。このチームも望まれた川合選手の追い上げを、SCランで封じ込まれていた格好だ。
総合7位でPro-Amaクラス5位は#23 J-LOC M&M v.GのDAISUKE選手と元嶋選手、小松選手。その結果、ランキングトップを#51 RT HERO’S JUNIORに奪われてしまうも、その差はわずか1ポイント。最終戦で先着した方に、栄冠が輝くことになるだろう。どちらも結果としては悔しいレースだっただけに、最後は勝って笑おうという心境のはず。
一方、Ama-Amaクラスでランキング5位から、トップに急躍進したのは#15岡部自動車アイフォア神戸v.Granz。
ポイントフルマークが大いに効いた形だ。だが、続く#2 SHINTO制動屋TMR萬雲塾との差は4ポイントしかなく、こちらも最終戦の死闘に期待。
なお、同クラスランキング3位は#72ダイワN通商アキランドv.Granzの大山選手と橋本選手、浦田選手で、レースでは8位フィニッシュとなっていたものの、2度のSC中の追い抜きにより、60秒加算のペナルティで11位に降格。
しかし、クラス順位では3位のままだっただけに、この悪運が最後に影響をもたらすかもしれない。
総合優勝&Ama-Amaクラス優勝:
#15岡部自動車アイフォア神戸v.Granz
長島正明選手「すべて今回の優勝は、長島のいぶし銀の走りですね! 速い遅い以前に(笑)。それで銘苅と前嶋につなげられたところが良かったですね。まぁ、コースに残っていれさえすれば、あとは銘苅と前嶋がなんとかしてくれるんで、頑張って残りました。(目が真っ赤ですよ、の問いに対して)もう、嬉し涙で! でも、もうちょっとグランツで乗れるようになりたいです。ありがとうございました!」
前嶋秀司選手「俺、何もやってない(苦笑)。やったのは銘苅だけ! 何もやってない、(SCに)引っ張られただけ。前回の鈴鹿と同じ、レースしていない! 意味わかんない。ただ、引っ張られていると楽で良かったね」
銘苅翼選手「僕がいちばん長く走らせてもらって、見せ場というか、いろんな……。雨降ったり、ドライになったりしましたが、冷静に対処できたのは良かったと思います。MECでは初優勝なのでホッとしています。みんな、ストレスを感じるようなコンディションだったので、その中で監督がいい判断をしてくれました。戦略をうまく使いながら走り抜くことができたので、いちばん前でチェッカーを受けられたんだと思います」
総合2位&Pro-Amaクラス優勝:
#6 BUZZ RACING
KEN ALEX選手「いや〜、もう1回やりたいですね。ずっとSCで全然楽しくなかった(苦笑)。でも、生き残れたのが、この結果なので、そこが重要ですよね、やっぱり。でも、疲れました。(名取選手が)かなり乗ってくれたので、路面状況を教えてもらったりして、かなりそこが効きましたね。最終戦はどうしようかな? エントリーできれば。スケジュールは一応、押さえています!」
名取鉄平選手「いい仕事したかもわからないほど、荒れたレースではありましたね(苦笑)。
ちょい濡れは大好きなコンディションなんで、楽しんでいました。
V.Granzは面白いですよ、なんかF4だと好き嫌い分かれるじゃないですか?
V.Granzはグリップもあるし、デフも入っているからトラクションもすごくいいんで。けっこう動かせる車なので、いろんな人が楽しめる車だと思いました」
総合3位& Pro-Amaクラス2位:
#61 K.Kヨネタニ アキランドv.Granz
米谷浩選手「SC長すぎたんで、もうちょい解除してくれれば、良平が頑張ってくれて、もうちょい上に行けたかなというのはあるんだけど、これもレースで、表彰台上がれたので、まぁ良かったです。ちょっと荒れすぎですよね、今日のレースは。雨がきつかったんでね。でも、結果には納得しています」
阪口良平選手「僕は後から追い上げる予定だったんですけど、ふたりのピットのタイミング、ちゃんと給油もしたので、僕にフルまで行けるような時間で走らせてくれるタイミングまで作れたんですけどね。
ノーミスだったので、僕が引っ張れば……というところだったんですが、まぁ、表彰台乗れたので、今年初めて(苦笑)。いろいろあっても表彰台なんで、良かったと思います。次の富士こそ! まずはミスなく、ペナルティなくというのが一番だと思うので、そのへんを考えると、いいレースだったと思います」
畑享志選手「僕は2番目に乗って、濡れていたり、乾いたりとか、すごくしんどかったですけど、そこをノーミスで行けてバトンタッチできました。
追い上げてもらう作戦だったので、タイミングよく行けたんですけど。SCがずっと入り続けたので……。入らなかったら行けたかな、っていうのはありましたね。でも、良かったです」
総合4位& Pro-Amaクラス3位
:#RT HERO’S JUNIOR
DANZEL WAYTAN選手「レースウィークに入る前に、チームのシミュレータでトレーニングもやって、しっかり事前に準備してきました。
走り出しはウェットで、ドライに変わりましたが、いろいろ経験もできて、ペースも悪くなかったと思います。予選も経験積むためということで、僕が走ってオーバーオールで7番手。そこは自分も自信ついたし、奥本さんもいい仕事をしてくれました。今回また、ついた自信を最終戦につなげていきたいです」
奥本隼士選手「見ていてもドキドキでしたね。SCのペース的に最後、1周あるかないかで。でも、DENZELも雨、速いし、守り切ってくれると思っていました。
V.Granzで岡山は初めてだし、でも走り出しからいいペースでした。最終戦も気を抜かず、またふたりで頑張りたいと思います」
総合5位&Ama-Amaクラス2位:#2 SHINTO制動屋TMR萬雲塾
GAMISAN選手「荒れたレースでしたけど、HIROBONが頑張ってくれたから! 良かったです。最後ヒヤヒヤしましたけど(笑)」
HIROBON選手「ピットのタイミングとか、ちょっとどうやったかな? SCとかもよく使えなかったし。最後、少しでも再開してくれたら、もうちょいチャンスあったかも。予選は車がちょっと……だったので、今週だけで煮詰まらなくて。ある意味、恵みの雨だったけど、車は決勝ではよくなっていました。まぁ、良かったです。でも、荒れ過ぎです、最後は全然レースにならんかったし」
総合11位 Ama-Amaクラス3位:
#71ダイワN通商アキランドv.Granz
大山正芳選手「スタートはまぁ、大変でした。なんとか生き残れて良かった。2戦連続で表彰台に上がれたので、本当に良かったです」
橋本守生選手「もうちょっと行けると思ったんですけど、ダメでした。ただね、昨日ちょっと自分のミスでマシンが大破してしまったのを、メカが寝ずに修復してくれたので(笑)。嘘です、冗談です。クラッシュもしていないです(笑)」
浦田祐喜選手「もう一歩っていうところでしたね。僕は最後に乗りましたが、SCに翻弄されて、まぁ、なんとか3位にはなれましたけど。最終戦、頑張りたいです。富士では勝ちたいです」
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