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🏁筑波Rd.5レースレポート
2025/10/29 レポート

つくばVITAシリーズ
2025/10/26レポート
10月26日筑波サーキット

10月26日に開催の「筑波チャレンジクラブマンレース第4戦」において筑波VITAシリーズ第5戦が行われた。
9月中旬の第4戦ではまだ暑さが堪えた筑波サーキットもすっかり気温が下がり、そのうえ今日は朝から雨で肌寒い。

エントリーは12台、常連ドライバーに加えて筑波のVITAレース初見参という選手が二人。
どちらもVITA経験者ということで予選後に筑波サーキットの印象を聞いてみた。

#181樋尻勝利選手(ABBEY★BON)は昨年まで鈴鹿のformula-enjoyで活躍、今年はFCR-VITAに参戦、
第3戦ではジェントルマンクラス2位というリザルトを残している。
「2日前に筑波のライセンスを取って走ったばかりです。
筑波はすごく面白いですね。コース外のグラベルエリアがすくないので、ちょっと恐怖感があるのですが。その恐怖感を無くさないと、どうしてもバリアの方を見てしまうので、コーナーの出口を見ないといけないなと思っています」

#213Burton Hana選手(Circuit Orange)は昨年までVITAで行われていた富士のKYOJO CUPに参戦。
今年はKYOJO Formulaに参戦する傍らFCR-VITA第1戦にも出場している。
「SUGOも初めて走って、鈴鹿も出ましたが、筑波はあまりコースが広くないから(限界に)トライするのは怖いですね(笑)。まだ思い切っていけないけれど頑張らないと上に行けないので、頑張ります」

つくばVITAシリーズはここまで4戦を終えてすべてのレースで優勝している#77兒島弘訓選手(ZR WINMAX VITA)がシリーズランキングトップの80ポイントを獲得、
2番手#17西濱康行選手(ETA白波ワークスVITA)が52ポイント、
3番手#87山本龍選手(お先にどうぞ⭐︎VITA)が47ポイントとこの3人にチャンピオンの可能性がある。

■予選

15分間の予選は午前8時20分コースオープン。
雨は相変わらず降り続いており気温14度、路面温度16度で、路面はウエットコンディションだ。

筑波シリーズ規則によって前戦優勝の#77兒島選手を先頭に12台のVITAがコースインするが、第2ヘアピン進入でで#1サトウタカヒロ選手(TIPO ETA VITA)がスピン。バリアに接触して止まってしまい、ただちに赤旗が提示。予選中断となる。

#1サトウ選手の車両が移動されて午前8時28分に残り時間12分から予選再開。雨はかなり小降りになっている。

再開後の計測1周目、今回シリーズチャンピオン確定を狙う#77兒島選手が1分15秒433のトップタイム、2番手に現在シリーズ2位の#17西濱選手の1分15秒786がつける。

3番手#61 ICHIRO KIMURA選手(KOO’ON with ABBEY)1分16秒201、
4番手#2並木海和選手(ViVa ETA VITA)1分16秒352、

5番手#213 Burton Hana選手(Circuit Orange)1分16秒373、
6番手#181樋尻勝利選手(ABBEY★BON)1分16秒756と1分16秒台で続く。

さらに7番手#87山本龍選手(お先にどうぞ⭐︎VITA)、8番手#56倉田道夫選手(RSロゴスVITA)、9番手#66土屋伊津季選手(ディープレーシングVITA)とタイムを出して予選はここからが本番。

しかしここでまたもアクシデント。第2ヘアピンへ向けて80Rを立ち上がる所で#31内田美保乃選手(miiisuke VITA)がスピン、芝生でストップ。
さらに後続の#71渡邉顕選手(ELEVレーシングVITA01)もほぼ同じ場所でスピン、#31内田選手との接触は避けられたもののこちらもストップ。
直前に行われたツーリングカーの予選でもアクシデントがあり、今回第2ヘアピンが鬼門になってしまった。ただちに赤旗が提示されて予選は再度中断。

2台の車両の移動作業が行われたが終了時点で残り時間4分を切っており、予選はここで終了ということになり、中断前の計測1周目のタイムで予選順位が確定。ポールポジションは#77兒島選手、0.343秒差で2番手#17西濱選手がフロントロウに並んだ。

なお予選タイムが計測できなかった、#1サトウ選手、#71渡邉選手、#31内田選手は決勝出場が認められ、それぞれ10、11、12番グリッドからスタートすることとなった。

 

<予選後コメント>

ポールポジション 兒島弘訓選手
(#77 ZR WINMAX VITA)兒島弘訓選手
「コースに出る位置が前の方だったので、その恩恵もありますが、普通にウオームアップしていたら予選が終わったという感じなので(苦笑)なにがコレというところはないですね。
ちょっと気になるのはニュータイヤの皮むきのタイミングの時の西濱さんのペースが割とよさそうだったので、そこは決勝のスタートの時のペースを意識して後ろを見ておかないといけないかな、という気はしました。
チャンピオンに向けてはポールポジションからスタートできるので、いい材料とおもって、このまま全戦全勝で終われるように、頑張ります」

2番手 西濱康行選手(#17 ETA白波ワークスVITA)
「雨の予選なんでね、トップを狙っているというよりはポジションをキープするというのが大事ですから。その意味ではライバルとの位置関係はいいところで予選を終えられたかなと思います。
もっと走りたかったけれど、走れば走るほどリスクが高まるから、これでよかったのかな。
(タイトル争いについては)予選タイムを見ても兒島さんだんだん離れていく感じがあって、逆転できるように頑張りますが、自力で行けるかは分からないですね」

3番手 ICHIRO KIMURA選手(#61 KOO’ON with ABBEY)
「何なんでしょう、予選であってなかったようで(笑)。
路面は皆さんフロントが入らないのが苦労されているのがよくわかりました。
自分もそうですが、その中でどこ(位置取り)が一番いいかを探すのが大変かな。
決勝はこれ(雨)ですからね、精いっぱい最後まで無事に前について行きたいです」

4番手 並木海和選手(#2 ViVa ETA VITA)
「1周しか走れずに終わったので、それでよかったのかな? 
今回4位で、いつも9番とか10番なので、このまま予選が続いていたら順位下がったかもしれないので、赤旗でよかったのかなっていうのもちょっとありますね。
決勝に向けては 目の前に同じチームの西濱さんがいるので、頑張ってついて行きたいですね」

5番手 Burton Hana選手(#213 Circuit Orange)
「昨日も練習走行で路面がいい時に1周目で飛び出してしまったから(苦笑)ちょっと残念で。
まだまだ限界まで行けていないと自分で分かっています。
でもこういうレースに出るのはバトルとかの練習のために来ているから、ちゃんと限界で走って安全に帰ってくるのが目標です」

6番手 樋尻勝利選手(#181 ABBEY★BON)
「雨の日のニュータイヤなので、皮むきを先にしようかなと思って、それを重点に置いていたら、もう終わっちゃったって感じです(笑)」

 

■決勝

つくばVITAシリーズ第5戦決勝は午前10時52分にフォーメーションラップ開始。
依然として小雨が降り続け、気温15.4度、路面温度17.5度と肌寒いコンディションだが予選時に比べると路面の水量はかなり減っているように見える。
スターティンググリッドへの試走で本日鬼門の第2ヘアピン出口で#181樋尻選手が姿勢を乱してスピン、タイヤバリアに接触する一幕もあったが無事にコースに戻り6番グリッドについてレーススタート。

ポールポジションの#77兒島選手が好スタートでホールショットを奪ったのに対してフロントロウから出た#17西濱選手の出足が鈍く、逆に蹴り出しのよかった3番手スタートの#61 KIMURA選手が加速で前に出て2位を奪って第1コーナーへ。

さらに後方では5番グリッドの#213Burton Hana選手に対して、6番手スタートの#181樋尻選手と7番手スタートの#87山本選手が先行する。
#181樋尻選手はその勢いのままに4番手スタートの#2並木選手とサイド・バイ・サイドで第1コーナーを立ち上がるとS字の進入でオーバーテイク、4位に上がると第1ヘアピンでは#17西濱選手のテールに食らいつく。

下位グループでも10番手スタートの#1サトウ選手が第1コーナーで8位に上がると7位にドロップした#213Hana選手を追い立てるが、焦りが出たか第2ヘアピンからの立ち上がりで姿勢を乱して一瞬失速。
逆に#71渡邉選手を前に出してバックストレートへ。
しかし今度は#71渡邉選手が最終コーナー入り口でコースオフ、すぐにコースに復帰したものの最下位まで順位を落としてしまう。

オープニングラップを終えてトップ#77兒島選手は2位#61 KIMURA選手に0.812秒の差。
3位#17西濱選手はそこから1.123秒離されて、0.517秒差で追う4位#181樋尻選手のプレッシャーにさらされている。
5位#2並木選手はそこからやや離されトップから4.313秒差。
その0.320秒後方6位で#87山本選手がチャンスを伺っている。

2周目に入り#77兒島選手は2位#61 KIMURA選手との差を1.346秒に拡大。
3位#17西濱選手と4位#181樋尻選手は0.5秒差と依然接近戦。

5位#2並木選手を挟んで6位の#87山本選手に対して#213 Hana選手が接近。
バックストレートで前に出て最終コーナー手前で6位を奪い返すことに成功。
ここで失速した#87山本選手を#1サトウ選手、#66土屋選手が次々とオーバーテイク。
7位#1サトウ選手、8位#66土屋選手の順となり#87山本選手は9位までドロップ。

3周目、#77兒島選手はただ一人1分12秒952と12秒台に入れて早くも2位#61 KIMURA選手2.804秒差と独走態勢を築き始める。
3位#17西濱選手は#181樋尻選手を1.645秒差に振り切ったものの、トップとは4.071秒の差がついてしまっている。

距離が近いのが5位#2並木選手と6位#213 Hana選手で0.612秒の差。
しかし#213 Hana選手が攻めあぐねている間に#1サトウ選手が接近、4周目終了時点で0.348秒差となる。
これで火が付いたか今度は#213 Hana選手ペースアップ、5周目に5位#2並木選手まで0.295秒差と迫る。

順位変動こそ少ないがバトルが静かに進んでいる中で、トップ#77兒島選手は一人旅を続け、4周目1分12秒816、5周目1分12秒609、6周目1分12秒428と最速ラップを更新し続けて、7周目で2位#61 KIMURA選手とは8.011秒の大差。
3位#17西濱選手、4位#181樋尻選手はそれぞれ単独走行に。

そこから7秒以上後方で#2並木選手、#213 Hana選手、#1サトウ選手の5位グループはそれぞれ0.351秒、0.491秒の間合いとバチバチの接戦を演じている。

5位グループのバトルはレース後半戦に入っても続き、3台のギャップは8週目1.03秒、9周目0.479秒といよいよ三つ巴のテール・ツー・ノーズ状態。
そして迎えた11周目、まず#1サトウ選手がメインストレートの加速で#213 Hana選手のスリップストリームから抜け出し、並走でコントロールラインを同タイムで通過すると第1コーナー入り口でインから攻略、6位に上がる。
さらに12周目、13周目と前を行くチームメイト#2並木選手に接近、0.262秒まで肉薄する。

そして中団のバトルに耳目が奪われている間に反転攻勢に出ていたのが3位#17西濱選手で、9周目に1.682秒まで開いていた2位#61 KIMURA選手との差を10周目1.157秒、11周目0.706秒、13周目0.496秒と削り取りプレッシャーをかける。

トップ#77兒島選手は12周目にラップタイムを1分11秒台に入れて11秒933、13周目1分11秒795、14周目1分11秒727とタイムを削り突けてファイナルラップまで手ペースを緩めることなく1分11秒499とこの日のファステストラップを叩き出して2位以下に21秒の大差をつけてフィニッシュラインを通過。
圧倒的な速さで勝利を掴んだ。
2位#61 KIMURA選手、大差はついたがスタートでつかんだ2位のポジションを#17西濱選手から0.716秒の差で守り切り、1年ぶりの筑波で表彰台を獲得した。
3位#17西濱選手、
4位初めての筑波で健闘した#181樋尻選手。
5位は#1サトウ選手を0.7秒差に振り切った#2並木選手、
#1サトウ選手は10番手スタートから6位までポジションを上げた。

 

<レース後コメント>


優勝 兒島弘訓選手(#77 ZR WINMAX VITA)
「スタートも無事に決めることができて、その後のペースも悪くなかったので。何台かラップダウンにも無事にできたし、自分のベストを尽くしてウエットの中ではいいレースができたのではないかな、と思います。
これで筑波シリーズ5戦5勝、すべてファステストも出せたと思います。
最終戦は出場できないので、また来年出られたらなと思います」

2位 ICHIRO KIMURA選手(#61 KOO’ON with ABBEY)
「スタートが決まった、もうそれだけです(笑)。
それがすべてだったかもしれません。西濱さん速いから(苦笑)、もう焦りました。
でも楽しかったです。最後までフェアにしていただいて、楽しかったです」

3位 西濱康行選手(#17 ETA白波ワークスVITA)
「スタートでKIMURAさんに前に出られてしまって、様子見ながら走っていたのですが。最後2回ぐらいアタックのチャンスがあったけれど、行ききらず、という感じでしたね。
KIMURAさん上手なドライビングしていたし、フェアなバトルだったので、楽しめました。
雨の中鈴鹿から来てそれほど経験のない人に先に行かれてしまったのは反省で、もっと勉強しなければいけないな、と思うのですが、いいレースだったし悔しくはないです」

4位 樋尻勝利選手(#181 ABBEY★BON)
「どこのラインを走ったら一番タイムが上がっていくのかを探りながらでした。前半はちょっとラインをずらしていたのですが、後半は雨のラインを走るように心掛けました。
(後ろからのプレッシャーは?)後ろはもう見る余裕なくて、前の2位と3位の人をずっと見ていました。
あそこがやりあっている間にちょっとでも近づきたいと思っていたのですが」

5位 並木海和選手(#2 ViVa ETA VITA)
「僕のペースが後ろの2台より遅くて、ずっとせっつかれていました。
後ろのサトウさんもHanaさんがバトルしてくれていたので、なんとか順位をキープしてゴールできました。
ヘアピンでぜんぜんグリップが感じられなくて、めちゃ遅かったです(苦笑)。なんとかブロックして、という感じでした」

6位 サトウタカヒロ選手(#1 TIPO ETA VITA)
「終盤に1台どうにかパスできて、その後前に詰まってしまって抜くことができなかったのですが。
スタートもうまく行ったような、行ってないような感じで。チャンスは何回かあったけれど、そこで僕も失敗したりして、あまりうまく行かなかったな。
でも10番手スタートだから、ポジションは上げられたので、よかったかなとは思っています。この順位で納得はしていませんがので、もうちょっと上げたいですね。(Hana選手へのオーバーテイクはきれいだったが?)でも最終ラップに失敗してしまって、またオーバーテイクされかけて、最終コーナーに2ワイドで入って行って、どうにかそこで前に出ることができたので、ぎりぎりポジション上げられたという感じです」

優勝した兒島選手はこれで5戦すべてポール・ツー・ウイン、各レースのファステストラップも叩き出しての完勝で100ポイントを獲得。
11月23日の最終戦は欠場とのことだがランキング2位の#17西濱選手とは36ポイントの差があり、最終戦を待たずにつくばVITAシリーズのチャンピオンが確定した。