FCR-VITA第2戦 /
富士チャンピオンレース第3戦
8/17 FCR-VITA Rd.2
今年も全4戦での争いとなる、富士スピードウェイが舞台のFCR-VITAは、これが2戦目。
前回のエントリー42台から、さらに増えて今回は上限の50台にも及んだ。
実際には、これを超える申し込みがあったようで、いわゆる“受理落ち”があったのは、筆者の記憶する限り、まだ富士フレッシュマンレースと呼ばれていた頃の1990年代以来ではないか?
余談ながら、当時はまだ現金書留で申し込んでいて、受付開始日より早く届いてもダメで、開始当日からの早いもの順だったため、郵便局に提出する日どころか、時間まで逆算するという“裏技”を要したという逸話も残されている。
上限があるのは予選落ちをなくそうという配慮によるのだろうが、日の長い夏場ならばコンソレーションを設けても良かったのでは……とも思ってしまうが、まぁ致し方あるまい。
次回以降の申し込みは、お早めに!
予選
1台が予選を前にエントリーを取り消したとはいえ、それでも49台が一斉に走った予選である。
あちこちで大渋滞が発生し、スリップストリームは使いやすいかもしれないが、速度差があれば、必ずしも有効とはならず。
いかにクリアラップが取れるか、まさに運も実力のうちとなった。
そんな厳しい状況の中、計測2周目に1分59秒189をマークし、トップに立ったのは#17斎藤愛未選手(Team M岡部自動車D.D.R VITA)だ。
今年は三浦愛監督率いるTeam Mに所属して指導を受けることによって、持ち前の速さに強さも加えたドライバーは、スーパーフォーミュラと併催のKYOJO CUPで2連勝を飾ったばかり。まさに勢いそのままといった様子だ。
この周には、また#16徳升広平選手(Passing Mark Racing VITA)が2分0秒109で2番手に、#12大野俊哉選手(ビーンズスポーツSPM☆VITA)が2分0秒125で3番手に、#114翁長実希選手(CBP RSS VITA)が2分0秒335で4番手につけていた。
しかし、#17斎藤選手と#12大野選手、そして#114翁長選手はこの後タイムアップならず。
クリアラップを取れなかったというより、ライバルが背後につけてスリップストリームを使おうとしていたためだ。
自身の再アタックで敵に塩を与えかねないから、これはやむを得ない事情ではある。
そんな状況においても、計測3周目に1分59秒464を記録して2番手に食い込んできたのが#32兒島弘訓選手(ZENKAI RACING VITA)だった。
そして、第1戦のウィナー#51藤原大暉選手(BRM VITA)が2分0秒178で、#12大野選手と#114翁長選手の間に割って入る。
路面温度の上昇もあって、後半は誰も好タイムを刻めなくなっていた中、意地を見せたのが#16徳升選手だった。
計測6周目にポジションこそ3番手のままだったが、2分0秒072にまで短縮に成功。今回からチーム体制を変更、マシンも改めての参戦でもあった。
計測開始から20分を経過した8時20分にチェッカーが振られ、ポールポジションは#17斎藤選手が獲得し、以下、#32兒島選手、#16徳升選手、#12大野選手、#51藤原選手、#114翁長選手という順に。
7番手はジェントルマンクラストップともなる#66イノウエケイイチ選手で、8番手が初参戦の#11落合蓮音選手。
そして9番手で#71武村和希選手(ZENKAI RACING VITA)、10番手に#87山本龍選手(おさきにどうぞ☆VITA)が続くこととなった。
ポールポジション:#17斎藤愛未選手(Team M岡部自動車D.D.R VITA)
「台数多かったので、場所取りが大変だったんですけど、いいスペース開けられた時に、一発出せたタイムがポールポジションだったので、良かったです。
全体通して難しい予選で、その後も後ろにライバルが着いていたりしたので、そこでアタックしたら超されちゃう恐れもあったので……。
もう一発アタックできたらいいなって感じだったんですが、最後は路面温度も高くなってきちゃったので無理でした。最初のうちに出せて良かったです。
車ももちろんいいですし、(三浦)監督もしっかり指導してくださっているので、毎戦着実に成長できているのは、すごく大きいと思います」
予選2番手:#32兒島弘訓選手(ZENKAI RACING VITA)
「全然クリアが取れなくて、9秒4出た周はストレートでフルスリップが使えて、1コーナーで刺して。刺した時もインラインから入って、その後は普通にクリアが取れたので、最低限のロスで済みました。
その位置取りが良いか悪いかは別として、結果としては良かったと思います。
昨年出た時はMECで、そこからセットを詰めたり、いろんなアイテム入れて改善できたので、このまま表彰台キープして、できれば優勝目指して頑張りたいと思います」
予選3番手:#16徳升広平選手(Passing Mark Racing VITA)
「2分切れなかったです。タイム出した周が後半だったので、もうちょっとタイヤが美味しい周でタイム出せたら、切れていたんじゃないかって。
僕の位置関係が悪かったというのが、正直なところですね。
どこ行ってもいるし、VITAは入門カテゴリーでもあるので、やっぱりタイム差もあるから……。その中で、みんな同じ環境でやっているので、『どうかな?』と思って最後の最後に振り絞って出したタイムが、これだったので。でも、今回からチームが変わって、新しい体制で走ることになって、レースウィークの初日は2秒落ちとかで、どうしても厳しい状況が続いていたんですが、みんなが夜遅くまで一生懸命やってくれたおかげで、なんとか戦える位置まで来たので、チームに関して感謝しかありません。結果で恩返ししたいですね」
予選4番手:#12大野俊哉選手(ビーンズスポーツSPM☆VITA)
「クリア取りづらいのは承知の上で、早めに出て行って『なるべく前に前に』って感じで、場所見つけて頑張りました。
もう後半じゃ出ないっていうのは分かっていたので2、3周かなって。エンジンがちょっとタレ気味なので、他の車より5km/hぐらい遅いんですよ。
だからスリップ使えなかったら話にならない。場所は良かった。決勝では着いていければ、なんとかというところですけど、離されちゃったら厳しいですね。ミスないように走ります」
予選5番手:#51藤原大暉選手(BRM VITA)
「ちょっと場所が、本当につらかったです。でも、決勝のアドバンテージはあると思うので、どこまで追い上げられるのかなと思っています。
ちょっと自信なくなっちゃいましたけど(苦笑)」
予選6番手:#114翁長実希選手(CBP RSS VITA)
「クリアが全然取れなかったですね。最初にポンと出したんですけど、ベストの次の周にマイナス入っていたのに引っかかってしまいました。
全然戦える状態ではあるんですが、タイムを出し切れなかったのが少し悔しいです。上位の方のタイムは揃っているので、いいレースができると思います」
決勝
11時にフォーメイションラップが開始されたが49台もいると、全車グリッドに整列するのに、ほぼ3分。こんなに時間がかかるのかと改めて感じさせられた。
そこからレッドシグナルが五つ灯され、ブラックアウトの後、レースがスタート!
3番手から#16徳升選手が鋭く飛び出し、#17斎藤選手と#32兒島選手の間をすり抜けようとするも、ここでは扉を閉められてしまう。
1コーナーにはイン側から#32兒島選手が先に飛び込むも、#17斎藤選手も並んだまま。
そしてコカコーラコーナーまでに前に出る。
#32兒島選手には100Rで#16徳升選手が襲い掛かり、オーバーテイクに成功する。
その後方につけたのは、#114翁長選手と#51藤原選手だ。
#17斎藤選手、#16徳升選手、#32兒島選手、#114翁長選手、#51藤原選手の順でトップグループが形成されて1周目を終える中、やや離れて#71武村選手を先頭とする6番手争いが壮絶。
その中にいた#12大野選手が1コーナーでオーバーシュート、順位を落としていた。
直後の2コーナーでは#32兒島選手が2番手に浮上し、さらに#114翁長選手がコカコーラコーナーで3番手に。勢いに乗る#32兒島選手はダンロップコーナーの入口で、アウトから#17斎藤選手をかわす。
それでも後続を離すまでには至らず、5台でのトップ争いは継続中。
そして、その後方では#71武村選手、#11落合選手、#66イノウエ選手が競い合っていたが、予選12番手だった#50永井歩夢選手(BBS VITA)と#87山本選手も追いついてすぐ背後に。
4周目のストレートで、#17斎藤選手が再度トップに立ち、コカコーラコーナーでは#32兒島選手、#51藤原選手、#16徳升選手、#114翁長選手の順で続いていく。
その2番手争いが激しさを極める間に、#17斎藤選手は一気にスパート!
4周目を終えると、さっそく1秒3のリードを奪っていた。
2番手は100Rで前に出ていた#51藤原選手だったが、5周目の1コーナーで#16徳升選手がオーバーテイク。
その間にも#17斎藤選手はひとり逃げていき、そして6周目の1コーナーでは#32兒島選手は2番手に。
4台での争いはなおも続く。
7周目の1コーナーでは#16徳升選手が前に。
そして少し離れて6番手には永井選手が。集団から抜け出してきたのだ。
その背後には#87山本選手も8周目のストレートでは#32兒島選手が2番手に上がり、#16徳升選手を従える。
一方、この頃にはやや前から離されてはいたが、#114翁長選手と#51藤原選手の4番手争いもなお激しく続いていた。
一方、11番手に順位を落としてはいたが、ジェントルマンクラスのトップは守り続けていた#66イノウエ選手が、100Rで後続車両に追突されて順位を落とす。
これでクラストップには#8イシカワヨシオ選手が躍り出た。
最終ラップの1コーナーでは#16徳升選手が2番手に上がるも、コカコーラコーナーでは#32兒島選手がまたも前に。#16徳升選手もまだ諦めていない。
ダンロップコーナーで仕掛けるも、ここは#32兒島選手のガードが固かった。
後続のバトルが激しく続いたのを尻目に、トップを守り抜いた#17斎藤選手はFCR-VITA初優勝!
ランキングでも2位に躍り出た。
#32兒島選手、そして#16徳升選手の順で続いて表彰台に上がり、そして4位は#51藤原選手が獲得。
最後のストレートで#114翁長選手のスリップストリームから抜け出し、コンマ130秒だけ先にゴールラインに飛び込んでいた。
#51藤原選手はランキングのトップは守り抜いたものの、#17斎藤選手に2ポイント差にまで迫られている。
そして6位でフィニッシュしたのは#50永井選手だったが、再車検で重量不足があって失格となり、繰り上がって#87山本選手が6位を獲得。
7位は#12大野選手。
一時はポイント圏外まで順位を落としていたが、その後の挽回も光っていた。
8位は#8イシカワ選手で、ジェントルマンクラスの優勝も。
レース後にはさっそく翌日に控えるオートポリスのレースに出場するため、西へと移動していた。
優勝:#17斎藤愛未選手(Team M岡部自動車D.D.R VITA)
「展開に恵まれたのが大きかったんですけど、冷静に走れたので、良かったと思います。
監督にいろいろ指導してもらっているので、それを活かしているだけなんですけど、そのおかげでメキメキと成長できています。この調子で残りのレースも頑張ります!」
2位;#32兒島弘訓選手(ZENKAI RACING VITA)
「人生で初めて、こうやってリアルレースで駆け引きありのバトルを、ずっとしているというレースをしていて。
スーパーFJの頃も、ここまでのレースはなかったので、自信にはなりましたけど、レース序盤に競り過ぎたせいで愛未ちゃんに逃げられちゃったので、あそこの展開を見直さなきゃいけないっていうのが、あれがなければ3台での争いに持ち込めたのかな、っていうのがあるので、ちょっと悔しいですね」
3位:#16徳升広平選手(Passing Mark Racing VITA)
「見応えはあったでしょうけど、トップでやらないと! 僕がちょっとかき回し過ぎて、申し訳ないレースにしたなと、みんなに思っています。僕がイケイケドンドンでトップを逃しちゃったので、僕が冷静になっていたら、もうちょっといいレースができたと思います。
でも、新体制になって表彰台にも上がれたし、ポイント争いもギリギリなんとか残っていると思うので、気を抜かずに頑張らせていただきます」
4位:#51藤原大暉選手(BRM VITA)
「前を追いかけようと思っていたんですが、タイヤを使い過ぎちゃって。難しいですね、この気温だと。
今回は守りのレースになっちゃったけど、次のレースは10月なので、涼しくはなるので、そこをどうするか。今回から新しい足を入れたので、もうちょっとセットアップも詰めなきゃダメですね。合わせ込むのも難しいですけど、また頑張ります」
5位:#114翁長実希選手(CBP RSS VITA)
「スタート良くて上がっていけたのですが、接触もあって後半はペースが上げられなくなってしまいました。次に向けて、また頑張ります」
6位:#87山本龍選手(おさきにどうぞ☆VITA)
「10番手からスタートして、最初は集団の中で。でも、まわりには上手い人が多かったので、私が派手にやらかしても避けてくれるので、助かりました。この6ポイントは大きいと思います。復活? 復活というか最初からなんにも(笑)」
ジェントルマンクラス優勝:#8イシカワヨシオ選手(東京IRCニルズvivo VITA)
「イノウエくんが遥か前にいたのに、100Rで弾かれちゃったんですよ。それで飛んでいっちゃって、僕は前に出られただけで。僕も最終ラップのダンロップコーナーでぶつけられましたからね。あのシミュレータの連中、やばいですよ、ぶつけるの、へっちゃらですから。
とりあえずシングル行けたので、そっちの方が嬉しいですね。これからオートポリス、行ってきます!」
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67歳、イシカワヨシオ選手。
レース直後、陸路にてAPレースに参戦した!
恐るべし67歳!尊敬✨
<ジェントルマン決勝>
1位:#8 イシカワ ヨシオ 東京IRCニルズvivoVITA
2位:#66 イノウエケイイチ VITA
3位:#27 大沢 良明 ビーンズスポーツYRC☆VITA
次戦10/5【MEC】120では
すごいプロドライバーがエントリー!
あなたも腕試しはいかが?