もてぎ菅生VITAシリーズ
2025/8/31
🏁ビクトリーランを終えてポディウムに戻ってきた#77兒島選手は
ヘルメットも脱がずにまず#83柿沼選手に駆け寄ってがっちりと握手。
10周に渡る激しくもクリーンなバトルを戦った相手を互いにたたえ合った。
そして上気した表情で揃って口にしたのは
「大変なバトルだった、でも最高に楽しかった」
というこれぞVITAレースの神髄ともいえる言葉だった。
このレース結果で、シリーズランキングは、
トップ志賀選手49.5ポイント、2番手カワモト選手44ポイント、
3番手柿沼選手43ポイント、4番手窪田選手42ポイントという順に。
もてぎ菅生シリーズは残り2戦、まだまだわからない。
🏆チャンピオンにはVITA『スケールモデル』🏎️が授与される!
「もてぎチャンピオンカップレース第4戦」
8月も終わりというのに一向に猛暑が収まらない栃木県のモビリティリゾートもてぎに9台のVITAが集まった。
シリーズ参戦している8名に加えて今回注目なのはなんといってもVITAもてぎ初見参の#77兒島弘訓選手(ZR WINMAX VITA)だ。
FIA-F4参戦経験があり、スーパーフォーミュラではチーム無限のデータエンジニアも務めているというマルチな人材で今シーズンは筑波シリーズに参戦。
ここまで3連勝と初代チャンピオンに向けて邁進中なだけに目が離せない。
今回の参戦はダンパーのテストと、ZENKAI RACINGのシミュレーターの為のデータ収集も目的としているとのこと。
■予選
15分間の予選は午前10時コースオープン。
この時間ですでに気温31.7度、路面温度50度超という厳しいコンディションだ。
#77兒島選手を先頭に全車がコースインしてタイムアタックを開始。
まずは計測1周目、#77兒島選手が2分15秒061でトップ。
続いて2番手に2分15秒284の#32カワモトミツル選手(シンエイジャパン&オートルックVITA)、
3番手2分15秒777の#30窪田俊浩選手(A-PEX☆TOKAIDENSO☆VITA)、
とシリーズ3位、1位の上位ランカーが続く。
4番手はおなじみ#8イシカワヨシオ選手(東京IRCニルズvivoVITA)の2分15秒823。
昨年は最終戦で惜しくもチャンピオンを逃した#8イシカワ選手、
体調も戻って今年こそと意気込みここまでシリーズ4位。
残り時間8分、#32カワモト選手が2分14秒815のトップタイムをマークするが、すかざず#83柿沼一峰選手(プラチナ恵比寿制動屋NUTECVITA)が2分14秒503で逆転。
#83柿沼選手は今年からもてぎVITAに本格参戦だ。
#77兒島選手3番手にドロップ。
#8イシカワ選手は2分15秒429で4番手を守り、#30窪田選手5番手にドロップと目まぐしくポジションが入れ替わる。
6番手は#80志賀卓弥選手(シードソリューション・マーズ01)、
7番手#65小松寛子選手(XCELL-LITEマーズ01)とMARS RACING勢が並ぶ。
#80志賀選手は今年MECでのPro-Amクラス優勝を皮切りにスプリントでコンスタントに上位に入って目下トップの#30窪田選手とは2.5ポイント差のシリーズ2位だ。
#65小松選手も2回入賞でランキング7位につけている。
いったん3番手に落ちた#77兒島選手だが残り時間5分40秒に2分14秒439を叩き出してトップに再浮上。
このあたりで各車タイヤのピークが終わったか自己ベストを更新する選手が少なくなる中、
#8イシカワ選手が2分14秒台に入れて14秒857を出すも4番手変わらず。
そして残り3分、2番手の#83柿沼選手が2分14秒481と#77兒島選手に迫るが千分の42秒届かない。
さらに#71平川圭介選手(ELEVレーシングドリームVITA)、
#44山口心愛選手(FIRSTGARAGE大和設備工業VITA)
がそれぞれ2分15秒210、2分17秒216と自己ベストを更新するがポジションは7番手、9番手で変わらず。
15分が経過しチェカードフラッグが振られて予選は終了。
上位に変動はなくトップ#77兒島選手、
2番手#83柿沼選手、
3番手#32カワモト選手、
4番手#8イシカワ選手、
5番手#80志賀選手、
6番手#80窪田選手、
7番手#71平川選手、
8番手#65小松選手、
9番手#44山口選手という結果になった。
<予選後コメント>
ポールポジション 兒島弘訓選手
(#77 ZR WINMAX VITA)
「もてぎにまだ慣れ切れていないというか、難しい部分がまだあります。
タイムのバラつきも大きくて、ピークを出しに行くタイミングがタイヤのおいしい所をちょっと過ぎた時だったので、いまひとつ決めきれていない感じはあるのですが。
めちゃくちゃ僅差ですかれどなんとかポールを取れてよかったなと思います。
昨日からセットをかなり大きく変えて、それは悪くなかったなと。
ヤリスのラジアルタイヤの路面になってしまっていて、それを見越してちょっと曲がらない方向にセットしたのがよかったです。昨日の練習走行が3番手だったので、それを考えれば良くはなったかなと思います。
決勝が3時半ごろからで多少路面温度下がってくると思うのですが、直前にヤリスカップもありますし、路面は相変わらず悪い状況かなと思うので、タイヤマネジメントをしっかりしつつ。タイム差見ると間違いなく柿沼さんとバチバチのバトルになるだろうなという感じなので、楽しくバトルできればなと思います」
2番手 柿沼一峰選手
(#83プラチナ恵比寿制動屋NUTECVITA)
「路面が昨日と違いすぎるので、クルマもぜんぜん止まらなくて。
決勝はどうなるか分からないですが、頑張ります。決勝で涼しくなって路面温度も下がってくればいいですね」
3番手 カワモトミツル選手
(#32シンエイジャパン&オートルックVITA)
「ちょっとうまくできませんでしたね、タイヤのいいところを使い切れずで。路面にラバーが乗っていたのかな?
すごい滑って思ってたより上手にできませんでした。
私は経験が浅いのでそういう場合にどうしたらいいか、どう対処したらいいのかは、これから勉強していきます。
(前回までと)まったく違う路面になっていて、びっくりした所があって、攻めきれなかったというか、どうしたものかな、という感じですね。
それでも兒島選手は上手にこなしていたので、私の実力不足、これも経験を重ねて、次に活かせられればいいかな、と。
決勝はせっかく兒島選手みたいな上手な人と走れるので、こういう機会もあまりないので、1個でも2個でも学んで、頑張りたいと思います」
4番手 イシカワヨシオ選手(#8東京IRCニルズvivoVITA)
「なかなか難しいですね。練習中もずっとどんぐり(の背比べ)と分かっていたので、ちょっとでも失敗したらアウトだな、と思っていました。
もうちょいこの辺り(3番手)までは行きたかったです。
決勝はミスのないように、昨日とかも何回がミスしているし、今年になってからミスが多いのですよ。
それを無くせばなんとか3番手ぐらい行けるのではないかな、と思います。
体調はもうすっかり、握力も少しずつ戻っていて、腰も大丈夫。あとは暑さだけですね(笑)。
昨日もいむらさんダウンしてたし、熱中症対策を十分していっぱい水飲んで。
でもあまり飲むと決勝前にトイレ行きたくなっちゃうんですよね(苦笑)。
決勝はちょっと夕方で一昨日の午後も走っているので、同じくらい気温下がってくれれば、何とかなるかな」
5番手 志賀卓弥選手
(#80シードソリューション・マーズ01)
「なんか全然、今週ダメダメで、思ったタイムも出せず、ちょっと迷走していたのですが。
予選もちょっと冷静さに欠けていたような気がするのですが、でも今週はタイムも(全体的に)そんなに出ていないですし、あと前回から体重が8キロ増えてしまって(苦笑)、それもちょっと影響あるみたいで。
仕方ないかなと思います」
6番手 窪田俊浩選手(#30A-PEX☆TOKAIDENSO☆VITA)
「路面が悪いより人間が悪いですね(笑)。路面温度が高いのでタイムはそれなりかな、という気がします。
コンディションは皆さん一緒なので、単純に今回初日から調子悪くて、なんか乗り切れていないですね。
予選開始前のファストレーンへの進入も勘違いしていて、本来1分前からなのに2分前に出てしまって、とかもう冴えていないです。
でも(上位を)狙える位置ではあるので、あきらめずに、ポイント(首位)も守りたいので、粘って頑張りたいと思います」
■決勝
もてぎVITAシリーズ第4戦決勝は午後3時15分にコースイン開始。
さすがも猛暑もすこしやわらいできたが気温31.9度、風が抜けるストレートの路面温度はやや下がったようだがまだ熱い。
9台のVITA-01がグリッドに整列しレーススタート。10周または30分間の戦いが始まった。
ポールシッターの#77兒島選手がホールショットを奪い第1コーナーへ飛び込む、2番グリッド#83柿沼選手、3番グリッド#32カワモト選手とグリッド通りにスタートしたが、蹴り出しのよかった#32カワモト選手がアウトから#83柿沼選手に並びかけてターンインで接触。
#83柿沼選手がイン側の縁石に乗って暴れるマシンを御して並走のままでコーナーを抜け、2位のポジションを守る。
その後方では6番手スタートの#30窪田選手が第3コーナーへのブレーキングで5位#80志賀選手のインからオーバーテイク、その勢いのまま第4コーナーに向けて4位#8イシカワ選手のイン側にノーズをねじ込むがここで接触して両車スピン。#8イシカワ選手はグラベルストップ。
オープニングラップを終えてトップ#77兒島選手と2位#83柿沼選手は0.631秒の差、
3位#32カワモト選手の後方には上位の混乱に乗じてポジションを上げた4位#80志賀選手、
5位#71平川選手、6位#65小松選手、7位#44山口選手と続く。接触があった#30窪田選手は再スタートするもそのままピットに戻りガレージイン。
2周目に入ると#83柿沼選手がペースアップ。
2分14秒903とトップ#77兒島選手より0.3秒以上速いラップタイムを刻んで0.318秒差まで接近する。
#32カワモト選手はこの2台のペースについていけずギャップがひらいている。
4位#80志賀選手は単独走行で、
#71平川選手を#65小松選手が仕留めて5位に上がってメインストレートに戻ってくる。
3周目、#83柿沼選手のペースがよく第1コーナーで#77兒島選手のリヤに張り付くと第3コーナーへのブレーキングでアウトからオーバーテイク、トップに浮上する。
しかし今度は#77兒島選手がテール・ツー・ノーズ状態で追走。90度コーナーからの加速で#83柿沼選手のアウト側に出てセカンドアンダーブリッジを並走。
ビクトリーコーナーで前に出てトップの座を奪い返す。
#71平川選手が90度コーナーで単独スピン、#44山口選手が先行して6位に。#71平川選手もすぐに再走するも7位。
4周目のメインストレート、#83柿沼選手は#77兒島選手のスリップストリームから抜け出て第1コーナーでイン側から前に出て再逆転。
しかし#77兒島選手は今回も逃がさない。0.116秒差でコントロールラインを通過すると続く5周目にお返しとばかりに第1コーナーでイン伺うが、ここは#83柿沼選手がブロックラインを通って首位を守る。
3位#32カワモト選手はこの2台から2.6秒後方。バトルを続ける2台に追いつきたいところだ。4位以下に動きはなく、
6位を走る#44山口選手と#71平川選手のギャップは6.036秒。
#44山口選手はジャンピングスタートで5秒加算ペナルティを抱えているがこの間合いなら順位を守れる。
5周目を終えてトップ#83柿沼選手と2位#77兒島選手は依然テール・ツー・ノーズ状態。トップ2台だけが2分15秒台で3位以下をちぎる一騎打ちでレースは後半戦へ。
77兒島選手は勝負どころを変えて6周目のダウンヒルストレートでスリップストリームから抜け出して90度コーナーへのブレーキングでチャンスを伺うがインを押さえた#83柿沼選手がポジションを守る。
7周目のヘアピンで#77兒島選手は今度はアウト側から仕掛けるがここも#83柿沼選手がうまく抑え込む。
オーバーテイクのチャンスを模索する#77兒島選手とそれを阻止する#83柿沼選手の息詰まる戦いだ。
後方では5秒のペナルティをめぐる6位の攻防が#44山口選手と#71平川選手の間で続き、
7周目#71平川選手が自己ベストのラップタイムで#44山口選手とのギャップが3.743秒になり実質6位に順位を戻す。
8周目のS字のアプローチでついに#77兒島選手が突破口を見出す。
#83柿沼選手のインにノーズをねじ込むと、サイド・バイ・サイドで左~右と駆け抜けV字コーナーでインを奪ってオーバーテイクに成功する。
トップを奪回された#83柿沼選手が立場を入れ替えてダウンヒルストレートで#77兒島選手のスリップストリームから抜け出してインから90度コーナーへのレイトブレーキングでみたびトップに返り咲く。
激しくも相手のスペースを残したクリーンなバトルだ。テール・ツー・ノーズでコントロールラインを通過し9周目へ。
ここで前の周のリプレイを見るかのようにS字でインを差した#77兒島選手が再びトップへ出る。
今度は#83柿沼選手をうまく牽制してオーバーテイクのチャンスを与えずに、メインストレートまで戻っていよいよレースはファイナルラップへ。
第1コーナーから#83柿沼選手が#77兒島選手のスキを狙ってプレッシャーかける。
第3コーナーへの加速でサイド・バイ・サイドになると、インから#83柿沼選手が先行してターンするが、アウトから進入した#77兒島選手がクロスラインで切れ込み、#83柿沼選手の前に出る。
S字でも#83柿沼選手がインを狙うが#77兒島選手が被せて守る。
#83柿沼選手なおも諦めず90度コーナーで仕掛けにいくがここも#77兒島選手がラインを封じると勝負あり。ビクトリーコーナーを立ち上がるとそのままチェカードフラッグの下を駆け抜けて10周に渡ったドッグファイトを制して#77兒島選手が優勝を飾った。
フィニッシュ時のタイム差は0.585秒。オープニングラップを除いては最も大きなタイム差だった。
3位#32カワモト選手。トップグループからは7秒以上離されてしまったが、4位以下をまったく寄せ付けずに表彰台を守った。
以下4位#80志賀選手、#65小松選手とMARS RACING勢が入り、
6位に71平川選手、7位#44山口選手となり、オープニングラップの接触~スピンから再スタートを切った#8イシカワ選手も1周遅れながら8位完走となった。
優勝 兒島弘訓選手(#77 ZR WINMAX VITA)
「ここまですごいバトルを レース全周にわたってできたというのは今シーズン初めてだったので、それがすごい刺激になりました。
中盤でのペースが柿沼さんに対してビハンドがあったので、ちょっと練習走行の時と同じ差かなと思ったのですが。
後半のペースは僕の方がよさそうだったので、そこをちょっと冷静に見ながら、残り2周で抜くと決めて、そこに照準を合わせて。ちょっとずつミラーに見せてタイヤ削りながらという感じでした」
2位 柿沼一峰選手
(#83プラチナ恵比寿制動屋NUTECVITA)
「すごいバトルでした。あんなに毎周ずっとバトルをして疲れました(笑)。
抜かれて抜いて、抜かれて抜いて、何回それをやったか覚えていないぐらいずっとやっていました。
クリーンにバトルできて当たらなくてよかったです。ホントによかった。」
3位 カワモトミツル選手
(#32シンエイジャパン&オートルックVITA)
「スタート直後の1コーナーのバトルでホイールを接触してしまってから速度が上がらなくなりました。
だから前のバトルを指くわえて見ていました(笑)。
3位で御の字です。前の2台の最高のバトルを楽しみました。あれは柿沼選手がしんどかったでしょうね。あの中に入っていたら私もきつかったと思いますね。今回は3位で十分です。あれ以上はクルマも無理だったので(スピードが)出ませんでした」
4位 志賀卓弥選手
(#80シードソリューション・マーズ01)
「カワモトさんについていくだけでもう必死で、離されないように頑張ったのですが。今回は調子が上がらない原因もいくつかあって、それは次回までにクリアして、次のSUGOはいいところに立てるように頑張ります。
特にドライバー側ですね、体重増やしてしまったし、あとセッティング出しに練習とかも来られなかったのですし、
ぶっつけ本番みたいな感じだったので、次回は練習もセッティングもちゃんと出せるように、時間をつくります」
5位 小松寛子選手(#65XCELL-LITEマーズ01)
「予選がダメダメだったので、決勝までの間に監督にいろいろ教えてもらって、できるだけ集中力あげて頑張ったら、まわりがどんどんと(笑)倒れていったので。
それでも1台自分で抜くこともできたので、結果としてはよかったかな、と思っていて、全体としてはよいレースだったと思います」
6位 平川圭介選手
(#71ELEVレーシングドリームVITA)
「6位ですか、ちょっと嬉しいですね。90度コーナーで大スピンしてしまって(苦笑)。
それでなんとか追い上げようというところだったのですが、ちょっと周回数が足らず、不甲斐ない結果になってしまいました。
セッティングもできていなくて、練習走行に比べて新品タイヤのフィーリングがよくなくて、いまいちな結果になりました。90度のスピンはブレーキでタイヤをロックさせてしまいました。
でもグラベルにはまらずにすぐ復帰できてよかったです。
11月のもてぎでリベンジするので、そこでいい結果を残せたらなと思います」