第2戦のKYOJO-CUPはエントリーが11台と、今までで一番少なくなってしまったが、その一方で新たな焦点が加えられることとなった。それは無敗の女王、小山美姫以外、誰もまだ表彰台に立っていないということ。フレッシュな表彰台争奪戦が、大いに注目された。
日曜日の富士スピードウェイは、それまでとは天候も一転して、終始厳しい暑さの中での走行となった。当然、路面温度も高くなって、FCR-VITAとWエントリーのドライバーの中には、コンディションの変化に戸惑った者も少なくなかったようだ。そのうちのひとりが、誰あろう小山だった。アタック2周目にスピンしていたほど。しかも、なかなか2分1秒台を切れずにいた。そこでラスト6分でピットに戻って、タイヤの内圧を調整。これが功を奏して、最後のアタックで2分0秒920をマークすることとなった。もちろん、ポールポジションを獲得。
2番手は2分2秒915をマークした池島実紅で、3番手は平川真子が獲得。これに荻原友美、星七麻衣が続き、Wエントリーのドライバーが戸惑いながらも、決勝1レース走った強みを見せることとなった。
小山美姫
「昨日から今日で路面がすごく変化しているんですよ。うまく合わせられなかったので、スピンしちゃいました。しかも、メーターのタイム表示が出なかったので、感覚でしか分からなかったので、タイムが出ていたのか、出ていないのかも分からず走っていました。後半ピットに入ったのは正解でした。調整して、また出て行ってからベストタイムが出ましたから。まだタイヤは充分残っているので、決勝に向けてはいいデータ取りもできました」
決勝レースもまた、暑さ厳しき中で行われた。スタートを今回はそつなく決めた、小山がホールショットに成功、池島、平川を従えて1コーナーを立ち上がっていく。オープニングラップだけで2秒のマージンを得た小山は、その後もアクセルを少しも緩めず、一気に後続との差を広げていく。その結果、最終ラップにファステストラップを更新する余裕を見せてなお、10周で22秒もの大差をつけて逃げ切ることとなった。
一方、2番手の池島も一時は単独走行となり、平川を引き離していたが、原因不明のブレーキロックが何度もあって、そのつど平川に詰められてしまう。最終ラップに差し掛かったところで、ついに1秒を切るまでに近づかれ、最後のストレートで平川に並びかけられた池島ながら、コンマ03秒という僅差で逃げ切りに成功する。
4位は中盤から単独走行となった荻原が獲得し、5位はおぎねぇ。予選6番手ながらオープニングラップに9番手まで後退した、おぎねぇだったものの、その後の追い上げが激しく5周目には5番手に浮上。8周目のセクター3でのミスにより、抜いてきた藤島知子に近づかれるも再逆転は阻止することに。逆に藤島は、最終ラップに星七に逆転されて7位に甘んじた。
焦点とされた、初めて表彰台に上がったドライバーは池島と平川だった。今後は小山との差を、どこまで詰められるかが焦点となるはず。次回のレースは10月7日に開催される。
小山美姫「路面温度が高かったので、タイヤはいつも以上にタレていったんですが、そんな状況の中でも(タイヤと)うまく会話することができ、タイムも上げていって、最終ラップにファステストラップも出せたことに満足しています。タレた方がタイヤの溝がなくなって、クルマが動くようになったのが、逆に良かったんです。私はオーバーステアなクルマをうまくコントロールすることが、速く走らせる秘訣だと思っているんですが、それが溝つきタイヤだと入口で引っかかっていて。それがなくなったのが、最終ラップにファステストラップを記録できた理由だと思います。それと目標としていた20秒以上離すというのも達成できましたし、今までこのレースをやってきて、いちばん清々しいレースになりました」
池島実紅「表彰台には何度も立ったことがありますが、KYOJO-CUPでは初めてでしたから、景色は違って見えるかと思いましたが、やっぱり変わりませんでした(笑)。原因は分からないんですが、片方だけブレーキが変なところでロックする癖がついちゃって、それでちょっと行き過ぎちゃって、差を詰められてしまいました。でもギリギリ逃げ切れて良かったです。今後はもっと(小山との)差を詰められるよう、努力したいと思います」
平川真子「2番手の方が速くて、バトルはしたかったんですが、何度か追いつくだけに留まってしまいました。最後のストレートで仕掛けたつもりですが、あと一歩のところで追いつかなくて……。でも、次につながるレースはできたと思います」
記事:秦 直之さん