第3戦のエントリーは21台と、3戦連続で20台オーバーとなったFCR-VITA。VITA-01の国内シリーズとしては、最も遅いスタートとなった富士スピードウェイではあるが、完全に人気が定着したのは明らかだ。
その予選は、またしてもあいにくのウェットコンディション。コースオープンと同時に、全車が一斉にピットを離れていった。
いきなりトップに立ったのは、ここまで2連勝の小山美姫。アタック2周目には2分21秒台に入れて、ライバルに1秒以上の差をつける。そして6周目には2分20秒588にまで短縮を果たし、その時点で2番手にさえ1秒7ものリードを奪う。終盤になって前回、デビュー2戦目にも関わらず3位表彰台に上がった、眞田拓海が2分21秒524をマークするも、それでも1秒差。一方で同じ頃、小山はさらなるタイムアップを狙うも、クリアラップを取ることができずじまい。チェッカーを待たずにアタックを終了する。
昨年の岡山シリーズチャンピオン、杉原直弥が2分22秒390を記して3番手、そして終盤に大幅なタイムアップを遂げたYuri Hayashiが4番手を獲得。KYOJOドライバーは、平川真子が13番手、星七麻衣が16番手、RINA ITOが18番手から決勝レースに挑むこととなった。
小山美姫(ポールポジション)
「雨は降ったり、やんだりしていましたが、乾いていたところから濡れていったわけではないので、コンディションは比較的安定していたと思います。むしろ乾いていく方向だと予想して内圧を合わせていたので、ベストな状態になったのは最後の最後だったんですが、本当にまるまる1周引っかかってしまって。いったん離れて最後にもう一回アタックというのも考えたんですが、今回タイヤを1セットしか用意していなくて、明日(KYOJO-CUP)も通しで使うので、もう温存でいいと。無理せずにとっておこうということにしました」
FCR-VITA決勝 12:45スタート
今回も予選と決勝レースはコンディションがまったく異なり、完全なドライでの戦いとなった。
10/6(土) 14:15 FCR-VITA 決勝スタート!
ポールシッターの小山はスタートを決め、早々に差を広げていったのとは対照的に、後続ではいきなりバトルが勃発する。
一団となっていたのが眞田、杉原、そして予選5番手だったイノウエケイイチ。3人はコーナーごとに順位を入れ替え合っていたが、それぞれの思惑が異なっていたため、ダンロップコーナーで接触! イノウエはその場でリタイアし、眞田はフロントカウルを傷めてしまう。
このアクシデントを巧みにかいくぐって、2番手に浮上していたのが、予選7番手だった鶴賀義幸だった。「予選は完全に失敗したんですが、それがかえって(苦笑)。避けた方向がラッキーでした」と、前回まで2戦連続で2位だったドライバーが早々と挽回を果たす。
そして3番手は予選8番手の成瀬茂喜。
一方、Hayashiはスタートに失敗していたこともあり、10番手に後退していた。
オープニングラップを終えると、小山は鶴賀に3秒6もの差をつけ、鶴賀もまた1秒6の差で単独走行に。
3番手争いが激しく、成瀬、眞田、いむらせいじの順で三つ巴のバトルを続けるが、その最中に眞田のフロントカウルが宙を舞ったのが4周目の1コーナー。当然、空力面ではハンデを負ったはずだが、しばらくの間、眞田はポジションを守り続けていた。ようやく、いむらが前に出たのは6周目のダンロップコーナー。その間に成瀬は単独走行となっていた。
今回も圧倒的な速さでチェッカーをくぐったのは小山 美姫。
KYOJO-CUPにも同じタイヤを使用しなくてはならないため、終盤には後続とペースを合わせていたことから、今回のリードは7秒4と控えめだったが、小山はまたしてもポール・トゥ・ウィンを達成。ただし、鶴賀が2位でゴールしていたこともあって、チャンピオン決定は最終戦に持ち越すこととなった。
1周目のアクシデントで15番手まで後退していた杉原は、その後の追い上げで眞田に続く6位でゴール。続く7位が平川。Hayashiが9位で、ITOは10位、そして星七は中盤の接触もあって、17位という結果に終わっている。
小山美姫(優勝)
「今日はついにスタート決まりました! タイヤもしっかり温存できましたが、最後の周だけファステストラップ出しに行ったのに、最終コーナーでミスしてしまったんで、こりゃダメだと(笑)。明日の予選はタイヤがニューじゃないから、一発は期待できそうもないでしょうが、決勝のタイムは安定していると思います。できれば雨の方がいいんですが、晴れるっていうし、温度も高いっていうし、いつもより時間も遅いし。まぁ、いつもどおり行けるだけ行きます。
優勝 小山 美姫選手 2位 鶴賀 義幸 選手 3位 成瀬 茂喜選手
3位の成瀬は、実にほぼ30年ぶりの表彰台へ。かつてFJ1600でチャンピオン、F3にも出場経験を持つベテランは、「去年から復帰して、VITAで初めての表彰台になります」と照れくさそうに語っていた。
記事 : 秦 直之 さん