富士チャンピオンレースシリーズ第2戦 FCR-VITA
6月5日 富士スピードウェイ
今年は6月からの、遅い幕開けとなった富士スピードウェイの「FCR-VITA」。
今年も全4戦での開催が予定されているが、
この後に延期開催となった東京五輪の自転車競技会場となり、9月23日まで閉鎖されるため、
第2戦は鈴鹿サーキットで7月24〜25に行われる、「クラブマンスポーツ」と併せて行われることとなっている。
KYOJO-CUPとの二冠獲得なった三浦愛選手、そしてランキング2位の小西岬選手はシリーズからの卒業を果たしたものの、ランキング3位のイノウエケイイチ選手や同5位のいむらせいじ選手は依然として健在。
イノウエ選手はもてぎVITA第2戦でポールポジションを奪い、いむら選手はもてぎVITA第1戦、筑波のVITA TROPHY第1戦を制して、いずれも絶好調のふたりに、ライバルたちはどう挑むか注目された。
〈第1戦のエントリーは25名〉
〈そのうち、9名がKYOJO-CUPとWエントリーの女性ドライバーだった。〉
6月5日(土)予選
予選、決勝が行われる6月5日(土)は、前日までの雨が早朝まで路面に残っていたが、
9:20分スタートの予選の頃には、限りなくドライコンディションとなっていた。
20分間の計測による予選において、最初にトップとなったのは2019年のJAF-F4チャンピオンであり、
FCR-VITA初参戦の徳升広平選手。
次の周にはいむら選手トップに立てば、その次の周は徳升選手がトップと、さながらシーソーゲームの様相を呈していたが、そこに満を辞して加わってきたのがイノウエ選手だった。
ほぼ折り返しのタイミングで2分2秒146をマークし、次の周には2分1秒752に叩き込む。ほぼタイミングを同じくして、徳升選手も2分1秒859にまで短縮を果たす。
その一方で、いむら選手は終始、単独走行だったことでスリップストリームを使うことはできず、2分2秒を切れず。2分2秒348を記すのが精いっぱい。また、イノウエ選手も終盤は2分1秒台に二度入れるも、タイムアップはかなわず。それでも逃げ切って、ポールポジションを獲得することとなった。
もてぎVITA第2戦に続き、レース復帰2戦目の新井薫選手が2分2秒394で4番手、
そして5番手は2分2秒425を記していた山本龍選手で、オートルック勢がずらり並ぶことに。
6番手は萩原友美選手、
7番手はタナカユウキ選手で、ここまでがトップから1秒差。
ベテランの見崎清志選手が8番手で、
その後方には辻本始温選手、下野璃央選手、猪爪杏奈選手と、KYOJOドライバーが続くこととなった。
ポールポジション:イノウエケイイチ選手(ワコーズEDニルズVITA)
「路面はすごく滑りましたね、濡れてはいないんですけど、すごくダスティな感じで。
スリップはうまく使えたんですけど、ダメでしたね、0秒台は出せませんでした。
決勝も最後まで頑張ります。周回数は間違えないようにします(苦笑)」
予選2番手:徳升広平選手(KeePer Vita)
「VITAは初レースですが、F4ではいつも2番手で、やっぱりここでも(笑)。決勝で挽回します。同じようなペースでずっと走れるので、レースは面白くなるんじゃないかと。クルマ自体、悪くないし、徹夜でクルマを仕上げてくれたので、しっかりいい結果を出せるように頑張ります」
予選3番手:いむらせいじ選手(オートルックVITA-01)
「今日は位置が悪かったですね、運がなかった。昨日とか一昨日の練習走行では、ウェットもドライは調子良かったんですけど、後半はずっと単独だったんで、どんなに頑張ってもセクターベストを更新できなかったから、こんなもんかな、という感じ。まぁ、順当じゃないですか。富士は3列目までにいれば、決勝は楽しめるので行きますよ」
決勝
決勝レースは11:55分から10周で競われる。
スタート進行の頃には、路面は完全なドライコンディションとなっていた。
注目のスタートを誰より決めたのが徳升選手。イン側から1コーナーに飛び込み、イノウエ選手を刺そうとした瞬間、あろうことかそのイノウエ選手が、ブレーキをロックさせてオーバーシュート!
これで徳升選手が難なくトップに浮上し、新井選手が2番手、いむら選手が3番手で続いて1コーナーをクリアしていく。
このオープニングラップには、コカコーラコーナーでアクシデントが発生。
スピンした車両を回避しようとして、荻原選手、下野選手、猪爪選手、そして翁長実希選手といったKYOJOドライバーが、ことごとくコースアウトを余儀なくされてしまったのだ。
それぞれ大きく順位を落とし、上位争いを繰り広げることは許されなくなった。
1周を終えてスタンド前に戻ってくると、徳升選手がややリードも、その後方は新井選手、いむら選手、イノウエ選手、山本選手、そして見崎選手の順で、完全に縦一列。
2周目にはイノウエ選手が3番手に浮上し、続く3周目の1コーナーでは新井選手を抜いて2番手に。
だが、その間に徳升選手はリードを2秒以上としており、そのままデビューウィン達成も夢ではないと思われた。
4周目、セカンドグループをリードし、7番手につけていた辻本選手が白煙を吹き上げ、ダンロップコーナー脇にストップ。エンジントラブルが原因だ。オイルが撒かれてしまったため、全体的にラップタイムが落ちるが、中でもトップを行く徳升選手の落ち幅が明らかに大きい。
新井選手が徐々に差を詰め、9周目のストレートでトップに浮上。
そのまま逃げ切って、嬉しいVITAでの初優勝を飾ることとなった。
そして、「終盤はなんでか分からないけど、ペースが上がらなくなった」イノウエ選手を、9周目にいむら選手がパス。土壇場でチャンスが訪れた、いむら選手はゴール間際のストレートでも、徳升選手をかわして2位でゴールした。
4位はイノウエ選手で、5位が山本選手。
6位は予選13番手から徐々に順位を上げ、最終ラップに見崎選手をかわしていた、佐藤元春選手が獲得。
チームメイトの中川隆吾選手もまた、予選12番手から順位を上げて8位でゴールした。
優勝:新井薫選手(オートルックVITA-01)
「まさか、こうなるとは思っていませんでした!
予選から調子も良くて、『決勝は前の集団に着いていって』と考えていたんですが、
スタート直後の1コーナーで波乱があって、あそこをうまく抜けられたのが良かったですね。
もうちょっとバトルしたかったですね、ほぼ単独だったので(笑)。
私は特に何したっていうのはなく、チーム監督の指導どおり走っていての結果です。
いいチームに、メカニックや監督、チームメイト、素敵な方がいらっしゃるので、レース展開がこんな形だったので、私の方に風が吹いたんじゃないでしょうか」
2位:いむらせいじ選手(オートルックVITA-01)
「僕の感覚ではスタートが、他のレースの時と間隔が違ったみたいで、直前のレースの時は遅かったんです。
なので余裕を持って待っていたら、すぐ消えて。
それでチームメイトの新井さんに並ばれて、ケイイチは1コーナーで白煙上げていたから、とりあえずここは引こうと。
その後、徳升くんが速かったんで、今回は3位でも仕方ないと思っていたので、ラッキーでした。
新井さんが1位なので、それも良かったです。変にケイイチに調子乗られると困るので(笑)」
3位:徳升広平選手(KeePer Vita)
「何が壊れたのか、まだ車両保管中で見てもらっていないので、分からないんですけど、
何かおかしくなっていました。
仕方ないですね、頑張ってはいたんですが。それでもチェッカーは受けられたし、表彰台にギリギリ上っていられて良かったです。最後まで諦めずに走った結果がこうなんで、次回もめげずに頑張ります」
今回、話題を集めたドライバーのひとりが、KYOJO CUPにも出場する下野璃央選手。
昨年はTCRジャパンのブロンズクラスでサタデーシリーズのチャンピオンに輝き、
また2019年にはスーパーFJで富士、オートポリスで優勝を飾った、女性ドライバーでした。
当初は、今年もTCRジャパンに継続参戦を希望し、そして女性ドライバーを対象とした海外レースも視野に入れていたのですが……。
「資金的な問題で、TCRジャパンの方は断念せざるを得なかったんですが、チームとしっかり話し合って、今年はVITAで頑張ろうということになりました。
もちろん、狙うのはKYOJO CUPとの二冠獲得です」と力強く語っていた下野選手。
このレースウィーク、練習はほぼウェットコンディションでの走行となりましたが、その状況においては絶好調。
そのことは雨に見舞われたKYOJO CUP予選で、トップタイムをマークしたことでも明らかでした。
所属するYGF Drago CORSEの道上龍監督も
「ウェットでは自信を持って走れていて、特に強く降った時ほどいいんです。
でも、まだドライでは走り込みが足りていないのか、もうひとつで……」と語っていたとおりの展開となり、
FCR-VITAの予選では10番手に甘んじてしまいます。それでも、決勝の追い上げが期待された矢先に、アクシデントに見舞われ、いきなり最後尾に後退。
それでも諦めることなく、トップグループにも遜色のない2分3秒台でラップを刻み続け、
最終的に17位にまで追い上げることとなりました。もちろん、納得のいく結果ではないでしょうが、
「KYOJO CUPももちろんのこと、この先まだ何があるか分からないので、残りのレースも大事に戦って、チャンピオンを目指す目標に変わりはありません」と力強く語ってくれた下野選手。これからの活躍に期待しましょう。
〈記事:秦 直之さん〉
21年富士FCR-VITARd.1は女性Dr.9人のエントリーとなった。
最近では女性ドライバーの活躍が当たり前の光景であり、
男、女のハンディがないこのモータースポーツ界で、
本気で取り組む彼女たちの姿がとても美しい。
時代は多分新しい将来の入り口に足を踏み入れたのかもしれない。
FCR-VITA
次回は舞台を『鈴鹿』に移して繰り広げられる🏁
熱い戦いから目が離せない!
VITA倶楽部
鈴鹿クラブマンRd.4 & FCR-VITA Rd.2
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