北海道クラブマンカップレース第3戦
8/25 VITA-01北海道 Rd.3
3時間耐久として競われたシリーズ第2戦から、ほぼ2か月。
北海道クラブマンレースの最終戦、第5戦でVITA-01北海道は2レース開催であるため、このシリーズ第3戦で前半戦を終えることになる。
前回は前述のとおり耐久レースで、本州からの遠征もあったことから12台のエントリーを集めたが、今回は7台で開幕戦と同数となっていた。
もっとも、少ないとはいえ、集まったのは精鋭ばかり。遠征ドライバーひとりとルーキーひとりを加え、暑く……ではない、熱い戦いが繰り広げられそうだ。ただし、さすが北海道、この時期でも涼しくて最高!
予選
6月に行われた第2戦は、北海道らしからぬ暑さに見舞われたものの、今回はまるで逆だった。
練習走行が行われた土曜日こそ30度を超えたものの、予選と決勝が行われた日曜日は十勝地域の天気予報では最高気温ですら25度と告げられており、実際にそのとおりとなった。
予選では、誰もピットで待機することなく、計測開始と同時に全車一斉にコースイン。
それぞれ1周をウォームアップに充て、計測2周目から攻め始める。
まずトップに立ったのは、#310上野大哲選手(恒志堂レーシングVITA 310号機)で、さっそく1分31秒台に入れる。
そこからきっちり刻み続けて、計測7周目には1分31秒130をマーク。
もちろん、トップをキープし続けて、チェッカーを待たずしてピットに戻る余裕さえ見せていた。
2番手につけたのは、開幕戦でも2位で、前回の3時間耐久のウィナーのひとり、#77村上泰規選手(足立眼科KENNOL MRC VITA)だ。
計測4周目に1分31秒699を記し、さらなるタイムアップを狙ったものの、計測7周目に1分31秒863を記録するのがやっとで、#310上野選手にプレッシャーをかけるまでには至らなかった。
3番手は#12佐藤元春選手(恒志堂レーシングVITA 12号機)だ。計測1周目は1分33秒台ながらトップと、誰より速くプッシュしていたが、計測3周目に記録した1分32秒118が自己ベストに。その後もコンスタントに1分32秒台に乗せるも、さらなる短縮には及ばなかった。
計測3周目に自己ベストとなる、1分32秒798を出して4番手だったのは#910工藤大祐選手(恒志堂レーシングVITA 910号機)。ここまでは開幕戦の決勝順位に共通した。
5番手は#61平中繁延選手(HDC日本平中自動車VITA)だ。
計測4周目に1分33秒310を記すも、ターゲットとしていたのは1分32秒台と言い、予選後はやや納得がいかぬ様子だった。
6番手と7番手は、初参戦のドライバー。
6番手となった#10伊藤俊哉選手
(十勝レーシングスクール伊藤VITA)は、十勝のスクールカーをレンタルしての参戦。
岐阜県からの遠征で、併催のGR86/BRZ CupとのWエントリーでもあった
7番手の#986門間大選手(相互車輌工業VITA-01)は、これが公式戦デビュー。
マシンは昨年から所有し、ほぼ1年の練習を経て、満を持して初参戦となった。
ポールポジション:
#310上野大哲選手(恒志堂レーシングVITA 310号機)
「この週末ずっと、タイムが出るのは最初じゃなくて、最後なんですね。
(計測が)15分で短かったので、間に合うかギリギリだったんですけど、何とかまとめられて、タイムを上げ続けられたので、良かったかなと。それでもちょっと内圧をミスったので、もうちょっといけたと思いますし、決勝は合わせて行けるようにしたいですね」
予選2番手:
#77村上泰規選手(足立眼科KENNOL MRC VITA)
「なんとか気合いと、昨日最後の練習からのフィードバックで調整した分で、ようやくタイムが出せたかなと。
昨日はトップから1.5秒ぐらい差をつけられていて、4番手か5番手のタイムしか出ていなかったので、けっこう厳しいぞ、と。今日もだいぶ不安な気持ちで予選に臨んだんですけど、走り始めてガラッと、気温もそうなんですけど、路面もまたコンディションが変わっていて、車の動き的にも自分のできる限りのことをしたら、タイムがここまで出てくれました。
開幕戦よりもトップとの差があるので、ちょっと悔しい部分はあるんですけど、決勝では何とか食らいついていけるように頑張っていきたいと思います」
予選3番手:
#12佐藤元春選手(恒志堂レーシングVITA 12号機)
「だいぶ新品タイヤの使い方は分かってきたんですが、まだ自分がイメージしている通りの操作と、車の挙動のマッチングがまだ噛み合わないところがあって……。
でも、今回のレースウィーク、かなり練習はしたので、予選はちょっと思ったような結果ではなかったですが、しっかり上位2名に食らいついていって、いいレースしたいと思います」
予選4番手:
#910工藤大祐選手(恒志堂レーシングVITA 910号機)
「今回から足のセットが新しくなったので、昨日も頑張って練習していたんですが、まだ自分の中に入ってきていない状態なので、思った結果にはなりませんでした。
レースはまた別物なので、全開で行きたいと思っています!」
予選5番手:
#61平中繁延選手(HDC日本平中自動車 VITA)
「頑張って32秒台、出そうと思って、『よし、とりあえず33秒3出たぞ、よっしゃ〜』って。
でもね、その後、『あれ?』って。いやね、突っ込み過ぎているの。それと車が流れているので、四脱取られたらパーじゃないですか?
今日の温度じゃタイム出るとは思っていなくて、それでも32秒に入れたかったんですけどね。
今回は忙しくて、体調も良くなかったから、出るのやめようかなと思ったんだけど、台数見たら少ないから、体調も戻ってきたし、十勝にお願いして遅れてエントリーしました。
みんな車は持っているんだから、連絡とって頼まないとダメだね、『また一緒に遊ぼうよ〜』って。
寂しいですから」
予選6番手:
#10伊藤俊哉選手(十勝レーシングスクール伊藤VITA)
「86レースの練習を兼ねて、スクールカーで走っていたんですが、『出ませんか?』と誘われて。
VITAでレースするのは初めてです。車はすごく調子いいし、ハコ車と違って、しっかりレーシングカーしているので、乗っていて、運転していて楽しかったですよ。
タイムは全然出ませんでしたが、それは慣れの問題で。練習したら、もうちょっと速くなれそうな気がします。
決勝は後ろからついていって、速そうな人の走りを真似しながら、ちょっとずつステップアップできるように、やっていきたいと思います」
予選7番手:#986門間大選手(相互車輌工業VITA-01)
「今まで草レースで耐久とかやっていて、公式戦はこれが初めてになります。いや、難しいですね。
普段はハコ車ばっかりで、初のVITAなんですけど、思ったように動かせなくて(苦笑)。
練習で少しずつは乗っていたんですけど、全然乗れない自分が悔しいです。
普段はポルシェに乗っていて、ミッドシップやリヤエンジンが好きなので、これに挑戦しましたけど、やっぱり難しいです。
レースでは頑張ります!」
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決勝
決勝を迎えても、コンディションは穏やかなまま。手元調べでの気温は20度、路面温度も35度と、この時期としてはあり得ない状況でもあった。
余談ながら、筆者は東京から訪れているが、「帰りたくない」と思ったのは自分だけではあるまい。
12周で競われる決勝で、しっかりスタートを決め、1コーナーへのホールショットに成功したのは、ポールシッターの#310上野選手だ。
1周目こそ#77村上選手が1秒と遅れず着いていくも、2周目には差が1秒半にまで広がってしまう。
3番手は#12佐藤選手、4番手は#910工藤選手、5番手は#61平中選手、6番手が#10伊藤選手、そして#986門間選手が7番手は、予選とまったく変わらず。
2周目を終えたところで、#10伊藤選手がピットに戻ってくる。トラブル発生かと思われたものの、帰りの飛行機に間に合わせるためだったという。
それでも北の大地に、名を残すことには成功した。その後の残る6台は、それぞれ単独での走行に。
淡々と周回は重ねられていったが、それでも特筆すべきは#310上野選手のタイム刻みだ。
開幕戦同様、きっちり1分31秒台で周回し続けて、1分32秒台となってしまったのは、わずか1周のみ。
しかも、開幕戦では最後にペースを抑えたものの、今回は余力を残していたのだろう。
今回は10周目に1分31秒654を、さらに最終ラップには1分31秒643と、ファステストラップを更新し続けていた。
対して、#77村上選手も1分32秒台の前半で走り続けたこともあり、#310上野選手のリードはチェッカーが振られた時点で7秒ほどに収まったものの、今季2勝目をマーク。ポイントトップも守り抜いた。
3位は#12佐藤選手。最終ラップには#77村上選手を上回るラップタイムを記し、わずかながらも差を詰める意地を見せて表彰台に立っていた。
#10伊藤選手のリタイア後は、順位変動が一切ないレースではあったが、予選タイムを上回れた、後半になって自己ベストを出せた選手もいて、それぞれに収穫はあったはず。課題をクリアして今後に活かしてくれることを期待したい。
優勝:#310上野大哲選手
(恒志堂レーシングVITA 310号機)
「結局、最終的には(内圧が)合わなかったんですけど、ラップをいい感じに、ばらつきなく行けました。
スタートで初戦みたいなミスすることなく、ちゃんと逃げられて良かったんですけど、もうちょっと離したかったというのが、正直あります。『最後ぐらい速いタイム出しておかないと』って詰めて。まだ3戦残っていますので、これからも頑張ります」
2位:#77村上泰規選手
(足立眼科KENNOL MRC VITA)
「まぁ、開幕戦もあのぐらい離されていたので、思っていたというより想定内。
序盤はまだ見える位置にいたので、そこはまだ良かったんですけど、離されちゃった時に僕の集中力が保てなかったのと、上野くんは最初から最後まで速かったというのが、あそこまで差をつけられてしまった要因かなと。
あと、四脱をけっこうしちゃったので、上野くんは四脱しないでも、まだまだあの速さ。
絶対的な速さが、自分にも車にも足りないなと思ったレースです。
上野くんを目指して残り2戦、まだ3レースあるので、そこを目指して練習、またしていきたいと思います」
3位:#12佐藤元春選手
(恒志堂レーシングVITA 12号機)
「自分もそんなにミスなく走れたんですけど、自分のスキルとセッティングを、もっと十勝バージョンに合わせていかないといけないのかな、って。四脱取られそうなので、気をつけて走ったというのもありましたが……。
ちょっと十勝だけ独特というか、他のサーキットとは違う部分があるので、乗り方も変えていかないと。その部分をもう一回、十勝バージョンに合わせていこうと思っています」
4位:#910工藤大祐選手
(恒志堂レーシング VITA 910号機)
「離されてしまいましたね。今のセットにもっと慣れて、基本の周回タイムを上げられるように、安定して走れるように、っていうのが今日の課題だと思いました。もっと速くなって、戻ってきたいと思います」
5位:#61平中繁延選手
(HDC日本平中自動車 VITA)
「最後、タイム落ちたのは? 安全に走りました(笑)、嘘です。もう追いつかないから。
体力温存ってことで、札幌に帰らなきゃいけないから! とりあえず楽しめました。セッティングをがっぱり変えて、タイムは予選よりも出たんで、まぁいいかなって。安定してタイムが出せるようになったので、セッティングはいい方向に行っているなっていう感じでした。
頑張れば33秒の前半は出るから、前の車にそんな離れず、一定の距離で行けたからね。もうちょっと何かを変えたら、年寄りでも頑張れるぞっていうのをアピールしたいですね」
6位:#986門間大選手
(相互車輌工業VITA-01)
「楽しかったですけど、怖かったです。誰も気づいていないでしょうが、1コーナーの飛び込みでスピンしちゃって(苦笑)。回ってしまってからは心のリミッターが入ってしまって、全然ダメでした。
でも、ラスト2周はそこそこのタイムを出せました。今後もやりたいと思っています」